韓国時代劇を見ていて、同じ「父上」「母上」と訳されているのに、どこか響きが違うと感じたことはありませんか。
実はそこには王族か両班か庶民かという厳しい身分秩序がはっきりと表れています。
韓国時代劇に登場する父母の呼び方を王族・両班・庶民の身分別に解説。アバママやオモニムなどの違いと字幕とのズレ、聞き取りのポイントまで分かりやすくまとめました。
呼び方に注目するだけでドラマがさらに楽しめますよ。
この記事で分かること
- 王族・世子・両班・庶民で異なる「父」「母」の呼び方の違い
- アバママ/チョハママ/アボニムなどの格式と使い分け
- 字幕では同じでも実際のセリフが持つ身分的ニュアンス
- 「ニム」「ママ」など語尾から分かる敬意と距離感の読み取り方
父・父上:アボジ・アバママ
韓国時代劇での「父」の呼び方は、その家が王族か両班・庶民かによって違ってきます。
父媽媽(父上様) アバママ(아바마마)
宮中用語。父が国王の場合にのみ使われる特別な呼び方です。
王子や王女が国王である父を呼ぶときに用います。
「アバ(父)」+王族への尊称「媽媽(ママ)」を組み合わせた言葉です。
父を呼ぶ表現としては最高の格式です。そのため他の王族や両班などの上流階級でも使うことはありません。
皇室・公家や将軍・大名家で使っていた「御父様(おとうさま)」に近いです。
日本語字幕の例:父上、お父様、王様
邸下媽媽 チョハママ(저하마마)
宮中用語。父が世子の場合のみ使われる用語。
「アバママ」は国王専用の尊称なので、まだ王になっていない父に使うことは不敬にあたるとされました。
そのため
「世子の敬称:邸下(チョハ)」+「媽媽」でチョハママと呼びます。
父上邸下(アバチョハ)という言い方もあります。
日本語字幕の例: 父上、お父様
父上 アボニム(아버님)
父親を丁寧に少し距離を保ちながら敬う呼び方です。
実の父親に対して礼儀正しく振る舞う場面や、王族や両班などの上流階級の家庭でよく聞かれます。
結婚した後に「義理の父」を呼ぶときにもアボニムが使われます。
日本語字幕の例: お父様、父上、義父上
父さん アボジ(아버지)
父親を呼ぶときの基本になる言い方です。
庶民から両班まで使います。
時代劇でも一般的な家庭や親子間の親密なやり取りがある場面で登場します。両班でも親子の関係が親しい場合、それほどかしこまっていない場合はアボジを使うことがあります。
日本語字幕の例: お父さん、父さん
父親 부친(プチン)
漢語由来。改まった場面や文章の中で父を呼ぶときに使われます。
他人に自分の父親を説明するときの言い方です。
日本語字幕の例:父
先親 선친(ソンチン)
漢語由来。亡くなった父のこと指します。
【補足】お父さん アッパ(아빠)
現代の韓国で最も親しみを込めて使われる言葉。
時代劇では使われません。転生・タイムスリップものやフュージョン作品では現代から来た主人公がつい口にしてしまうことがあります。
古い言い方ではアボジに相当します。
日本語字幕の例: お父さん、父さん
母・母上:オモニ・モマママ
母媽媽(母上様) オマママ(어마마마)
宮中用語。王室の王子や王女が王妃(母)に対して使う最高レベルの敬称です。
「アバママ」と対になる言葉です。母の呼び方で最も格式が高い言葉。
母が側室の場合は使いません。使われるのは王妃だけです。
側室の子も建前上は王妃の子になるので側室の子が王妃を「オマママ」とよぶことはあります。
日本語字幕の例: 母上、母上様、王妃様
母上 オモニム(어머니님)
母親を敬って呼ぶ丁寧な表現です。
解説:両班や上流階級で使います。王子・王女でも母が側室の場合はオモニムを使います。
自分の母親を敬うだけでなく、配偶者の母親(姑)を呼ぶ際にも使われます。特に嫁が義母に対して使う場面は時代劇の定番です。
庶子も嫡母(父の正室)のことをオモニムと呼びます。字幕で「奥様」となっていてもセリフではオモニムと呼んでいることが多いです。
ただし非情に厳格な場合、子と認められていない場合・母と言いたくない場合は本当に奥様(마님:マニム)と呼んでいる場合はあります。
ぶことはあります。ただし生母の身分が低い場合はそれも認められず奥様とよぶことはあります。
日本語字幕の例: お母様、母上、義母上
母さん オモニ(어머니)
母親を呼ぶ際の基本形です。
身分を問わず広く使われる言葉ですが、アボジと同様に、アボニムに比べると親近感のある響きになります。
日本語字幕の例: 母、お母さん
母親 모친(モチン)
漢語由来。改まった場面や文章の中で母を呼ぶときの言い方。
他人に自分の母親を説明するときにも使います
日本語字幕の例:母
先母 선모(ソンモ)
漢語由来。亡くなった母のこと指します。
【補足】お母さん オンマ(엄마)
現代で日常的に使われる呼び方。
アッパと対になる言葉。
時代劇でこの言葉を使うと現代から来た人物ということになります。本来の時代設定であれば、オモニが使われます。
両親:プモ
子が人に両親を紹介する時に使う言い方も紹介します。
父母 부모(プモ)
漢語由来。両親をよぶときに基本的な言い方
父母に直接言うのではなく会話の中で両親に触れたり、人に紹介するときの言い方。
日本語字幕の例:両親
父母様 부모님(プモニム)
プモを丁寧にした言い方。
意味は「両親」。
子が人に両親を丁寧に紹介するときの言い方。
他人が「ご両親」というときにも使います。
日本語字幕の例:両親、ご両親
豆知識:語尾の「ニム(-님)」って?
今回紹介した「アボニム」「オモニム」についている「ニム」は日本語の「〜様」にあたります。
上下関係が厳格な韓国では身近な家族でも相手を敬う気持ちを込めて「様」をつける文化が現代よりも強く残っていました。ドラマの中で「ニム」がついているかどうかを聞き取れるようになると、その家族の「礼儀正しさ」や「家柄」が見えてきて面白いですよ!
父と母のセリフでドラマを楽しむ
ある程度慣れて来たら字幕に頼らずに何と言ってるのか自分の耳で聞いてみるのもおもしろいです。
ここに気をつければ視聴が楽になります
聞き取るポイントはじつはシンプルです。
まず
- アボ:(父)
- オモ:(母)
が基本。これで相手が父か母を区別。
次に後ろがどう続くかに気をつけます。
- 〜ママ(媽媽) が付いたら → 王宮で使う最高の格式のある言葉。
- 〜ニム(님) が付いたら → 丁寧で距離感のある敬称
- 何も付かずに アボジ/オモニ なら → 基本形(親しみやすさ優先)
この3つだけでも身分や改まっているのか?公的な場面なのかが判断しやすくなります。
字幕との「ズレ」が面白い
日本語字幕は読みやすさ優先なのでセリフの細かいニュアンスが省略されていることがあります。
たとえば同じ「父上」でも、セリフでは
- アバママ(国王専用)
- チョハママ(世子専用)
- アボニム(丁寧な父上・王族・両班)
- アボジ(基本の父さん・両班~庶民)
みたいに全然違うんですよね。
字幕だけだと「何が違うの?」となりがちですが、ここが分かると朝鮮社会の厳しい身分秩序が伝わってくると思います。
特に「アバママ」には父が国の頂点である国王という圧倒的な身分の重みが存在しています。それが他の良家の父と絶対的に違う所です。
他に分かりやすく適切な訳語がないので仕方ないですが。だからこそ音を聞いて重みのある言葉なんだと感じ取ってみると面白いと思います。
逆に、現代劇でおなじみの「アッパ(パパ)」「オンマ(ママ)」が時代劇で出てきたら、タイムスリップや転生ものなどの特殊な設定ということ。世界が違う人間だと分かります。
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