中国ドラマ「華の出陣~麗将・阿麦の仇討~」の7・8・9・10話のあらすじとネタバレを紹介。
父の旧臣のいる青州にやって来た商易之と阿麦でしたが、そこは安心できる土地ではなかった。青州での権力争い、そして豫州での新たな危機。あらすじとネタバレを歴史ファンの視点でみた考察と解説を交えて紹介します。
登場人物とキャスト
- 阿麦 (演:チャン・ティエンアイ)…主人公。南夏の靖国公の娘。
- 商易之/斉渙(演:チャン・ハオウェイ) … 定南侯の世子、実は亡き皇太子の息子。
- 常鈺青(演:ワン・ルイチャン) … 北漠軍の将軍。
- 唐紹義(演:ガオ・ゴー) … 南夏の将軍。
さらにくわしいキャスト情報は【華の出陣】キャスト・登場人物紹介をご覧ください。
花の出陣7話 あらすじとネタバレ
7話 あらすじ
皇帝の悩みと皇子の考え
南夏の皇帝は北漠からの脅威に頭を悩ませていました。そこで皇帝彼は二人の皇子を呼び出してこの危機をどう乗り越えるべきか尋ねます。
皇太子は北漠は侮れないので訓練を強化して撃破すべきです。と力強く進言しました。でも第二皇子は「南夏の守りが甘いだけで北漠の目的は金と食糧です」と敵を甘く見ていました。皇帝は第二皇子の言葉を信じてしまいます。
阿麦と徐秀児が商易之と再会
そのころ阿麦と徐秀児は北へ向かっていました。追っ手から逃れるため二頭の馬で追っ手を別の方向へ誘い出し、血痕などの痕跡も消していきました。
さらに二人は追われている途中の商易之と再会しました。彼の顔には疲労と焦りが浮かんでいて、龍吟衛と北漠の両方から追われていると言うのでした。
阿麦の見事な策略
そこで阿麦は追っ手を利用することを思いつきました。穆白を使って龍吟衛の追っ手を引き付けると、阿麦は商易之をある場所に連れて行き、彼を人質にして北漠軍と交渉しました。
彼女は青州を簡単に手に入れるための取引を提案。その条件として自分を北漠へ連れて行くように求めました。商易之は戸惑いますが阿麦の言う通りにします。
北漠の兵士が疑っていると穆白が龍吟衛を連れて現れました。龍吟衛は商易之を殺そうとしましたが、北漠軍は彼を渡すのを拒否。両者は戦い始めました。
混乱の中、阿麦は商易之の手を取りあって隙をついて逃げ出しました。後には追っ手同士が激しく衝突する音だけが残されたのでした。
阿麦を慕う徐秀児
徐秀児は改めて阿麦の素晴らしい計略に感心しました。阿麦は徐秀児に慕白と一緒に逃げるように言うのですが、徐秀児は阿麦の腰にきつくしがみつき「もう私をいらないのですか」と尋ねました。その様子に商易之は驚きました。徐秀児は阿麦とずっと一緒にいたのに阿麦が女性だと気づいてなかったのです。
感想:敵を利用して目的を達成する阿麦の策略
阿麦は敵を上手く使ってピンチを切り抜けましたよね。阿麦では敵に勝てないのはわかっています。だから正面から敵を倒すのではなくて、相手の利害関係を利用して自分にとって都合のいい場面を作り出したのは頭いい。
商易之を交渉材料に見せかけ北漠には「大きな取引材料になる」と思わせました。北漠は疑っているのですが、そこに「商易之を何としても始末したい」龍吟衛と鉢合わせさせる。これで二つの勢力が引くに引けない状態を作り出して衝突。阿麦はその隙に逃げました。もちろん商易之も無事です。
一つ一つは小さな工夫かも知れませんが、それを組み合わせると大きな効果が得られました。まるで三国志や戦国時代の兵法家のような策略でした。阿麦はいったいどこでこんな知恵を身に付けたのでしょうね。
花の出陣8話 あらすじとネタバレ
8話 あらすじ:銭大人の裏切り
青州に到着した商易之
商易之の父親の旧領だった青州に到着しました。阿麦と商易之を待っていたのは老臣たちの冷ややかな態度でした。阿麦は屋敷の周囲に兵士が潜んでいることに気が付きました。商易之も阿麦の合図で暗龍衛が青州に潜入していることに気が付き、ここも決して安全ではないと冷や汗をかくのでした。
放蕩息子を装う商易之
そこで商易之は青州の支配権を手に入れ味方を増やすため、まずはこれまで通り愚かで無能な放蕩息子を演じることにしました。城中で気前よく大金を使い、酒を買い占めては全住民に振る舞い、贅沢品を買い漁って老臣たちの警戒を緩めさせようとします。阿麦もその演技に便乗して徐秀児のためにかんざしや服を買って髪飾りをつけてあげました。徐秀児は顔を赤らめてますます「彼」を好きになります。
銭大人の裏切り
ところが三人の老臣を招いた酒宴は欠席した銭大人の裏切りのせいで失敗に終わります。阿麦と商易之は酒に香を焚きこめ、なんとかその場から逃げ出しますが城門はすでに閉鎖されていました。待ち伏せしていた銭大人に捕らえられ一行は邸宅に軟禁されてしまいます。
苦役場に送られる商易之
彼らは商易之を始末しようと画策しますが「定南侯の息子」という身分を考え直接手を下のをためらいます。そこで銭大人は商易之を過酷な重労働の苦役場に送ることにしました。そうすれば、いずれ命は尽きるだろうという陰険な陰湿な策略です。
阿麦は商易之を救けるため新たな策を練り始めるのでした。
感想と考察:銭大人の裏切りは当然?中国式実力主義の正体
青州は商易之の父・定南侯の旧領のはずです。でも実際には銭大人ら元臣下たちが実権を握って独自の勢力のようになっています。
商易之は朝廷の命令で青州を統治するために来ました。銭大人たちは元家臣なので本来なら定南侯の世子を助けて再起に力を貸すべきですが、彼にはそんな忠義心はありません。中国の儒教で「忠義」が重要視されるのは朱子学が流行る明や清代です。華の出陣は架空王朝ですが南北朝や遼・北宋が共存した時代をモデルにしていますから彼らに忠義を求めるのは無理です。
家臣は主君に仕えることで自分の地位や富、つまり「実利(富貴)」を手に入れるのが目的でした。主君が力を失えば家臣は他に強い力を持つ者に乗り換えるのが当たり前です。銭大人の裏切りは薄情な悪役に見えますが、中国王朝時代の裏というか本音の部分をよく表現していますよね。
中国は上辺では儒教社会のように見えて、実は法で人を支配する「法家思想」や「実力主義」が強いのです。ドラマ的には、だからこそ阿麦の知略が役にたつのでしょうね。
花の出陣9話 あらすじとネタバレ
9話 あらすじ
採石場でひどい目にあう商易之
商易之は銭大人らによって採石場に送られてしまいました。商易之は休憩中に思わず自分の名前に反応してしまい、正体がバレてしまうところでしたが。何とか取り繕おうとします。でも彼の前に現れた男は、商易之の似顔絵を描くよう強要します。似顔絵を侮辱されたことに怒った商易之は男たちを殴ろうとしますが、逆に柱に縛り付けられ罰を受けてしまいます。
助けに来た阿麦も捕まってしまう
深夜。阿麦は一本の縄を使って商易之を助け出そうとします。彼の縄を解いた後、苦しんでいる少年も一緒に助けようとしますが、物音に気づいたごろつきに見つかりって阿麦も捕らえられてしまいます。
女だとバレているに気づく阿麦
縛られた二人は阿麦は逃げる際に悪党に挨拶をした商易之を批判します。でも商易之は「礼儀」だと主張、「男の礼儀を知らない」と阿麦をからかいました。この一言で阿麦は自分が女であることが知られているのを気づきました。以前(1話)に盛府で入浴中に自分を覗いていたのが商易之だったことをここで知るのでした。
徐先生の救出
その時、徐先生が護衛を連れて現れ二人を救出。何とか助かりました。翌日、商易之を陥れようとした3人の長官は全員死刑になり、青州の実権は完全に商易之の手に渡りました。
皇太子の陰謀
しかし平和は長く続きませんでした。皇太子は皇帝が青州の状況に頭を悩ませていると知って自分が問題を解決すると志願したのです。
これを商易之を排除するための口実だと思った長公主は彼に連絡。徐先生は「三十六計逃げるに如かず」と助言。商易之は父の旧臣を頼って豫州に向かいました。
解説:徐先生の言った「三十六計逃げるに如かず」の意味
「三十六計逃げるに如かず」は中国の古典が元になった言葉。
もともとは中国の歴史書にある
檀公三十六策、走是上計
(檀道済の書いた36の兵法の中でも逃げるのが一番の策だ)
出典:『南斉書・王敬則伝』
という部分が由来。檀道済は5世紀 五胡十六国時代時代の武将。36の兵法をまとめた『三十六計』を書きました。『孫子の兵法』と並んで有名な兵法書です。三十六計の最後に「走為上」という兵法があります。「勝ち目が全くないいなら、戦わずに全軍で逃げて損害を避ける」というものです。
それを5世紀の南斉の王敬則伝では「三十六計の中でも走是上が一番」と紹介されているのです。
日本では「逃げるのは恥」の価値感があるため。あまり好意的に受け止められる言葉ではありませんが。無益な戦いで自軍の損害を増やすよりは冷静に退却して反撃の機会を待つ。それが中国の優れた武将が行ってきた合理的な戦い方なのですね。
それができる徐先生は優れた軍師ですし、そのアドバイスを聞ける商易之も人の上に立てる器かも知れませんね。
花の出陣10話 あらすじとネタバレ
10話 あらすじ
豫州で石達春に会う商易之
豫州に到着した商易之と阿麦はそこを統治する石達春と会いました。石達春は父の旧臣で商易之を温かく迎え入れ亡き定南侯との思い出を語ります、でも商易之が兵糧を課して欲しいと申し出ると表情を一変、「皇帝の命令がなければできない」と拒否します。
商易之は落胆しますが阿麦に言えばここを去ってしまうと思い、言うことができません。そこで新たな策を練ることにします。
阿麦に怒る徐秀児
一方、阿麦は自身に好意を持つ徐秀児を諦めさせようと唐紹義を褒めたり「私は歌い踊る女性が好きだ」と嘘をついたりします。その言葉に怒った徐秀児は、阿麦を平手打ちして立ち去ってしまいます。
唐紹義と阿麦の「男」同士の付き合い
翌朝。唐紹義が阿麦の部屋に突然現れ男同士の気安さで接しようとします。でも阿麦は女性であるのを隠すために必死で彼を追い出しました。でもその後、阿麦は唐紹義が馬を購入するのを援助しました。商易之はそんな二人を見て嫉妬。商易之と阿麦はどこかすれ違ってしまいます。
石達春の裏切り?
徐秀児は石達春の養女になりましたが。徐秀児は太子の参謀が石達春と密会しているとと阿麦と商易之に伝えます。それを聞いた商易之は危機感をもつのですが、まもなくして太子の参謀の口車に乗せられた石達春によって罪を着せられ牢獄に送られてしまいます。
しかし、石達春は太子と結託するつもりはありません。太子を恐れて一時的に商易之を牢に入れたものの、今後はどう対応すべきか考えていました。
深夜。阿麦は牢を訪れて武術試合を利用した脱出計画を商易之と練ります。一方、太子の参謀と石達春は、武術試合で青州軍が負ければ商易之が後ろ盾を失って自害するだろうと高をくくるのでした。
感想:石達春は裏切ったのか?つらい官僚の選択
石達春は定南侯の旧臣で、商易之を快く迎え入れました。でも兵糧の貸出を拒否、最終的には太子には逆らえず彼を投獄しました。一見すると裏切り行為にも見えますよね。でも銭大人のような自分の野心のための単純な裏切りではありません。太子という大きな権力と、定南侯への恩の板挟みになった末の決断だと思います。
まず兵糧は軍需物資ですから。勝手に使えば横領や反乱の意志があるとみなされます。石達春が「皇帝の命令がないとできない」というのもただの言い訳とはいえないのです。
中国の官僚社会では個人の決断でも最終的に一族の命に関わってきます。一族を護るためには個人的な正義や恩義だけでは決められない。権力争いの流れを読む処世術が重要でした。石達春もそうして悩んだ結果だと思います。
華の出陣7~10話まとめと感想
商易之が青州の支配権を自分のものにしたと思ったら、皇太子が登場。皇帝はどうしても商易之を排除したいようですね。
石達春を頼ったものの兵糧の貸し出しを拒否し、商易之は苦しい立場に追い込まれ命も狙われています。商易之がどうこのピンチを切り抜けるのか気になります。
そして阿麦の正体が唐紹義にばれてしまうのでしょうか?三人の関係の変化から目が離せませんね。
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