中国ドラマ「後宮の涙」の最終回のあらすじと感想の紹介。ネタバレ注意!読む前に確認してください
「後宮の涙」もいよいよ最終回。婁氏との激しい権力闘争や反乱を経て隣国をも巻き込む波乱の展開を迎えます。
最終回では陳からの要求という危機を迎え、陸貞と高湛は究極の選択を迫られます。愛する人をそして国を守るために彼らが下した決断とは?
この記事では『後宮の涙』の最終回のあらすじとネタバレ。主要登場人物たちのその後の運命、そして史実との違いにも触れながら最終回を詳しく振り返ります。
後宮の涙 43話 悲しき別れ
婁太后の兵が都に攻め込み、皇帝は崩御。臨終の際、高湛に玉璽を、陸貞に蕭喚雲と皇子の世話を託しました。蕭喚雲は男子を出産後、血が止まらず崩御。陸貞に皇子 阿緯を養子として国璽を用いて宮中の全てを掌握するよう懇願します。
陸貞は蕭喚雲の遺志を継ぎ、皇子を養子とする詔を発して権力を得るのでした。
一方、陳国へ逃れた高湛は陳文帝から三万の兵を借りる約束を得る。宮中では徐駙馬の助けで陸貞は皇子を抱き地下道から脱出するものの、逃亡中に追手に追いつめられます。
その時、侍女の丹娘は陸貞と皇子を逃がすため、自ら身代わりとなり崖から身を投げるのでした。
丹娘の犠牲を知った陸貞は悲しみます。一方、太后は偽の皇子を使って権力を維持しようと画策。陸貞は街で李大胆に助けられるのでした。
後宮の涙 44話 果たされた復讐
李大胆から高湛の死を知らされた陸貞は婁太后の陰謀を阻止するため、子供を託し都へ戻る決意をします。
祭天の儀式で陸貞が婁氏の悪事を暴くと、駆けつけた高湛により形勢は逆転、婁太后は自害。高湛が大斉の皇帝に即位しました。
即位後、高湛は陸貞を皇后に冊封しようとしますが、先の皇后が陸貞を先帝の妃嬪にしていたことが壁となり大臣たちの反対を受けます。
高湛は鮮卑の慣習を持ち出して陸貞との結婚を正当化しようとするものの、持病の頭痛に悩まされ服用する霊薬にも怪しい点がみつかります。
その矢先、陳国からの使者が訪れました。陳の文帝は三万の精鋭を貸し出す第三の条件として、同昌公主を皇后として迎えることを要求。この突然の条件に高湛と陸貞は愕然とするのでした。
後宮の涙 最終回(45話) 最後の選択
隣国・陳からの援助の見返りとして、陳の文帝は「娘の同昌公主を皇后にしろ」と要求してきました。しかも都の郊外には陳国の兵が駐留しているため、この要求を断るのは容易ではありませんでした。
高湛と陸貞にとっては過去最大の危機がやってきました。
一方、皇帝は持病の頭痛が悪化し服用している薬に中毒性があることが判明します。しかも越国夫人は解毒剤は自分の手元にしかなく、あと二日で公主を連れて国に帰り、その時には陳国の大軍が攻めてきて、皇帝も終わりだと言われてしまいます。
陸貞はついに愛する高湛を救うため、そして北斉の平和を守るために自身の幸せを犠牲にする決断をするのでした。
陸貞は自ら都を去り、同昌公主が高湛の妻となりました。ところが同昌公主にまつわるある衝撃的な事実が明らかになるのでした。
越国夫人はひざまずき、その真相を語ります。その夜、高湛は一人で陸貞が作ってくれた婚礼の服を抱きしめ、彼女のことを深く思いながら眠りにつくのでした。
陸貞と高湛の最後
陸貞は越国夫人との取引によって宮廷を離れますが、沈嘉彦からの手紙をきっかけに高湛と再会。二度と離れないことを誓い合いました。
陳の文帝の死後、高湛は念願叶って陸貞を皇后にしようとします。でも陸貞は罪のない同昌公主への配慮と自身が子供を産めない体であることから辞退。女官として高湛を支える道を選びます。
高湛はその決断を尊重。陸貞に一品の官位を与え国の商業や農業を担当する要職を任せました。
二人は正式な夫婦でなくても精神的なパートナーとして深く結ばれ、共に国を支えていくことになります。
でも幸せな時間は長くは続きませんでした。3年が経ち、河清四年(西暦565年)高湛は古傷が再発して病に倒れました。
彼は幼い太子に位を譲り、陸貞を国の政治を補佐する女侍中に任命。その3年後、高湛は愛する陸貞に見守られながら亡くなります。
愛する高湛に先立たれた陸貞でしたが、悲しみに暮れるだけでなく、高湛から託された国の未来を担うという志を胸に、女侍中として政治に携わり続けます。
高湛の死からさらに15年。陸貞にも最期のときがおとずれたのでした。
「終わり」
史実の陸女官と高湛死後の北斉
高緯は高湛の実の息子
ちなみに史実では武成帝・高湛が崩御した後、その息子の高緯(ドラマにも幼い皇子として登場)が皇帝に即位しました。高緯は高湛と胡皇后の息子。
高緯は愚かな皇帝
この後主・高緯は愚かな皇帝とされ、政治は混乱を極めます。蘭陵王として有名な高長恭などを自害に追い込み、北周を滅亡させました。
陸貞のモデル・陸令萱は悪女
ドラマの主人公・陸貞のモデルとされる陸令萱は高緯の時代に女侍中として大きな力を振るった人物。歴史上は政敵を陥れて殺害したり、都合のいい人事や賄賂や官位の売買で懐を肥やし。皇帝の寵愛する側室を養女にして胡皇后を失脚させ。皇太后の地位を狙った悪女として歴史に名を残しています。
北斉の滅亡
政治が乱れ有能な臣下を失った北斉は北周に攻められ滅亡。陸令萱は自害。高緯は逃亡したもの北周に捕らえられました。
そして北周の宮殿は廃墟となったのです。
ドラマとの違い
ドラマでは陸貞は清廉潔白で国のために尽くす人物として描かれ、高湛と共に国を治める姿が描かれました。史実の陸令萱は全く違う人物です。ドラマは史実を大胆に脚色していることがわかります。
このような史実との違いを知ると、ドラマが描きたかった「陸貞」という女性像の意味をより深く考えさせられますね。
後宮の涙を最終回まで見た感想
『後宮の涙』を最終回まで見て印象に残ったのは、陸貞と高湛の強い絆でした。困難な状況でも互いを信じ合う二人の姿には心を動かされました。最終回もそんな二人の覚悟が見える締めくくりだったと思います。
陸貞の成長と疑問の出世
陸貞はドラマを通して大きく成長しました。最後に個人的な復讐心や幸せよりも、高湛や国のために苦渋の決断を下す姿は切なかったです。
でも、その異常な出世早さには疑問が残ります。名門出身でもない見習い宮女がたった2年あまりで六品女官になるのは安直すぎます。彼女の出世は実力以上に高位の人物の強い引き立てによる部分が大きかったように見えます。にもかかわらず陸貞がことあるごとに私の実力のおかげと自慢するのは違和感を感じました。
高湛への複雑な思い
高湛も陸貞を深く愛するがために苦悩する姿が印象的でした。史実の高湛はドラマよりも残酷でモラルも低い人物ですが、ドラマの中ではいい男でしたよね。
ただ、思いが強すぎてモラハラ的に感じる部分もありました。彼の行動が時としてヒロインを苦しめてしまうように見えたのは私だけでしょうか?
その他の気になるキャラクターたち
沈碧の意地悪な役どころもすごかったですね。いい加減消えて欲しいと思っていたこともありますが。彼女の最後の行動には驚かされました。
蕭喚雲の人生も切なかったですよね。単純な善悪では割り切れない部分はあります。彼女の置かれた境遇は気の毒だと思います。想いが強すぎると思ったこともありますが、最後は和解できて良かったと思います。
あと、一部の悪役の「往生際の悪さ」には、思わず突っ込みたくなった場面もありましたね。
形にとらわれない愛と史実
陸貞と高湛が形にとらわれない絆を選び、共に国を支える道を見つけたのは希望を感じましたが、高湛の早すぎる死には切なさが残りました。
でも史実では二人は愛し合っていませんし、高湛の早死も史実通りです。史実では君臣関係だった二人を、これほど恋愛ドラマとして描けたのはすごいと思います。
無理のある設定と時代考証の甘さ
陸貞と蕭喚雲の「瓜二つ」な設定は、女優さんの雰囲気が似ているとしても正直無理があると感じました。
そして、このドラマは時代考証の甘さがどうにもならないレベルで気になります。北周は6世紀の国ですが、あの鮮やかすぎる衣装の色遣いは化学合成染料のない時代には不可能ですし、時代の技術を無視しています。
人間関係や国家間の関係も史実とかなり違います。歴史を知る者には疑問符がつく点が多すぎました。
終盤の皇太后の反乱からのラストも、あまりに唐突でご都合主義的な展開でした。
まとめ
とはいえ、歴史的な正確さを重視する人には不満が残る作品ですが「エンタメ」として割り切れば楽しめる部分もあります。
ドロドロした愛憎劇が多い中で、二人の絆にはある種の爽やかさも感じられました。
ドロドロすぎる愛憎劇は苦手だけど、ロマンスも楽しめる宮廷劇が見たい。中国ドラマで「トンイ」や「チャングム」のようなドラマが見たい。という人にはお勧めできるドラマかもしれません。
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