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仮面の王イソンは実在した?モデルになった王・世子・王妃たちを徹底解説

仮面の王イソンは実在? 1.2 韓国ドラマ紹介

韓国時代劇「仮面の王イ・ソン」は仮面をつけた世子という斬新な設定で視聴者を楽しませてくれました。

舞台は李氏朝鮮なのですが「イ・ソンは実在するの?」と思った人も多いと思います。

確かに仮面を付けたり、秘密結社が王を操っていたりと現実離れした設定なので。架空世界には違いないのです。

でも架空の舞台といいながらも歴史上は同じ名前の世子がいるんですね。

この記事では「仮面の王イ・ソン」に登場する主要なキャラクターたちと、そのモデルとなった史実の人たちを徹底的に比較します。

ドラマと史実を照らし合わせることで、「仮面の王イ・ソン」の世界がより深く理解できてドラマを楽しめると思いますよ。

※本記事にはドラマのネタバレ要素が含まれていますのでご注意ください。

 

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主人公イ・ソン:悲劇の世子と改革を夢見た王

ドラマのイ・ソン

仮面をつけたまま育てられた世子イ・ソンは正義感の強い世子。仮面を付けて生活しなければいけない理由を探るうちに庶民の苦しい生活を知ってしまいます。朝鮮を裏で操る辺首会の存在に気づき、彼らを倒そうと決意します。

史実の同名の世子イ・ソンとは違い、最後は王として国を導くことになります。

 

史実のイ・ソン 思悼世子(サドセジャ)

ドラマと同じ名前 イ・ソン

名前は李愃(イ・ソン)。ドラマのイ・ソンと同じ発音。

第21代国王・英祖の息子。「思悼世子(サドセジャ)」や「荘献世子(チャンホンセジャ)」とも呼ばれ、後の国王・正祖(ドラマ「イ・サン」の主人公)の父親にあたります。

思悼世子(サドセジャ)

思悼世子(サドセジャ)の肖像画

 

悲劇的な最期

聡明だったとされる一方で精神的に不安定になり奇行が目立つようになり、父・英祖の命令で米びつに閉じ込められ、餓死するという悲劇的な最期を迎えました。その死因については、重臣たちが英祖に思悼世子の悪行を誇張して伝えたためなど、様々な説があります。

ドラマでの描かれ方

思悼世子はドラマ「秘密の扉」や「大王の道」では主人公として描かれ、「イ・サン」にも登場するなど、韓国時代劇ではよく知られた人物です。息子の正祖のイメージを考慮してか、悲劇的な人物として描かれることが多いです。

実際の人物像

実際には精神的な問題を抱え暴力的だったという記録もあります。愛人パク・ピンエが彼の暴力によって亡くなったという記録も存在します。

近年の再評価

近年では悲劇の英雄として再評価する動きもあり、もし思悼世子イ・ソンが王になっていたら…という視点で描かれるドラマも増えています。

仮面の王イ・ソン」の主人公に同じ名前が与えられたのも、そうした背景があるのかもしれません。

 

ドラマとの関連性

ドラマのイ・ソンと史実の思悼世子は同じ名前を持つという共通点があります。でもドラマでは悲劇的な死を迎えることなく、困難を乗り越えて王になるところが大きく違います。

史実の思悼世子に対する人々の「もし彼が王になっていたら…」という願いが込められているのかもしれません。

史実のイ・ソンについて詳しく知りたい方はこちらの記事をどうぞ。

思悼世子(サドセジャ、イ・ソン)イ・サンの父はなぜ死んだの?

 

正祖もイ・ソン?

一般に、正祖の本名「祘」は普通は「サン」と読みます。

ところが、「」は「ソン」と読むのではないかという説もあります。

王の名前であるという表記とともに、「ソン」と発音すべきと書いてある。

(ソン・デフン(成垈勳)『韓国人も知らない朝鮮王朝史』新星出版社、2014年、p.153。)

つまり正祖も「イ・ソン」だった可能性が・・・

ドラマ「仮面の王イ・ソン」のイ・ソンは、実在のイ・ソン(思悼世子)と王になったイ・サン(正祖)を足したような設定かもしれませんね。

 

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イソン以外の人物のモデル

国王(イ・ソンの父):苦悩する父王と英祖の影

ドラマでの描かれ方:辺首会に苦しめられる王

イ・ソンの父。王になる前の名前はクムニョン大君。

王になるため辺首(ピョンス)会に入会して前の王を毒殺。王座につきました。毒を飲まされ辺首会に操られています。

辺首会に入ったことを後悔し、息子イ・ソンには自分と同じ道を歩ませたくないと思っています。そこで息子イ・ソンの素性を隠すため仮面を付けさせました。ドラマ前半で辺首会によって命を落とします。

王のモデル:第21代国王 英祖(ヨンジョ)

朝鮮 英祖 肖像画

朝鮮 英祖 肖像画

英祖の生い立ちと即位

第21代国王・英祖は、第19代国王・粛宗の息子。母はドラマ「トンイ」でおなじみの淑嬪崔氏です。王になる前の称号は延礽君(ヨニングン)でした。兄の景宗が早くに亡くなったため、王位を継承しました。

息子・思悼世子との悲劇

英祖は非常に厳しい性格で、奇行が目立つ息子・思悼世子(イ・ソン)を厳しく叱りました。思悼世子が精神的に不安定になり問題行動を起こすようになると、ついには米びつに閉じ込めて餓死させるという悲劇的な結末を迎えました。

しかし英祖は自らの行いを後悔、孫の正祖(イ・サン)を世孫に指名しました。

景宗毒殺説

先王・景宗は英祖の異母兄弟。即位から4年で亡くなりました。そのため英祖による毒殺説も一部でささやかれました。実際にイ・インジャの乱では、英祖が王位を不当に奪ったという主張がなされました。

しかし景宗は体が弱く精神的にも不安定だったため、毒殺説は対立する派閥による濡れ衣の可能性が高いとされています。

 

ドラマとの関連性:英祖の複雑な側面と父の愛情

ドラマの国王が先代王を毒殺して王位についたという設定や、息子を思う苦悩の姿は英祖の複雑な側面を表現しているのかもしれません。

辺首会に操られるのは作り話ですが、英祖自身も臣下との関係に悩んだ面があったとされています。

息子のために仮面をつけさせるというドラマオリジナルの設定は、英祖が思悼世子を巡る状況に心を痛めていたことを象徴的に表しているのかもしれません。

 

ドラマの先代王:辺首会に倒された暴君?

先王の設定

ドラマ「仮面の王イ・ソン」では先代の王は辺首会によって毒殺されたという設定です。暴君だったとされ、その暴君に父を殺されたテモクが復讐を誓い朝鮮を支配しようとします。

ドラマの時代背景

ドラマ「仮面の王イ・ソン」の舞台設定は1700年代。史実ではちょうどこの時代に朝鮮の王だったのは英祖と正祖です。英祖の前の王といえば粛宗・景宗です。

史実の先王・景宗との比較

英祖の前の王は景宗。景宗は第19代国王・粛宗と禧嬪張氏の息子。粛宗の死後に王位を継ぎましたが4年で病死しました。景宗が暴君であったという記録はありません。

粛宗の影響?

第19代国王・粛宗は在位中に何度も朝廷内の派閥を入れ替える政争を行い、そのたびに多くの重臣が処刑されました。また王妃も交代させました。ある意味、わがままで恐ろしい王だったかもしれません。そのため粛宗に恨みを持つ者がいても不思議ではありません。ドラマ「テバク」のイ・インジャも粛宗による政変で一族を殺されたことを謀反の理由としています。

ドラマの先代王のモデル

ドラマの先代王は、こうした粛宗の恐ろしい側面をさらに強調した人物として設定されたのかもしれません。

 

ドラマの王妃(大妃)冷徹な野心家

ドラマでの描かれ方

国王の正室であり、イ・ソンの実母ではありません。一見優しそうに見えますが、邪魔者は容赦なく排除する冷酷な一面を持ち合わせています。物語の途中で大妃となりますが、イ・ソンの素顔を知りません。

王のモデル英祖には妃が二人います。最初の正室・貞聖王后徐氏と2番めの正室・貞純王后金氏です。それぞれドラマの王妃との共通点と違う所を比較してみましょう。

王妃のモデル1・貞聖王后徐氏

12歳で結婚し65歳まで一緒に暮らしました。王妃としての在位期間は33年。意外なようですが、朝鮮王朝で最も王妃としての在位期間が長い王妃です(世子嬪や大妃の期間は含めない)。そのわりにドラマには出てきません。事件にも巻き込まれず、問題も起こさず、何事もなく暮らしたのでドラマの題材にはならないのでしょう。

共通点
  • 英祖の正室であるという立場は共通しています。
  • 表面的には穏やかで王室の安定を願う姿勢を見せる点は、ドラマ序盤の王妃の振る舞いと共通するかもしれません。
違う点
  • 史実の貞聖王后は寛容で心優しい性格。政治的な野心や陰謀とは無縁であったとされています。邪魔者を容赦なく排除するドラマの王妃の冷酷さとは大きく異なります。
  • ドラマではイ・ソンの素顔を知らないという設定ですが、貞聖王后は思悼世子を実の息子のように支えたとされています。

貞聖王后徐氏の詳しい説明はこちら

 

候補2:貞純王后金氏

貞純王后は英祖の二番目の王妃。政治的な野心と手腕を持っていたことで知られています。実際には英祖正祖には本人が政治的に関わることはありませんでしたが、身内は正祖と対立しました。正祖の死後、純祖の初期には垂簾聴政を行い正祖の行なった改革を破壊したとされています。そのためドラマでも悪役として描かれる事が多いです。

共通点
  • 英祖の継妃、夫亡き後も王室に大きな影響力を持ったという点はドラマで大妃となる王妃と共通します。
  • 政治的な手腕を発揮し、時には強硬な手段も辞さないという点でドラマの王妃の野心的な側面と重なります。
違う点
  • ドラマの国王には妻は一人だけのように描かれていますが。貞純王后は2人めの正妻です。
  • ドラマの王妃は国王の正妻のため相応の年齢設定ですが。貞純王后は英祖の孫に近い年齢で思悼世子よりも年下でした。年齢が大幅に違います。

貞純(チョンスン)王后/大妃金氏の史実・イサン亡き後の朝廷の支配者 

 

結論:二人の妃の要素を併せ持つドラマの王妃

上記を比較すると、ドラマの王妃(大妃)は、貞聖王后の「英祖の正室」という立場や表向きの穏やかさ、そして貞純王后の「王室への強い影響力」や「政治的な野心」といった要素を併せ持っていると考えられます。

史実の貞聖王后の温和さだけでは、悪役としての存在感はありません。貞純王后は若すぎます。

なので「仮面の王イ・ソン」の王妃(大妃)は英祖の二人の妃、貞聖王后と貞純王后のそれぞれの特徴を巧みに組み合わせ、ドラマの展開に必要な悪役として創造された人物といえそうです。

 

楹嬪(ヨンビン):心優しい母

イ・ソンの母親。国王の側室。イ・ソンの素顔を知る数少ない人物。心優しい性格という設定。

ドラマでの描かれ方:

イ・ソンの実母であり、国王の側室。イ・ソンの素顔を知る数少ない人物の一人で、心優しい性格として描かれています。

モデルになった人物:暎嬪李氏(ヨンビンイシ)

暎嬪李氏は英祖の側室。思悼世子の生母です。英祖に深く愛されたと言われています。息子の思悼世子が精神的に不安定になり数々の問題行動を起こすと、孫の正祖を守るために苦渋の決断をしました。

そこで暎嬪は孫を守るためある決断をしました。息子の思悼世子を罰する代わりに、孫は助けてもらうよう英祖に懇願したと歴史の記録『朝鮮王朝実録』には書かれています。

ドラマとの関連

ドラマでのヨンビンの心優しい性格は史実の暎嬪李氏の温かい一面を表していると考えられます。また息子の将来を心配する母親としての姿は、史実での暎嬪李氏の葛藤や、孫を心配する姿を表現しているのかもしれません。

暎嬪李氏(ヨンビン)の詳しい説明はこちら

 

その他の登場人物について

ドラマにはヒロインのカウンや、辺首会の首領テモクなど魅力的なオリジナルキャラクターも多数登場します。

これらのキャラクターには特定のモデルになった歴史上の人物はいないと考えられますが、当時の社会情勢や人々の暮らしを反映した要素が盛り込まれている可能性はあります。

 

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辺首会(ピョンス会):影の支配者と実在した水利権組織

ドラマでの描かれ方

「仮面の王イ・ソン」では朝鮮王朝を影で操る秘密結社として描かれています。元々は王の手先として働いていました。しかしテモクの父が先代王に殺されたことから復讐を誓い、強大な力を持つ組織へと変貌しました。

モデルとなった可能性のある史実の組織:辺首会

史実でも1700年代に辺首会という組織が存在していました。彼らは朝鮮八道の水の利権を握り、大きな富と権力を持っていたとされています。

ドラマとの関連性

ドラマに登場する辺首会は史実の辺首会が持っていた水利権という基盤を、さらに強大な政治力を持つ秘密結社として誇張した存在。

実際の辺首会は大きな富と権力を持ち役人に賄賂を送り、自分たちに都合のいいように便宜をはかってもらっていました。ある意味、裏で役人を動かしているとも言えます。

その辺首会が朝廷まで動かすほどの力を持っていたら・・・というのが「仮面の王イ・ソン」のようですね。

辺首会や水を売る商売についてはこちらで詳しく紹介しています。
辺首会(ピョンス会)は実在したの?

 

まとめ:「仮面の王イ・ソン」は史実を基にしたファンタジー

「仮面の王イ・ソン」は世子の名前が同だったり、王の裏で暗躍する組織や先代王の暗殺などドラマ「秘密の扉」との類似点が見られます。

でも主人公の名前が同じなこと以外は歴史上の人物とドラマのキャラクターは大きく違います。ストーリーも史実や「秘密の扉」とは全く異なる展開を見せます。

特に仮面をつけた王子という奇抜な設定や、現実離れした物語の展開は好みが分かれるかもしれません。

でも韓国ドラマは歴史的事実よりも、物語の面白さや登場人物の魅力が重視される傾向があります。

「仮面の王イ・ソン」も、歴史上の人物をあくまで設定の参考程度にしたファンタジー作品として楽しむのと良いと思います。

「仮面の王イ・ソン」は史実を基にはしていますが、大胆な脚色を織り交ぜたエンターテイメント作品です。歴史の知識を深めるだけでなく、ドラマならではの想像力豊かな物語を楽しんでくださいね。

今回は人物の設定に影響を与えた歴史上の人物を紹介しました。ストーリーに影響を与えたと思われる作品もあるので、こちらで検証しています↓

「仮面の王イ・ソン」の元ネタは「王子と乞食」+「仮面の男」?

 

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