「チャン・ヨンシル」にはユ・バンテクという役人が登場します。書雲観という天体観測を行う役所の責任者です。
高麗時代から書雲観で働いている人なのですが、朝鮮王朝に不満があり高麗を復興させようとしてるという設定でした。
ユ・バンテクにはモデルになった人物がいます。柳方澤(ユ・バンテク)という人物です。この人も高麗と朝鮮時代に書雲観で働いた人物です。ドラマ前半で問題になる天文図を実際に作った人なのです。
史実の柳方澤(ユ・バンテク)はどんな人物だったのか紹介します。
柳方澤(ユ・バンテク)の史実
いつの時代の人?
生年月日:1320年
没年月日:1402年
名前:柳方澤(ユ・バンテク)
雅号:琴軒(グムホン)
父:柳成臣
妻:孫埃の娘
子供:3男2女
彼は朝鮮王朝(李氏朝鮮)の主に12代仁宗~13代明宗の時代です。
日本では室町時代の人になります。
おいたち
高麗時代
1369年。恭愍王の時代に儒学生となりました。
1374年。科挙に合格。役人になりました。
書雲觀の判事を務めました。書雲観は天体観測をする高麗の役所です。
高麗王朝末期、李成桂や鄭道伝が急激な改革をしようとしました。長男・柳伯濡はその改革に反対し、流刑になりました。
李成桂がクーデターをおこして高麗王朝が滅亡。朝鮮王朝ができました。
朝鮮時代
一説には柳方澤は故郷に戻って身を隠したといわれます。鄭夢周たち高麗の忠臣を祀るお堂をたてて供養していたといいます。戻ってくるように朝鮮王朝が何度も要求してようやく戻ってきたといわれます。
ただしこの話は民間伝承なので本当かどうかはわかりません。
あからさまに朝鮮王朝に盛られば一族もろとも流罪になったり身分をおとされてしまいます。
蒋英実(チャン・ヨンシル)の家族がそうでした。蒋英実の父・蒋壁曲(チャン・ソンフィ)は高麗の高官でしたが、賤民におとされてしまいました。
柳方澤は朝鮮に仕えたことから、目立った抵抗はしていなかったようです。
しかし柳方澤は高麗王朝が倒され、朝鮮王朝になったのは不満だったようです。とはいっても生き残るためには朝鮮に従うしかありません。柳方澤と息子たちは朝鮮王朝に仕え続けました。
天文石版・天上列車分野地図
ドラマ「チャン・ヨンシル」にも登場した天体図の刻まれた石版。ドラマではユ・テクサンたち高麗遺臣の陰謀が隠されているという設定になっていました。
実物の作成には柳方澤が関わりました。この天文図はもともとは高麗の平壌にあった天体図でした。
しかし戦争で川に落ちてしまいました。李成桂は残念に思って、作り直すことを命令しました。この天文図の作成には星の位置を計算する必要がありました。この計算を柳方澤が担当しました。
1395年(太祖4年)。天上列車分野地図が完成しました。
太祖・李成桂は、柳方澤の行った天文計算の功績を認めて一等功臣にしようとしましたが、辞退しました。
そして松都の鷲嶺山のふもとに屋敷を建てて移り住みました。
柳方澤は音楽を愛する芸術家でもありました。自ら琴を演奏していたようです。
死ぬ前に二人の息子を呼んで、「私は高麗人として死ぬ。私の墓を建てるな」と言い残しました。
テレビドラマ
チャン・ヨンシル 2016 KBS 演:イム・ヒョク
歴史上は優れた功績を残した人です。ドラマでは謀反人のような描かれた方をされているのは気の毒ですね。
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