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与君歌:寧和郡主のモデル 太和公主は波乱の生涯を送った皇女

与君歌(よくんか)あらすじとネタバレ 2 ドラマ人物

中国ドラマ「与君歌」には太和公主というキャラクターが登場します。

「与君歌」の寧和郡主は、大興の皇族で主人公である斉焱の叔母にあたります。

寧和郡主には実在した唐の太和公主がモデルです。異民族との平和のため遠い異民族の地に嫁がされた悲劇的な生涯を送った女性です。

ドラマでは仇子梁との因縁や政治的な陰謀に巻き込まれる姿が描かれています。

この記事ではドラマの寧和郡主とモデルになった太和公主の生涯。ドラマと史実の違いも紹介します。

 

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ドラマ与君歌の寧和郡主

まずはドラマ「与君歌」に登場する寧和郡主(ねいわぐんしゅ)の紹介をします。

ネタバレ要素があるのでご注意ください。

人間関係

寧和郡主は大興の皇族。

  • 武宗 斉焱の叔母
  • 珖王 斉宸の姉

になります。斉焱や斉宸にとっても大切な肉親になりますね。

寧和郡主の役割

中国王朝の公主(皇女)の役目のひとつに和親公主(わしんこうしゅ)があります。

中国王朝の周辺に武力で討伐できない強力な国や部族がある場合。皇族の女性を嫁がせて親戚関係になり平和を保つことです。他国に嫁がされる公主を和親公主といいます。

周辺国が同盟や従属の証として中国王朝から公主を迎えて君主の妻にすることはよくあります。

ドラマの寧和郡主は文帝の時代に盧従に嫁がされました。

寧和郡主を盧従に降嫁させるといい出したのは仇子梁。文帝は仇子梁には逆らえません。寧和郡主は盧従の節度使 史佺中の妻になりました。

そのため寧和郡主は仇子梁を恨んでいます。

 

寧和郡主の夫はどんな人?

寧和郡主の夫は盧従の節度使 史佺中。

盧従は異民族。
大興では「節度使」の肩書を与えていますが、現地では汗(カン=王)でしょう。

なので寧和郡主は可敦(カトン=王妃)になるはずです。

節度使とは朝廷から税の徴収と徴兵権を認められた地方の武装勢力の親玉のことです。唐では安史の乱以後、弱体化して国を守れない朝廷軍の代わりに地方の有力部族や武力を持つ領主に地位や権限を与え、そのかわり朝廷に服従を誓わせました。

節度使や朝廷に従っている武力を持つ勢力を「藩鎮(はんちん)」といいます。

でも後の時代になると節度使が強くなりすぎて朝廷のコントロールが効かない、勝手なことをする。などの問題が出てきます。

ドラマもそんな時期の唐をモデルにしているので、地方の節度使が皇帝や朝廷を脅かす。自分たちの武力を使って皇帝や朝廷に有利な条件を認めさせようとする。なんてことが起きています。

でも寧和郡主の夫・史佺中は朝廷に服従を誓っていたようなのですが。盧従で反乱が起きてしまい。史佺中は殺されてしまいました。

都に戻ってくる途中で負傷

盧従で反乱が起きた後。寧和郡主は人質になっていたようですが。藩鎮のひとつ鎮呉によって救出され、都に送られました。

ところがその途中に何者かの襲撃を受けて怪我をしてしまいます。

その後の寧和郡主:軽くネタバレあり

その後は長らく眠ったままになっていました。鎮呉の策略で眠らされていたようです。

ようやく長い眠りから目覚めました。武宗 斉焱は叔母の回復に喜んでいたのですが。

仇子梁のせいで……となってしまいます。

気の毒な人です。

太和公主:寧和郡主のモデルになった人物とは? 

寧和郡主のモデルになったのは唐の太和公主(たいわこうしゅ)。

第14代皇帝 憲宗 李純(り・じゅん)の娘。

母は分かりません。

第15代皇帝 穆宗 李恒(り・こう)の妹です。

ウイグルの要求

821年にウイグル(回鶻可汗国)の保義可汗(ほぎかがん)が唐に公主を妻に迎えたいと要求。

保義可汗には「アイ・テングリデ・クト・ボルミシュ・アルプ・ビルゲ・カガン」という長い称号があるのですが長すぎるので保義可汗と書きます。

唐の憲宗と朝廷は拒否。

そこで保義可汗は兵を率いて唐の境を荒らし回りました。唐は国境付近に戒厳令を敷いて対抗。唐は使者を送って説得しますが、保義可汗は諦めません。

そうしている間に憲宗が死亡。息子の穆宗が後を継ぎました。

穆宗は保義可汗に妹を嫁がせることにしました。

ところが、こんどは保義可汗が死亡してしまいます。

保義可汗の子・崇徳可汗(すうとくかがん)が即位。

太和公主がウイグルのカトゥン(皇后)になる

穆宗は妹の太和公主崇徳可汗に嫁がせることにしました。

太和公主はウイグルに到着。ウイグルの可敦(カトゥン:皇后)になります。正式な称号は「仁孝端麗明智上壽可敦」

ところが崇徳可汗が824年に死亡。弟の昭礼可汗(しょうれいかがん)が即位。

遊牧民の習慣によって太和公主は昭礼可汗の妻になりました。

ウイグルで内乱

832年。昭礼可汗が内乱で殺害され、彰信可汗(しょうしんかがん)が即位。

こんどは太和公主は彰信可汗の妻になりました。

しかし宰相の掘羅勿(キュレビル)は彰信可汗と対立。反乱を起こして彰信可汗を自害に追い込みます。

㕎馺特勤(こうそうテギン)が新たなカガンに即位。

こんどは太和公主は㕎馺特勤の妻になりました。

もうメチャクチャです。

キルギスに拉致

そのころウイグルを天災が襲い、家畜が大量死。疫病も流行りました。

840年ごろ。そこに北方の遊牧民・キルギス(黠戛斯)が攻めてきてウイグルは壊滅。国としてのウイグルは滅亡しました。しかしウイグルの残党は生き延びて王族の烏介可汗を新しいカガンに担いで復讐を狙います。

太和公主はキルギスに拉致され、唐に送られることになりました。

再びウイグルに拉致

ところが太和公主が唐に向かっていると、烏介可汗率いるウイグル軍が襲撃。太和公主は烏介可汗に拉致されてしまいます。

烏介可汗は太和公主を取り返すのが目的ではなく、たまたま移動しているキルギス軍を襲撃したら太和公主がいたらしいです。

唐に戻る

そのころ。唐では武宗 李炎の時代になっていました。

国を失ったウイグルが唐の国境付近に移動して荒らしていたので武宗は軍の出動を命じます。

842年。麟州刺史の石雄(せき・ゆう)たちがウイグルを攻撃。このときウイグルにいた太和公主を救出しました。

石雄は太和公主を唐に連れ帰りました。この出来事は唐でも大きな話題になりました。武宗は盛大な歓迎会をひらき太和公主に「定安大長公主」の称号を与えました。

武宗は前の皇帝が行ったこととはいえ和親のために太和公主を異民族に嫁がせ苦労させたことを謝罪。

太和公主(定安大長公主)は屋敷を用意され以後はそこで暮らしました。

以後は定安大長公主がどうなったのかは記録がありません。

事件があれば記録に残るはずなので、おそらくは穏やかな余生をおくったのでしょう。

太和公主は皇帝の娘として生まれながら、大変な苦労をしました。皇帝の娘は和親公主になることはありますが、太和公主ほどあちらこちらを転々とした人も珍しいです。唐に戻ってこられたのがせめてもの救いでしょうか。

 

史実とドラマ「与君歌」の違い

与君歌は架空王朝の話ですが、武宗時代の唐をモデルにしています。似ているところもありますし、違うところもあります。

 

人物名や組織名の違い

登場人物や組織にも実在の人物をモデルにした人が多いです。

 

国や勢力

ドラマ「与君歌」 史実
廬従 ウイグル(回鶻)

 

人物

ドラマ「与君歌」 史実
寧和郡主 太和公主
武宗 斉焱 武宗 李瀍(炎)
節度使・史佺中 太和公主の夫になったウイグル可汗をまとめたもの
麟州刺史・石雄 鎮呉
仇子梁 仇士良

 

経緯の違い

和親講習になった嫁いだ時期

史実では太和公主は穆宗の時代にウイグルに嫁ぎました。

ドラマでは文宗の時代になってます。

嫁ぎ先で内乱が起こるのは同じ

その後。嫁ぎ先の勢力で夫が殺されたり内乱が起こるのは同じ。

救出した人

  • 史実:
    ウイグルを攻めた麟州刺史・石雄によって救出されました。
  • ドラマ「与君歌」
    鎮呉郡主・劉彌紗たち鎮呉の勢力。

都に戻る途中で襲われる

  • 史実:
    キルギスとともに唐に向かう途中にウイグルに襲撃されて拉致。
    石雄とともに戻る途中は無事でした。
  • ドラマ「与君歌」
    鎮呉とともに戻る途中で襲撃を受けました。

 

最後

  • 史実:
    唐に戻ると武宗が盛大に出迎え。
    屋敷と「定安大長公主」の称号を与えられ余生を暮らします。
  • ドラマ「与君歌」
    帰還途中に受けた傷がもとで昏睡状態が続く。
    目覚めた後、仇子梁に殺害される。

 

ドラマでは仇子梁と寧和郡主に様々な因縁がありますが。

史実では仇士良と太和公主の間には因縁はありません。

まとめ

中国ドラマ「与君歌」に登場する寧和郡主は、実在の太和公主をモデルにした人物です。どちらも国の平和のために異民族の地に嫁ぎ、数々の困難を経験しました。

ドラマでは寧和郡主は仇子梁との因縁や、鎮呉との関わりなど、史実にはないドラマチックな要素が加えられています。

史実の太和公主は政治的な道具として扱われ、波乱の生涯を送った女性ですね。

ドラマを見るときに、史実と照らし合わせながら、キャラクターの背景や行動に思いをはせてみると、より楽しめると思いますよ。

 

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