王郁(ワン・ウク)は高麗の王子。
初代国王・太祖(王建)の13男です。
ドラマ「麗・花萌ゆる8人の皇子たち」では「ペガ」という愛称で登場するワン・ウク。似たような発音の第8王子がいるため愛称で呼ばれることになったようです。
母は新羅出身。李氏朝鮮と違って高麗は一夫多妻制。高麗王には王妃が何人もいました。ワン・ウクの母:神成王后も王妃になります。ワン・ウクは側室の子ではなく嫡子なんですね。しかし、高麗に降伏した新羅の血を引いているため高麗系重臣からは警戒されました。
後に献貞王后皇甫氏と恋仲になり子供ワン・スンが産まれます。そのことで成宗の怒りをかって流刑になりました。しかしワン・スンは後に高麗王になります。
史実の王郁(ワン・ウク)はどんな人物だったのか紹介します。
王郁(ワン・ウク)の史実
いつの時代の人?
生年月日:不明(936~943年の間?)
没年月日:997年
名前:王郁(ワン・ウク)
称号:慶州院君
父:太祖(王建)
母:神成王太后金氏
内縁の妻:献貞王后皇甫氏
子供:顕宗
彼が生きたのは高麗の初代太祖~6成宗の時代です。
日本では平安時代になります。
おいたち
父は高麗初代国王・太祖(王建)。
母は神成王太后金氏。新羅の敬順王の従姉妹で、新羅が高麗に降伏したときに人質として送った姫です。
ワン・ウクがいつ産まれたかは分かっていません。
新羅が高麗に降伏したのは935年。太祖が亡くなったのは943年。その間ということになります。
既に書いたようにドラマ「麗・花萌ゆる8人の皇子たち」の「ペガ」は若き日のワン・ウクです。
ワン・ウクは新羅系の血を引いているため、新羅系の重臣からは慕われていました。その一方で、新羅系を警戒する高麗の重臣からは疎まれていたようです。太祖のあとを巡っては激しい後継者争いが繰り広げられました。王子が王になってもすぐに別の王に取って代わられてしまいます。そんな権力争いの中でワン・ウクは新羅系重臣の希望でしたが、新羅系ということで王位にはつけませんでした。
ワン・ウクは王宮を離れて暮らすことになります。晩年のワン・ウクを描いたのが「千秋太后」です。慶州院君とも言われます。
元王妃との間に子供が
ワン・ウクで有名なのは次のお話。ドラマ「千秋太后」でも描かれたできごとです。
5代国王顕宗の妃・献貞王后皇甫氏は顕宗が亡くなった後、王輪寺南側にある私邸で暮らしていました。
ワン・ウクもその近くで住んでいました。ワン・ウクはたびたび献貞王后皇甫氏のもとを訪れ、二人は親しくなりました。
やがて献貞王后皇甫氏は妊娠。元王妃が王以外の子供をみごもったとなれば大問題です。このことは王室には秘密にされていました。
992年。ワン・ウクの奴婢が屋敷に放火して家が焼けてしまいました。6代国王・成宗が慰問のためにワン・ウクのもとを訪れた時、子供がいることがばれてしまいました。
献貞王后は自分の屋敷に戻った後、産気づいて出産。その後亡くなりました。
成宗は激怒。儒教を高麗に取り入れようとしていた成宗は女性が夫以外の男と親しくなって子供を産んだことは大問題だと考えました。
ワン・ウクは先王の王妃をかどわかした罪で流刑にされました。
ワン・ウクと献貞王后の子は成宗がひきとってワン・スンと名付けられ王宮で育てられました。あるときワン・スンと対面した成宗は膝の上に上がって親を呼ぶ姿に涙を流しました。ワン・スンをワン・ウクのもとに送り届けました。
ワン・ウクは997年に死亡しました。それまでワン・スンと一緒にくらしました。
ワン・ウクは年の差カップルだった
ところで献貞王后皇甫氏は965年か966年産まれ。
ワン・ウク(慶州院君)は生年の記録はありませんが、936~943年の間だと考えられます。例えワン・ウクが943年生まれだとしても献貞王后とは22歳も離れているのです。親子並(当時の感覚だとそれ以上)に年の離れたカップルということになります。
確かに「千秋太后」でも慶州院君(ワン・ウク)は明らかにおじさんでした。それなのに若いファンボ・ソル(献貞王后)が一方的に夢中になってしまいます。ワン・ウクはそのくらい魅力のある男性だったのでしょう。
だから「麗・花萌ゆる8人の皇子たち」のペガ(ワン・ウク)は女性に人気の芸術家タイプの設定になったのでしょうね。
ちなみに「千秋太后」でも慶州院君(ワン・ウク)は音楽を愛する風流人でした。
息子が高麗の国王に
のちにワン・ウクの息子ワン・スンは即位して8代国王・顕宗となります。ワン・ウクは顕宗によって「安宗」の廟号が贈られました。
高麗王家は顕宗の子孫によって引き継がれることになります。
献貞王后は成宗の同母妹。献貞王后の姉には千秋太后がいます。
テレビドラマのワン・ウク
千秋太后 2009年 KBS 演:キム・ホジン
麗・花萌ゆる8人の皇子たち 愛称:ペガ 2016年 SBS 演:ナム・ジュヒョク
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