◀ 華の出陣 31-34話あらすじ |
中国ドラマ「華の出陣~麗将・阿麦の仇討~」の35・36話(最終回)のあらすじとネタバレを紹介。
ドラマのクライマックスとなる最終回では商易之と阿麦が決別します。皇帝の座に溺れた商易之が告白した卑劣な裏切りの真実。それを知った阿麦は彼への愛を断ち切り、民の平和を守る道を選びます。
戦いの末に阿麦が掴んだものとは何か?登場人物それぞれの選択が悲しくも美しい結末を迎えます。
登場人物とキャスト
- 阿麦 (演:チャン・ティエンアイ)…主人公。南夏の靖国公の娘。
- 商易之/斉渙(演:チャン・ハオウェイ) … 定南侯の世子、実は亡き皇太子の息子。
- 常鈺青(演:ワン・ルイチャン) … 北漠軍の将軍。
- 唐紹義(演:ガオ・ゴー) … 南夏の将軍。
さらにくわしいキャスト情報は【華の出陣】キャスト・登場人物紹介をご覧ください。
華の出陣35話 あらすじとネタバレ
簡単要約
- 林相は牢獄から商易之が陳起と共謀していたと告げ二人の間に亀裂を入れようとする。
- 商易之は阿麦を宮中に軟禁するが、北漠の侵攻により彼女を前線へ送る。
- 阿麦は陳起と商易之の「調虎離山」の計略に嵌まり、唐紹儀を失い商易之への不信を深める。
あらすじ
牢屋からの裏切りと皇帝の変わりよう
投獄された林相は阿麦を呼びつけ、とんでもない秘密を打ち明けました。商易之が陳起とひそかに手を組んでいたというのです。林相はこれで阿麦と商易之の仲を完全に引き裂こうとしました。
宮中に呼び戻された阿麦が見たのは権力を手に入れた商易之がまるで別人のように変わってしまった姿でした。昔の優しい皇帝はどこへやら。彼は簡単に「処刑だ」と口にする冷たい皇帝になっていたのです。阿麦は背筋が凍りつきました。
商易之は阿麦に皇后の冠を贈り后になれと迫りますが、阿麦は拒否。すると商易之は嫉妬に狂い、唐紹儀や後宮の妃たちを殺すと脅し阿麦を宮殿に閉じ込めてしまいます。
北漠の侵攻と戦場への帰還
そうこうしているうちに北漠の大軍がまた攻めてきました。鎮北軍は「阿麦の指揮でしか戦わない」と言い張ります。商易之はしぶしぶ阿麦を前線へ送るしかありませんでした。
阿麦はもはや商易之との絆は完全に切れたと思い、民を守るために戦場へと向かいました。
一方、常鈺青は阿麦からに見せかけた手紙と割符で待ち合わせ呼び出されます。そこには罠が仕掛けられていて、常鈺青は間一髪で逃げ出しました。
陳起と商易之のひどい策略
前線で陳起と向き合った阿麦は城内から爆発音が響いたのを聞きました。民の安全を優先したい阿麦は戦場を唐紹儀に任せて兵を率いて城門へ引き返します。
その途中で常鈺青と会い罠にかけられたことを知らされました。商易之と陳起による計略だったのです。その狙いは唐紹儀の部隊を孤立させ全滅させることでした。
親友の死と商易之の恐怖
阿麦が慌てて戦場に戻ると唐紹儀は息絶えていました。阿麦は胸が張り裂けるほどの悲しみ、同時に商易之への信頼を完全に失います。
一方、商易之は阿麦に軍のトップを任せたものの、彼女が祁煜を連れて盛都へ向かっていると聞くと夜も眠れないほど不安でした。「阿麦が謀反を起こすのではないか」と恐れ始めたのです。
感想
商易之が急に暴君になってしまいましたね。いや以前から少しは前兆あったのですが。それにしてもここまで急激に変わるとはひいてしまいます。これまでのドラマで積み上げてきたものが「絶対的な権力」という毒で一瞬にして崩壊してしまった感じです。
以前の彼は誰かが死ぬことに苦悩する人物でした。でも今や「処刑」を口にするのが水のように簡単。阿麦を皇后に迎えようと迫るのも愛ではなく傲慢な支配欲のよう。拒否されて逆上して唐紹儀まで人質に取るとは。それに陳起と手を組み唐紹儀を罠にかけて殺したのもひどい。いつの間に手を組んだ?と疑問は残りますが。人間性を疑います。
華の出陣36話 あらすじとネタバレ
簡単要約
- 阿麦は商易之が鎮北軍を犠牲にして北漠との和平を図ろうとした裏切りを知り決別。
- 阿麦の殺父の仇である陳起が林相に騙されていたことを告白、阿麦の刃に倒れた。
- 阿麦は鎮北軍を率いて靖陽に帰る。そして阿麦は領土を守りながら自由を得た。
あらすじ
永遠の決別と、三人の運命が定まる時
阿麦が鎮北軍を率いて都へ迫ると商易之は追い詰められます。阿麦は宮中に乗り込み商易之と向き合いました。
商易之はかつて先帝・斉景が「韓懐成一人の命で、北漠との十年間の平和を買った」という秘密を打ち明けました。そして自分もそのやり方を真似て鎮北軍を犠牲にする密約で平和を得ようとしたのだと告白します。
それを知った阿麦の心は凍りつきました。激しい怒りと共に絶望した彼女は商易之に「兵を率いて靖陽に戻る。これからは、あなたの命令は聞くが、個人の布告は聞かない。二度と会うことはない」と永遠の決別を告げました。
陳起の最期と靖陽の平和
陳起は靖陽城を攻撃するよう命じられ、城を守る将が自分が阿麦だと知り苦しみます。
夜明け。城下に来た陳起は阿麦に一騎打ちを要求。挑発に乗って阿麦が反撃に出たその瞬間、陳起は刀剣を捨て自ら阿麦の刃に貫かれました。
息を引き取る間際、陳起は林相に騙され阿麦の父・韓懐成を両親の仇だと信じ込まされていたこと。そして「従わなければ阿麦を皆殺しにする」と林相に脅されていたため、悪事を重ねてしまったと告白します。
三年間の「均衡」と常鈺青の訪問
それから三年。阿麦の統治の下、靖陽城は豊かで平和な日々を送っていました。商易之は六度も貢物や皇后の称号を贈りますが阿麦はすべて受け取りつつ彼との面会は拒否。軍師・徐靜だけを城門へ立ち入らせました。
徐靜との会談中、阿麦のもとに常鈺青が大軍を率いて城門外に来たという知らせが入ります。常鈺青は阿麦に会うためだけに戦いの構えを見せ、再び求婚しましたが阿麦は静かに首を横に振りました。
常鈺青はこの大軍の訪問が商易之に阿麦の存在を忘れさせず、南の平和を保たせるためのものだと明かします。徐靜は商易之に「これこそが最良の均衡の形だ」と報告。商易之は寂しさを抱えながらも現状を受け入れました。
阿麦は軍営の仕事は兄弟たちに任せ自由な時間を過ごせるようになり、ついに心の安寧と民衆の平和という長年の夢を実現させたのでした。
主要キャラクターの結末
商易之(新皇帝)
- 結末: 権力と引き換えに愛を失い、孤独な皇帝として宮中に残る。
- 阿麦との関係: 阿麦は名目上は臣下となっているが、商易之の個人的な命令は聞かない。面会も拒否されている。
- 心情: 阿麦を辺境の守護者として認めつつも、彼女が謀反を起こすのではないかという不安を抱えたまま政務に専念する。
阿麦(鎮北軍統帥)
- 結末: 商易之の裏切りと親友の死を乗り越え、個人的な愛憎を断ち切って独立した将軍の道を選ぶ。
- 功績: 鎮北軍を率いて靖陽城を統治。行政簡素化と軍規厳正化で民衆の平和と安寧という生涯の夢を実現。
- 心情:愛を失うものの、個人の心の平和と自由を獲得。一人の人間、一人の将軍として正義を貫いた。
陳起(北漠の将)
- 結末: 林相に騙されていたことを告白した後、靖陽城の戦火を防ぐため、自ら阿麦の刃に貫かれて壮絶な最期を遂げる。
- 役割: 彼との最後の出会いで林相の陰謀を阿麦に知らせ、自分の命をかけて阿麦の復讐に捕らわれた心を解放した。
常鈺青(北漠の将軍)
- 結末: 阿麦への変わらぬ敬意と友情を保ち、北漠と南の辺境の平和の維持に尽力。
- 行動: 大軍を率いて靖陽を訪れるという軍事的な行動によって阿麦の存在価値を商易之に思い知らせ、平和の抑止力としての役割を果たす。
唐紹儀(鎮北軍の将軍)
- 結末: 商易之と陳起によるの残酷な計略に嵌まり、主戦場で孤立し非業の戦死を遂げる。
- 影響: 彼の死は商易之の裏切りを明らかにして阿麦が皇帝と完全に決別する要因となった。
華の出陣 最終回まで見た感想
商易之が皇帝になったとたんに暴君になってしまいました。いろいろ意見はあると思いますが。ここではちょっと違った視点から感想と考察を書いてみたいと思います。
商易之が行ったのは皇帝の保身のための国内勢力粛清
商易之が目指した「鎮北軍の犠牲と引き換えの十年の平和」は先帝が「韓懐成を犠牲にして十年の平和を得た」のと同じ。
国内の強い勢力を潰せば敵が有利になります。軍事的には間違った選択なのに先帝や商易之はあえてそれを行いました。
実は先帝の最大の目的は北漠との平和ではなく、自分を脅かす強い軍閥(韓懐成)を排除して皇帝の権威を確かなものしようとしたのです。
権力基盤の弱い商易之も同じことをしました。阿麦を皇后にしようとしたのも鎮北軍の弱体化も理由にあると思います。
でもそうはならなかった。そこで陳起と協力して唐紹儀を殺害。鎮北軍に大きな被害を与えたのです。国内の敵を倒すめなら外国勢力とも手を結ぶのは現実にもよくあることです。
先帝と商易之の誤算
でも先帝は北漠の野心を見誤りました。国内最大の軍事力が消えれば北漠は長期的には必ず付け込んできます。結局、先帝は国の安全は確保できませんでした。商易之もそうなる可能性が高いです。
ご都合主義な「最良の均衡」
ドラマでは最後に阿麦と常鈺青が国境を安定させ。これが「最良の均衡」だと軍師が褒める場面があります。これはご都合主義な終わり方ですね。
- 常鈺青の外交権限への過剰な依存:
常鈺青は北漠の将軍。皇帝でも国の最高決定権を持つわけではありません。彼が私的な感情と武力デモだけで、北漠の国家戦略(南下・転戦)を数年間も左右できるという設定はあり得ませんし。彼が失脚すれば平和は崩壊します。 - 皇帝による軍閥の不自然な容認:
権力のために親友を裏切った商易之が、命令をろくに聞かない国内最大の軍閥を排除せず放置するのは不自然です。したくてもできないのかもしれませんが。現実の皇帝なら必ず分断工作などで阿麦の勢力を排除しようと試みたはずです。 - 平和の脆さ:
この平和は阿麦と常鈺青の「武力」と「個人的な関係」に全面的に依存しています。いずれ崩壊する奇跡的な状態を「最良の結末」として美化するのは無責任です。
それでも「優れた結末」である理由(ドラマ的意義)
と、いろいろ無理のある終わり方なのですが。ドラマ制作者はなぜこんな結果にしたのでしょうか?たぶん次のようなエンタメ作品としての理由があったのだと思います。
キャラクターの成長と自立
このドラマには阿麦が他者に依存する幸福を拒否。自分の正義を実現するという、一貫したテーマがあるように思います。リアリティよりも主人公の自立というテーマを優先したのだと思います。
悲劇からの「救済」
商易之の裏切り唐紹儀の死という絶望的な悲劇の後に阿麦に「心の平和」「自己実現」というご褒美を与えました。いろいろあったけど、これからは「私らしく生きられる」という場面を設定して落としどころにしました。
「理想的な将軍像」の追及
阿麦は権力に媚びず、私情に溺れず、権力も求めない、国の平和と民衆の生活だけを最優先するという、理想化された将軍として描かれました。権力者と一線を画した「清廉な武人」の象徴としてドラマを美しく締めくくりました。
結論
この終わり方は現実的ではなくすぐに壊そうですが。「主人公が権力闘争と愛憎の嵐を生き抜いて自分の正義で平和を勝ち取る」という。精神的な勝利を優先。エンタメ作品としての落としどころを追い求めた結末と言えるでしょう。そういうものが受ける社会というのもあるのかもしれません。
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