中国ドラマ「贅婿[ぜいせい]~ムコ殿は天才策士~」の紹介記事です。
北宋をモデルにした架空の武王朝を舞台に商家の婿になった主人公の活躍と恋を描く時代劇。
タイトルの「贅婿(ぜいせい)」とは中国語で「入婿、婿養子」のこと。日本と違い婿の地位は低い、です。
大手企業に務める江浩辰(ジャン・ハオチン)は、友人に裏切られ意識を失い、気がつくとそこは王朝時代の寧毅(ニン・イー)に生まれ変わっていました。
寧毅は豪商の娘・蘇檀児(スー・タンアル)の入婿(贅婿)になることが決まっていました。
寧毅は借金のカタにとられ、家業を継ぐ証の実印を入手できたら借金は帳消しになり離婚できると約束します。
そうして夫婦になった寧毅と蘇檀児ですが。檀児の代わりに蘇家の家業をつごうとする叔父親子や檀児に横恋慕する烏啓豪(ウー・チーハオ)の妨害をうけることに。
寧毅は現代で培った知識やビジネススキルを生かして、夫婦で協力して困難を切り抜けようとするのですが・・・
「贅婿[ぜいせい]」に登場する主な人物を紹介します。
番組情報
原題: 「贅婿」
英語名:My Heroic Husband
2021年、中国
全36話
原作: 小説「贅婿」
原作者:憤怒的香蕉
歴史的背景
架空王朝が舞台です。でもドラマの「武朝」は史実の北宋をモデルにしています。
皇帝 周喆は北宋の8代皇帝 徽宗 趙佶がモデル。
武朝に敵対している靖国は「金」。梁国は「遼」がモチーフになっています。
12世紀。契丹人の「遼」が弱くなって女真人の「金」が勢力拡大。
遼が弱くなったと思った北宋は金と同盟して遼を攻め、燕雲十六州を奪おうとしました。
しかし北宋は南部での反乱もあり、遼との戦いに遅れました。北宋は遼との戦いではほとんど貢献できませんでしたが、金は約束通り奪った燕雲十六州の一部を北宋に渡しました。
ところが北宋は他の燕雲地域も奪おうと今度は遼と同盟して金を攻めます。怒った金に反撃され。あわてた徽宗は欽宗に譲位。都を捨てて逃亡。しかし徽宗と欽宗は金に捕まって連行され北宋は滅亡。生き残った皇族(高宗)が南に逃れて南宋を建国します。
ドラマ後半は北宋、金、遼の戦いをイメージしているようです。
贅婿第二期では武朝滅亡を狙う靖国との戦いが描かれるそうです。史実の北宋と金の戦いをイメージしているのでしょうね。
小説「水滸伝」のモデルになったのも徽宗の時期です。前半は商人の話なのに途中で山賊との戦いや、戦争の話になるのはこういう時代背景をおりこんだからでしょう。
寧毅に水滸伝の英雄のイメージを重ねているようにも思えます。
主要人物
寧毅(ニンイー)/江浩辰(ジャン・ハオチェン)
演:郭麒麟(チャン・ルオユン)
江浩辰は現代の企業の幹部。友人に裏切られ意識を失い。寧毅として転生することに。
寧毅は両親が他界。借金のカタになって豪商で蘇家の娘・蘇檀児と結婚することが決まっていました。蘇檀児が蘇家の家業を継ぐ実印を入手できたら寧毅は離縁できると約束。離縁状も用意しました。
寧毅は現代社会やビジネスで身につけた知識や技術を使って蘇檀児の仕事を助けます。そして次第に重要な仕事を任されるようになりました。
そして檀児とは形だけの夫婦でビジネスパートナーのように思っていましたが、しだいに家族と思うようになり彼女を守ろうとします。
やがて寧毅は家や国の大問題に直面して困難を解決していきます。その過程で世の中のために働こうと意識する男に成長していくのでした。
王朝時代の入婿について
ドラマの武朝は儒教が厳しくなった宋朝をモデルにしています。儒教社会の中国王朝では贅婿=婿養子は男の尊厳を捨てた軽蔑される存在とされていました。でも現代人の知識を持つ寧毅は贅婿が惨めな存在だとは思っていません。
でもドラマで描かれるように婿が家事や子育てをするのではありません。「男徳学院」のような学校もありませんし。入婿の教育に使われる「贅婿経」も架空の書物です。ドラマの贅婿の描かれ方は封建時代の女性の立場を男に入れ替えただけ。実際の贅婿とは違います。
中国では入婿は一般的ではなく、跡継ぎがいないと同姓で一族の者を養子に迎えます。姓の違う男子を養子にするのは珍しいです。
王朝時代の中国には「仮子」という義親子の制度があって「養子」と紹介されることもあります。でも仮子は主従関係なので普通は仮親の娘と結婚したり相続する権利はありません。
歴史上の贅婿は跡継ぎを作るためだけに必要な「種馬」のような存在。生まれた子は妻の姓を名乗ります。贅婿は普段は使用人のような扱いをうけていました。家族から父や祖父として尊敬されることもありません。男尊女卑の社会でこの扱いはかなりの屈辱だったでしょう。
ドラマのように大富豪に婿入りする贅婿は家の名誉を傷つけないようにルックスの優れた人が選ばれ、贅婿には十分な金を与えて家の格式にふさわしい生活はさせてもらえました。でもそのような贅婿は贅婿の中でもごく一部ですし。見た目はよくても体面を保つためにいい格好をしているだけなので一族内から軽蔑されていました。
ドラマの設定でも史実でもどちらにしても入婿が軽蔑される存在だったのは違いありません。
蘇檀児(スー・タンアル)
演:宋軼(ソン・イー)
蘇家大房の一人娘。寧毅の妻。
蘇氏布行東家。
寧毅の一族の借金を返すため寧毅が婿になるように契約書にサインさせました。
父親の反対を押し切って布屋で裁断、織物、染物の技術を学びました。叔父たちが蘇家を継ぐのを阻止しようとして蘇家の印を入手しようとします。
一族の会議で祖父が檀児に蘇家の印を渡そうとしたところ、叔父親子に反対されました。最終的には父も賛成して女性が当主を継ぐのを認めます。
蘇家の人々
小嬋
演:王麗娜
蘇檀児の侍女。主人に忠実。
昏睡状態から目覚めた寧毅に現在の場所と年代を教えます。
耿直
演:王成思
蘇家大房の総護院。蘇家の主人の命令に忠実なガードマン。蘇檀児を守っています。護身用にヌンチャクを持ち歩いています。恋愛小説を読むのが好き。楊秀紅に恋しているのですが。
蘇伯庸
演:馮暉
蘇檀児の父。息子はいません。
気を失っていた寧毅の命の恩人。古い考えの厳しい父親。でも心のなかでは娘の事をおもっていますが。表に表現するのが苦手。蘇檀児が行方不明になったと知ると意識を失ってしまいます。
姚萍兒
蘇檀児の母。
早く孫がほしいので寧毅に「虎虎酒」を飲ませたり。檀児と本当の夫婦になって欲しいと思っています。
蘇愈
演:温海波
前の蘇家当主。蘇檀児、蘇文興の祖父。
蘇仲堪
演:岳暘
蘇家二房
蘇文興の父。蘇檀児の叔父。
蘇文興
演:劉冠麟
蘇家二房
蘇仲堪の息子。蘇檀児の従兄弟。
烏家の人々
烏啓豪(ウー・チーハオ)
演:戴向宇
烏承厚の長男。
強情で独断専行な人物。人の意見を聞かない。
幼いころから蘇檀児が好き。檀児と無理やり結婚しようとしたり、寧毅を暗殺しようとしたこともあります。
烏承厚
演:郭軍
鳥家の当主。烏啓豪の父親。
慎重な性格ですが、子供の教育には失敗。
席君煜
演:沈浩
以前は蘇家の番頭。蘇家を裏切り鳥家の番頭になりました。
寧毅と対立して寧毅を殺そうとするのですが。
新門芸館
聶雲竹
演:胡丹丹
元錦児の姉。新門芸館の歌姫。
溺れそうになった寧毅と知り合い、一緒に新しい商売を始めることに。
元錦児
演:曹曦月
聶雲竹の妹。新門芸館の花魁。
後に身請けされ新しい商売を始めることに。
楊秀紅
演:張淨桐
新門芸館のオーナー。若い頃は江寧で最高の歌姫でした。
歳をとってオーナーになりました。
楼家の人々
皇室御用達の商人。
楼舒婉
演:朱珠
楼近臨の娘。蘇檀児の幼なじみ。
店を大きくしたいと思い。蘇家のやりかたを真似たりしています。
楼書恆
演:宋涵宇
楼家の若旦那。楼近臨の息子。楼舒婉の兄。
楼舒婉には冷たく、妹を犠牲にしようとします。
楼近臨
演:崔志剛
楼書恆、楼舒婉の父親。
偽善者。
賊寇
イメージ的には水滸伝に出てくる反乱軍。
方天雷
演:海一天
呂梁山青木寨(砦)のリーダー。
賊寇の頭。山賊たちからは「聖公」と呼ばれています。
劉西瓜/劉大彪
演:蒋依依
方天雷の養女。父を尊敬して父の名を語ることがあります。
外部の者からは男だと思われることもあります。寧毅に興味をもちますが、あることが原因で決裂することに。
邵仙英
演:樊昱君
方天雷の妻。
陳凡
演:劉已航
山賊の幹部。寧毅を助けたことがあり。劉西瓜に密かに想いをよせます。
鮑文翰
演:魏子昕
宣威営の司令官。強欲で好色な男。
霖安の街を攻撃。
寧毅の命を狙います。
武朝
モデルは北宋
周喆
演:葉項明
酒好きで無能な皇帝。
モデルは北宋の8代皇帝 徽宗 趙佶
賀元常
演:錢波
武朝 太子太師
皇帝に取り入るのがうまく策略家。
周喆からは頼りにされています。
右相とは対立。
モデルは北宋の政治家・蔡京
秦嗣源
演:高曙光
武朝の右相
寧毅と知り合い、彼の頭の良さに感心して友人になります。
その後、皇帝に呼ばれて朝廷に復帰。
モデルは北宋の政治家・寇準
李岡
演:任帥
左相
董道甫
演:崔鵬
大将軍
王岩
演:孫亦凡
副将。
密偵司
国のために戦うことになった寧毅の仲間。
陸紅提/墨影
演:尚語賢
義侠。
冷静で勇敢な男。寧毅に助けられた後、彼に武術を教え密偵になります。
袁定奇
演:楊子龍
霖安城が破られた後も盗賊団を食い止め人々を守ろうとしました。
密偵の一人。
その他
百里弘亟
演:張永剛
靖国の皇帝
唐明遠
演:張曉晨
現代社会の企業 江遠集団の代表取締役。江皓辰を殺した犯人。
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