中国ドラマ「大唐女法医 Love&Truth」は唐の時代が舞台の時代劇。
ヒロインの仕事は検視人。生きてる人を治療する「医師」ではありません。犯罪捜査のために医学の知識を応用する「法医学」のお話です。
「法医」という言葉は明治の日本でヨーロッパの専門用語を翻訳するときに生まれたので唐の時代には「法医」という言葉はありません。
でも唐には「仵作」という 験屍(遺体を調べること)をする人がいました。そんな遺体を調べる人がヒロイン。という異色の時代劇です。
随の煬帝が残した「随候の珠」とよばれる秘宝をめぐって冉顔、蕭頌と 随朝復興をめざす謎の組織 火麒社(かきしゃ)が争奪戦を繰り広げます。
冉顔とコンビを組む 蕭頌、危ないときに助けてくれる謎の男・蘇 伏、知識は凄いけど天然で陽気な書生・桑辰たち冉顔と彼女をめぐる男たちの恋の駆け引きもみどころ。
「大唐女法医」の主な登場人物を紹介します。
一部ネタバレ要素があるのでご注意ください。
大唐女法医のみどころ
原作は「金玉満唐」という小説。中国や韓国によくあるタイムスリップもの。
ヒロインの冉顔は現代の法医学者。現世で誤って殺された冉顔は唐の貞観年間に転生。だから合理的な考え方や法医学の知識も現代人のもの。現世での知識や経験を活かすために検視人になったという設定。皇子同士の争いがあって謀反に発展したり。冉顔と蕭頌が結婚して子供ができたり。
ドラマ「大唐女法医」ではタイムスリップ要素をバッサリ削除して唐の時代に生まれ育った人物として設定。
原作とは変更された部分が多く、別のドラマみたいになってます。
ミステリーではなくラブコメ
母親の死の真相を知るため 仵作(検視人)になったヒロイン 冉 顔(ぜん・がん)とエリート捜査官の蕭 頌(しょう・しょう)がコンビを組んで事件解決に挑むミステリー時代劇。
といってもヒロインが遺体を解剖する場面はありません。遺体を見たり触ったりして判断するのががほとんど。
検視といっても雰囲気だけなので、そういうものが苦手な人も安心してください。逆に本格的なサスペンスや法医ドラマを期待するとがっかりします。
中国での評判はアイドルや美形タレントの採用で注目を集め話題になりました。でも、内容の方はというと中国の視聴者の評判は10点満点中4.3点と低評価。
サスペンスにしてはドタバタしてる。
ラブコメと割り切って見たほうが良いかも知れません。
でもそれでもドラマの内容は賛否両論、というか評判はよくありません。いちあたりばったりでくっついたり離れたりを繰り返している感じです。
主要登場人物
冉 顔(ぜん・がん)
母の死の真相を探る女検視人
演:周潔瓊(チュ・ギョルギョン)
几帳面で論理的・女性でも経済的な自立が必要と考える唐の時代の人らしくない現代的な考えの持ち主。
名門の冉家の長女。ところが幼い頃に母が死亡してしまいます。母の死因を突き止めるために6歳で検視人・呉修和(ご・しゅうわ)に弟子入りして知識と技術を学びました。当時の唐では検視人は卑しい仕事。若い女性が死体に触るのはあってはならないこと。女性の検視人は存在しない世の中ですが。冉顔(ぜん・がん)はそれでも母の死の真相を知りたかったのでした。
成人後は継母に「薬問屋の蘇家の庶子(次男)」と無理やり結婚させられそうになり家出。別宅で侍女とともに暮らしています。
優秀な検視人で、死体が真実を語ってくれると信じています。
刑部侍郎の蕭頌(しょう・しょう)と出会い、雇われ検視人になります。蕭頌からは「小狐」(中国版では 狐狸)とあだ名されます。
事件を解決していく途中で何度となく謎の男・蘇伏(そ・ふく)に助けられます。やがて蘇伏に惹かれる冉顔。ところが蘇伏は親の決めた結婚相手「蘇家の庶子」でした。
冉家と蘇家の間で結婚話がまとまり蘇伏と婚姻します。ところが冉顔の言動が気に入らないと蘇家から破談にされてしまいます。
その後、蕭頌が冉顔を娶ると宣言。
事件を解決して皇帝を救ったものの。一族の者が謀反を企んだので蕭頌とは離縁させられ長安を追放。蘇州に戻って検死人を続けます。
その後、蘇州にいる冉顔の前に再び蕭頌が現われ・・・。そしてもうひとり。
冉顔 を演じるのはK-POPアイドルとしても活躍したことのある 中国浙江省出身の チュ・ギョルギョン(周潔瓊)。ドラマ初主演。
蕭 頌(しょう・しょう)
地位も実力もあるエリート捜査官
演:李程彬(トビー・リー)
唐の刑部侍郎。「刑部」は唐では警察司法担当の役所。「侍郎」は尚書(長官)に次ぐナンバー2の地位。現代的にいえば「警察庁次長」。かつての南朝 南斉の王族・蘭陵蕭氏の出身。つまり名門中の名門。
「長安の閻魔」(中国版では 官場鬼見愁)とあだ名されます。鬼見愁=鬼が見たら悲しんでしまう=犯罪者から恐れられている、という意味でしょうか。
皇帝・李世民からも信頼される有能な人物。でも期待されているがゆえに李世民の態度はなかなか厳しい。
太宗・李世民から密命を受けて秘宝「随侯の珠」を探すために蘇州に来ました。
冉 顔(ぜん・がん)からは「蕭人魚」と言われます。というのも初めて出会ったのが風呂場だったから。
冉 顔のことは「部下」としか思っていませんでした。一緒に事件を解決している間に、自分の本心を知り。やがて冉顔が気になる存在になります。でも好きと言えずに意地悪してしまう。
冉顔とは、くっついたり離れたりを繰り返します。
最後は朝廷を揺るがす事件を解決して出世します。でも、李世民からは冉顔との結婚の許可がでず会うことを禁止されてしまいます。それでも冉顔に会いたくて冉顔のもとを訪れて・・
蕭頌を演じるのは台湾出身の俳優 トビー・リー(李程彬)
蘇 伏(そ・ふく)
許嫁は刺客?2つの顔をもつ謎の男
演:裴子添(ペイ・ズーティエン)
表の顔は薬問屋の蘇家の庶子(次男)。親の決めた冉顔の婚約者。
裏では 秘密組織 火麒社(かきしゃ)のメンバー。冷徹で凄腕の刺客。「狼」(中国版では 蘇一匹狼)のあだ名をもちます。
組織の命令で「随侯の珠」を探しています。随侯の珠の行方を探すため、冉顔を騙していましたが、冉顏に恋してしまいまいました。
冉顔を助けるために自ら紫枯散(傀儡薬)を飲み。火麒社の手引で大理寺(刑務所)の長官になります。
最後は冉顔を守るため冉雲生と相打ちになります、が。
蘇伏を演じるのは「コウラン伝」で 趙の将軍・高昊陽を演じた ペイ・ズーティエン(裴子添)。
桑辰(そう・しん)/崔辰(さい・しん)
頭脳は凄いけど天然
演:藍博(ラン・ボー)
冉顔からは萌兎(中国版では 桑萌兎)と呼ばれています。博陵崔氏の出身。
優秀な学者。富や名声には関心がありません。明経科(科挙の科目)では4年連続で首席でしたが、役人になるのが嫌で逃亡しました。
その後は教堂で学生に学問を教えています。最高の知識をもつ有能な人物ですが、遺体を見ると気絶してしまうほど気の弱いところがあります。
冉顔をみたとき「女神が地上に降りてきた」と驚き、その後は熱烈にアプローチします。
でも冉顔には相手にされません。
事件の解決に協力したことで太宗・李世民から弘文館大学士の職を与えられます。
その他
白義(はく・ぎ)
演:王一哲(ワン・イージョー)
蕭頌の部下。刑部隊正。あだ名は「忠犬」。
蕭頌を慕うあまり、冉顔にはきつく当たりがち。
呉修和(ご・しゅうわ)
演:鳳翔(フォン・シャン)
検視人。冉顔の師匠。熱を出していた6歳の冉顔を助けました。それ以来、検視の技術と知識を冉顔に教えました。今では冉顔に教えられることもありますが、冉顔が可愛くて仕方ありません。
しかし事件の犠牲者に。
晩緑(ばん・りょく)
演:袁子芸(ソニア・ユエン)
冉顔の侍女。冉顔とは強い絆でむすばれています。
冉聞(ぜん・ぶん)
演:劉秀(リウ・シウ)
冉顔の父。冉顔の母が死亡後は冉顔を避けがち。
高氏
演:黄妮娜(ニーナ・ホアン)
冉聞の二人目の妻。冉顔の継母。冉顔を薬問屋の庶子と結婚させようとします。
秘宝のありかを記した羊皮紙を探すため、虞徳志を殺害。その後、喬楚と虞婆婆を殺害しました。冉顔の生母を殺害したのも高氏。
冉美玉(ぜん・びぎょく)
演:屠畫(トゥ・ファ)
冉顔の異母妹。蕭頌にあこがれています。蕭頌と冉顔の仲を裂くためにいろいろ企みます。蕭頌に媚薬を飲ませ、結婚直前までこぎつけますが失敗。
よくある意地悪な異母姉妹。
虞婆婆
演:夏小帆
虞徳志の母。随朝で煬帝に使えていた宮女。煬帝の死後、隋侯の珠のありかを記した羊皮紙を虞徳志に渡しました。
虞徳志
演:聶曉
虞婆婆の子。喬楚の夫。煬帝の死後、隋侯の珠のありかを記した羊皮紙を持っていましたが。何者かに殺害されました。
喬楚
演:王美薇
虞徳志の妻。何者かに殺害されます。
東陽夫人
演:高蓓蓓
蕭頌の伯母。
物語中盤。火麒社の首領だと明かされます(本当の首領は別にいます)。蘇伏の上司。冉顔の命とひきかえに蘇伏を脅して操ろうとします。最終的には蘇伏に殺害されます。
冉雲生(ぜん・うんせい)
演:代庭容
冉顔のいとこ。長安の宝石商。太宗・李世民の娘・巴陵公主とも親しくしています。冉顔をかわいがっており、冉顔の母親の墓を一緒に探したこともあります。
ネタバレ
最終回。火麒社の本当の首領だったことが明かされます。隋朝皇族の子孫を自称しています。
唐王室
李世民(り・せいみん)
演:程皓楓(チョン・フォン)
唐王朝の第二代皇帝。隋候の珠を探すように蕭頌に命令します。
蕭頌を信頼しているといいながらも厳しい。
巴陵公主
演:史卿妍
李世民の娘。蘇伏を気に入っています。
李承乾(り・しょうけん)
演:祁亜軒
皇太子。謀反を企み幽閉に。
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