中国ドラマ「鏢門(ひょうもん)Great Protector」 は清朝末期を舞台にしたアクションドラマ。
崩壊寸前の清朝末期から中華民国初期。
物資の輸送と護衛を商売にする鏢局(ひょうきょく)の活躍を描いたドラマです。
沁格格(しんゲゲ)は清朝の荘親王の娘として登場。
主人公の劉安順となにかと関わります。
荘親王とは清朝に実在した親王家です。
では当時の荘親王に沁格格(しんゲゲ)という娘がいたのでしょうか?
そのへんも含めて荘親王とはどういうものの紹介と、ドラマの中の沁格格を紹介します。
荘親王の娘はいたの?
格格(ゲゲ)とは満洲語で「姫」の意味。高貴な女性に使う敬称です。
沁格格は清朝の皇族・荘親王の娘。
清朝が「親王」の称号を採用したのは3代皇帝・順治帝の時代から。
順治8年(1651年)帝清朝の2代皇帝・ホンタイジの五男ショセ(碩塞)が承沢親王に任命されました。
碩塞 の長男・博果鐸の代から荘親王を名乗っています。跡継ぎは代々「荘親王」を名乗ることが許されていました。
1911年ごろの荘親王は愛新覚羅・載功(さいこう、1859年-1915年)。
ドラマの開始年1911年には載功は52歳になっているはずです。
時代的にも年齢的にも沁格格(しんゲゲ)の父は載功のようですね。
劇中ではエルヘが鉄帽子王の末裔を名乗っていますが。荘親王は正真正銘の「鉄帽子王」。世襲制の親王称号です。
載功には息子が3人いました。でも載功に娘がいたという記録はありません。ドラマの沁格格(しんゲゲ)は架空の存在です。
でも親王家の娘まで細かい記録があるとは限りませんし。歴史の影にはこういう人もいたかも。と考えると面白いかも知れません。
ドラマの沁格格(しんゲゲ)
劇中の設定では、王族に生まれたせいで政治利用される運命にあって。人生を冷めたきもちでみているところがあります。孤独で不機嫌そうな雰囲気を漂わせています。
日本に留学の経験があります。光緒帝の時代から清は明治維新に成功して近代化をすすめている日本を見習おうと、多くの留学生を日本に派遣していました。皮肉にも清朝を倒し中華民国を作った軍人や政治家の多くは日本留学の経験を持ちます。そんな留学生の中に女性王族がいたかどうかはわかりませんが。沁格格(しんゲゲ)も留学生の一人だった。という設定です。
清朝末期は朝廷も重臣たちも腐敗していました。そのため沁格格は親世代の人たちには不信感をもっています。
そんな人達ばかり見てきたので、地方から出てきて義侠心のある劉安順には興味があります。
1~11話
ドラマでは劉安順(りゅう・あんじゅん)が北京にやってきて広順鏢局をたちあげて活動を始めた頃かに知り合います。
荘親王の護衛に推薦された劉安順が、親王家に挨拶に来ます。弟の九貝勒(ベイレ)と沁格格(しんゲゲ)が応対します。王族なので尊大な態度をとっているのですが。劉安順は「挨拶には返礼するのが掟。荷主と鏢局は対等だ」と主張、返礼をもとめてきます。
恐れを知らない劉安順ですがなんとか荘親王家の護衛に決まりました。
その後、九ベイレのお供で妓楼に行った劉安順ですが「妓楼に行くのは恥」と仕事仲間に言われ、マラリアにかかったふりをして解雇してくれと求めてきました。
沁格格(しんゲゲ)は辞める必要はないと引き止めます。劉安順はそれでも辞めるというので、沁格格は「仕方ない」とあっさり帰ってしまいます。あまり物事に執着しない性格のようです。
11話~19話
その後、沁格格は清朝の政治家・袁世凱の息子と結婚話が決まります。
沁格格は広順鏢曲を訪ね、王府(親王の家)に帰りたくないと打ち明けます。満洲族の故郷・満洲地方(東北)に帰るため。劉安順に護衛を依頼しますが断られてしまいます。
沁格格と袁世凱は反清勢力に襲われたところを、劉安順に助けられます。
結局袁世凱の息子との結婚は破談になります。
沁格格は劉安順と清朝の実力者・袁世凱をつながりを作る役目をはたしました。
20話~27話 中華民国時代
1912年。宣統帝が譲位を宣言(宣言文を書いたのは隆裕太后)。清朝は政権能力を失いました。ただし皇帝は紫禁城の中で暮らしています。
中華民国が誕生しました。権力を受け継いだのは袁世凱でした。
滅亡した王朝の姫となった沁格格は劉安順を護衛に東北に向かいます。
劉安順との別れ際、沁格格は劉安順を抱きしめ涙を見せます。
そして沁格格は去っていきました。
誰が信用できるのかわからない世界に生きる沁格格にとって劉安順は数少ない心の許せる人物だったようです。
ドラマ
鏢門 2014 、中国 演:周奇奇(ジョウ・チーチー)
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