中国ドラマ「策略ロマンス」で徐正溪(シュー・ジェンシー)演じる梁翊(りょう よく)は劈柴処 検校使という肩書をもっています。
梁翊が地位の高い役人。警察的な仕事をする人だとはわかりますが。
劈柴処 検校使って何をする仕事なのでしょうか?
梁翊はどんなキャラクターなのか、劈柴処 検校とは何なのか紹介します。
どこの国?いつの時代?
このドラマはどこの王朝かは明らかにされておらず。皇帝の名前は分からないし。郭貴妃も架空の存在。
でも人物の衣装や建物の外観、画面から受ける雰囲気的には唐~宋の時代に近いですね。唐時代にできた三省六部という組織。唐の詩人 李白の「長恨歌」が出てきたり。2話では「范寛の山水画」という言葉が出てきました。范寛(はん かん)は北宋初期の画家。
さらに銀票が使われていたり、黒色火薬の仕組みが知られていたり。宋時代に普及した技術や知識もドラマには登場します。
どうやらドラマは北宋かそれに似た王朝に設定されているようですね。
梁翊(りょう よく)とは?
演:徐正溪(シュー・ジェンシー)
他の出演作:「独孤伽羅」宇文護
劈柴処 検校史、衛遠侯。
冷徹な役人。皇帝直属の劈柴処のトップに任命され役人の不正を取り締まっています。目的達成のためには政略結婚も厭いません。昔は義侠心に燃えていましたが、6年前に父親が亡くなってから冷淡になりました。
最初は秋嫣を玉の輿を狙う女だと思って快く思っていませんでしたが、一緒に捜査をしていくうちに彼女の本心を知り惹かれていきます。
梁翊は架空の人物。モデル担った人物もいません。
では梁翊が職業にしている劈柴処 検校使って何でしょうか?
劈柴処 検校使って何?
劈柴処とは組織・部署の名前。
検校使は役職です。
劈柴処(へきさいしょ)
実は中国の歴史上。劈柴処(へきさいしょ)という組織は存在しません。ドラマオリジナルの架空の存在です。でも似たような役目の組織は存在します。
劇中では「劈柴処」は皇帝から直接命令を受けて皇帝のために働く警察組織として描かれます。
ヒロインが梁翊のことを「宮廷の鷹犬」と文句をいう場面があります。日本でも「政府の犬」といった場合。手先となって働いている人の事を言います。中国では◯◯の犬が中国では鷹や犬になっているのですね。
このセリフからも「劈柴処」が皇帝の命令で動き、皇帝のために働いていることがわかります。
劈柴処には汚職役人を捜査し、犯罪者を捕まえて処罰することができる権限があります。
歴代の王朝には皇帝の手下となって役人を見張る組織がありました。
有名なのは明の錦衣衛です。唐にも不良人と呼ばれる人たちがいました。
彼らは役人の不正を取り締まるだけでなく、皇帝の支配を安定させるために働き、皇帝にとって脅威になるものを見つけて逮捕するのも目的でした。
だから「宮廷の犬」と言われるのも当然なのです。
なぜ劈柴処なの?
劈柴(へきさい)とは切り裂いた柴。燃やすために切った木、焚き木、薪(まき)のことです。
皇帝の命令を受けて働く重要な部署なのになぜ「焚き木」を意味する言葉なのでしょうか?
実は。中華王朝で犯罪者を逮捕する役人は衙門差役、捕快と呼ばれました。彼らは直接犯人をと捕まえたり、取り押さえたりする肉体労働者。治安を担当する部署にも役人はいますが、彼らは命令するだけで実際には犯人逮捕や捜査はしません。下から来た書類を見て命令を出すだけです。
中国ドラマでは地位の高い役人が事件捜査をしたり武術を使って犯人逮捕をしてますが、あれは全部ウソです。実際の中華王朝ではドラマの梁翊クラスの地位の高い役人が自分で走って犯人を捕まえたり、凶悪犯と戦ったりするなんてありえません。全部下の者にやらせます。
衙門差役、捕快と呼ばれる人たちは地位が低く、庶民の中から選ばれます。王朝によっては賤民が担当することもあります。しかも王朝にもよりますが明朝くらいまでは衙門差役、捕快には給料がないか、あっても低賃金です。そのかわり生活に必要な食料と薪が支給されます。
薪が支給される人たち。だから「劈柴」。
ちなみに無給の捕快たちはどうやって生活していたかと言うと。庶民を脅したりしてお金を巻き上げていました。捜査すると言って庶民を脅迫、見逃してほしければお金を出せ。というわけです。だから捕快の評判は悪い。さすがにそれではマズイと言うので清朝では給料が出るようになりましたが。それでも安かったようです。
もちろんドラマの「劈柴処」は無給で焚き木だけが支給される部署ではないでしょう。名前として使っているだけだと思います。あるいはあえて貧素な名前をつけて恐ろしい部署なんだとは思わせないようにカムフラージュしているかです。
検校使(けんこうし)とは
検校使という役職は古代中国にありました。
南北朝から隋・唐時代には「検校」という役職はありましたが。正式な役職ではありませんでした。普段は存在しない役職で必要があったときだけ任命される「◯◯代理」のような仕事です。でも代理でも命令する権限はありました。
唐の後期から宋時代になると任命される人は増えますが。権限は与えられません。名前だけの役職です。宋の神宗時代には役人の数が多すぎると言うので数が減らされました。
その後の王朝にも検校という役職はありますが。庶務担当。他の役と兼任することがほとんどでした。
本来なら検校使とはあまり高い地位とはいえないのですが。
ドラマでは皇帝から特別に任命された役職ということで検校という単語を使っているようです。
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