ドラマ「鉄の王キム・スロ」に登場するイジンアシは歴史上に名前の残る人物。
大伽耶国を建国した伊珍阿豉(イジンアシ)です。
金官加羅国を建国した金首露(キム・スロ)とほぼ同じ時代に生きて国を作った人物といわれます。
伊珍阿豉(イジンアシ)とはどんな人物だったのか紹介します。
伊珍阿豉(イジンアシ)の史実
いつの時代の人?
生年月日:不明
没年月日:不明
名前:伊珍阿豉(イジンアシ)
父:夷毗訶(イビカ)
母:正見母主(チョンギョン)
大伽耶国の初代国王です。大伽耶国は高霊国ともいいます。
大伽耶というのは伽耶諸国連合(加羅)の中で一番強い国の呼び名です。時代によって大伽耶とよばれた国は違いました。金官加羅が大伽耶(大加羅)とよばれたこともあります。
最終的には高霊国が加羅諸国連合で一番強い国になりました。そこで大伽耶といえば一般的には高霊国を意味します。
伊珍阿豉と同じ時代に金首露が金官加羅を建国しました。
そのころ高句麗ではムヒュルが王になっていたともいわれます。
古代には加羅と書くことが多かったようです。現在の韓国では漢字で書くときには伽耶と書くのが一般的です。古代にも伽耶という呼び方は一部ではあったです。でも加羅と伽耶をどのように使い分けていたのかはよくわかっていません。
日本では古墳時代になります。
おいたち
大伽耶の建国神話には2つのパターンがあります。
ひとつは卵から産まれた説。もう一つは伽耶山の女神から産まれた説です。
卵から産まれた説
金首露の誕生神話として有名なお話です。
加羅の人々は村ごとに分かれて生活していました。金官加羅の族長たちに「あなたたちの王が降りてくる」という神のお告げがありました。族長たちは村人を連れて金海にある亀旨峰に行き、空に向かって祭祀を行いました。
すると空から光がさして赤い風呂敷に包まれた金色の箱が降りてきました。箱の中には6つの卵が輪を描いて並んでいました。12日後、卵から最初の子供が産まれました。それが金首露(キム・スロ)です。他の卵からも男の子が産まれました。その中のひとりが伊珍阿豉(イジンアシ)です。
この神話では金首露が最初に産まれてその次に伊珍阿豉が産まれたことになっています。加羅諸国の中でも金官加羅が強かった時代に作られた話かもしれません。
女神から産まれた説
新増東国輿地勝覧という李氏朝鮮時代に作られた書物にその物語が載っています。
朝鮮の民間信仰では伽耶山には山神が住んでいると考えられていました。山神の名は正見(チョンギョン)。一般には正見母主と呼ばれる山神です。
正見母主は天の神・夷毗訶(イビガ)と結婚して二人の子供を生みました。夷毗訶は天の神ですが、駕洛国(金官国の別名)で信仰されているローカルな神様だったようです。
正見母主は二人の男の子を生みました。それが惱窒朱日と惱窒靑裔です。
兄の惱窒朱日は伊珍阿豉(イジンアシ)とも呼ばれ、大伽耶の王になりました。
また、高麗時代に作られた歴史書「三国史記」では内珍朱智が大伽耶を作ったと書かれています。内珍朱智と惱窒朱日は同じ発音で漢字が違うだけなので同じ人物なのは間違いありません。
伊珍阿豉と内珍朱智は発音は違うのですが、同じ人物だといわれています。
弟の惱窒靑裔は金官国の王になりました。金首露(キムスロ)のことだといわれます。
金首露は母親に似て顔は白く細長かったといいます。伊珍阿豉は顔が丸く太陽のように赤かったといいます。
こちらの話では伊珍阿豉が兄で金首露が弟です。
大伽耶が伽耶連合の盟主だった6世紀頃に作られた話ではないかといわれています。
加羅諸国のリーダーになった大伽耶でしたが
最初は加羅諸国連合の中で一番強かったのは金首露のいる金官加羅でした。
商業で栄えた金官とは違い、内陸にあった高霊国は農業が盛んだったと考えられます。
加羅諸国は統一されることはなく、ずっと小さな国の集まりでした。しかし新羅や百済が領土拡大を続けると、加羅諸国は攻撃を受けるようになります。
400年ごろ。金官は新羅・高句麗連合に攻められて衰退します。被害の少なかった高霊国は加羅諸国の盟主になりました。
479年。古代中国の南朝・齊に使者をおくりました。このとき大伽耶を名乗っています。
しかし百済との戦争で領地を失います。
532年。金官国は新羅に攻められて降伏しました。
562年。新羅の真興王に攻められて大伽耶は滅亡しました。
加羅諸国の中では抵抗を続けたほうですが、新羅には敵わなかったようです。
残った国も百済や新羅に吸収されて加羅諸国は滅亡します。
そして高句麗、百済、新羅の三国時代がおとずれるのです。
テレビドラマ
鉄の王キム・スロ MBC 2010年 演:コ・ジュウォン、ウォンドクヒョン
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