韓国ドラマ「麗<レイ>~花萌ゆる8人の皇子たち~」では、タイムスリップした現代女性コ・ハジンが高麗時代の少女ヘ・スとして生きる姿は多くの視聴者の共感を集めました。
でも、ドラマを見ていると「ヘ・スは実際に高麗時代に存在した人物なの?」と疑問を持った方もいるのではないでしょうか。
この記事ではヘ・スの人物像やドラマの背景となった高麗時代の歴史を紹介しながら、ヘ・スが実在するのかどうかについて解説します。
「麗」のヘ・ス(コ・ハジン)とは
ヘ・スは韓国ドラマ「麗<レイ>~花萌ゆる8人の皇子たち~」のヒロイン。
現代から高麗時代にタイムスリップした彼女は明るく現代的な感性で周囲の人々、特に皇子たちに大きな影響を与えます。
コハジン:タイムスリップ前のヘス
コ・ハジンは21世紀の韓国で化粧品販売員として働く22歳の女性です。彼女は恋人に裏切られ、貯金を騙し取られるという辛い経験をします。
失意の中、湖畔で酒を飲んでいた彼女は誤って湖に落ちた男の子を助けようとして逆に溺れてしまいました。
その時、日食が起こり彼女は高麗時代へタイムスリップしてしまいます。
高麗時代のヘス
コ・ハジンが目を覚ますとそこは高麗時代でした。彼女の意識は第八皇子ワン・ウクの妻の妹 ヘ・スの肉体に宿ってしまいます。
彼女は16歳の少女ヘ・スとして皇子たちが暮らす宮廷で生活することになります。
急に大昔に来てしまったので最初は戸惑うことばかり。でもコ・ハジンはもともとは明るくて元気な女の子。それに現代の「男女平等」の考え方を持っていたので堅苦しい雰囲気の宮廷でも、自分の気持ちをはっきり伝えることができました。
そんな彼女の自由で素直な態度は周りの人たちをどんどん惹きつけていきました。
特に心に傷を抱え孤独だった第四皇子ワン・ソにとってはヘ・スは心のよりどころのような存在になっていきます。
ワン・ソはヘ・スと出会い人を愛することを知り、人としても大きく成長していくのでした。
ヘ・スもワン・ソの優しさと孤独に惹かれ深く愛し合うようになりました。
成長と変化
ヘ・スは物語が進むにつれて様々な経験を重ね成長していきます。
しかし、彼女とワン・ソの恋は皇位継承争いや陰謀によって何度も邪魔されます。それでも二人は愛を貫こうとしますがヘ・スは二人のためにも宮廷から離れることを決断。
ヘ・スの最後
定宗の遺言によりワン・ジョンと結婚します。
最期はワン・ソとの娘を出産後、ワン・ジョンの腕の中で心臓発作で亡くなってしまうのでした。
現代に戻ったコ・ハジン
現代に戻ったコ・ハジンは高麗時代での出来事を夢だと思っていました。ところが高麗時代の文化展でワン・ソの肖像画を見て現実だったと気付きます。そして深く後悔するのでした。
というのがドラマのヘ・スのストーリー。
次にヘ・スが生きる高麗時代とはどのような時代なのか紹介します。
高麗時代の歴史背景
高麗時代とは
高麗は918年から1392年まで、約470年間続いた朝鮮半島の王朝です。
ドラマ「麗<レイ>」はその初期、初代国王 太祖王建(テジョワンゴン)の時代を舞台としています。
王建は新羅の豪族でした。10世紀になると新羅国内で内乱が起こり、後高句麗、後百済が建国。
王建は後高句麗の建国に関わりました。やがて王建は高麗を建国。後百済、新羅を滅ぼして936年に朝鮮半島を統一します。その7年後の943年に亡くなります。
コ・ハジンがヘ・スになったのは936年から943年の間です。
激しかった後継者争い
歴史上、高麗の王位継承は非常に不安定で王族同士の争いが絶えません。
とくに太祖王建は多くの妻を持ち多くの子をもうけました。
王建は高麗を建国するときに様々な豪族と政略結婚を結び豪族たちの力を借りました。そのため王子と母の後ろには豪族たちがついています。
豪族たちは自分たちに都合の良い王をたてようとしました。そのため後継者争いが激しくなるのです。
この争いがドラマのストーリーのもとにもなっています。
ヘ・スは実在する?
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ヘ・スは架空
結論からいうと、ドラマ「麗<レイ>~花萌ゆる8人の皇子たち~」の主人公ヘ・スは実際に高麗時代に存在した人物ではありません。
ドラマの様々な設定をみても実在の人物につながる手がかりはありません。
- ヘ・スは光宗 ワン・ソと恋に落ち彼の子を身ごもりました。
→ 光宗には解(ヘ)姓の側室はいません。 - ヘ・スは14皇子ワン・ジョンと結婚しました。
→ 史実の王貞(ワン・ジョン)の妻は柳(ユ)氏。解(ヘ)氏ではありません。 - ヘ・スは第八皇子ワン・ウクの妻の妹です。
→ 史実の王旭(ワン・ウク)の妻も柳(ユ)氏。解(ヘ)氏ではありません。
ヘ・スは完全にオリジナルのキャラクターなのです。
ドラマよりショッキングな人間関係
ドラマでは結果的にワンウクの妻=ヘミョンとワンジョンの妻=ヘスは姉妹になりました。
史実の王旭(ワンウク)の妻と王貞(ワンジョン)の妻も姉妹です。ドラマと似てると言えば似てます。
でもヘ氏ではありません。どちらも母は神恵王后柳氏。だから柳(ユ)氏です。
(高麗の王族女性は母から姓を受け継ぎます)
でも。
王旭の妻と王貞の妻の父は太祖王建。
なんと王貞(ワン・ジョン)と王旭(ワン・ウク)は異母姉妹と結婚しているのです。
ちなみに光宗の正妻・皇甫(ファンボ)氏も太祖王建の娘です。
高麗の初期には兄弟姉妹で結婚している王族がけっこういます。
兄弟姉妹なのに姓が違うのは。高麗の王族女性は母の姓を受け継ぐ習慣があるからです。
史実通りならコ・ハジンはワン・ソの妹に転生?
もしドラマのコ・ハジンが史実通りの王旭(ワン・ウク)の妻の妹だったとすると、母は神恵王后柳氏になり。ユ氏になります。そして父は太祖王建です。
そしてワン・ソやワン・ウク、ワン・ジョンの異母妹になってしまいます。
異母兄と妹の結婚や恋愛は高麗時代ならあるかもしれませんが。現代人にはショッキングな話です。
現代のドラマでは近親結婚するわけにはいかないですよね。だからドラマのワン・ジョンとワン・ウクの妻は異母姉妹ではない。ヘ氏の設定になっているのでしょう。
ドラマの原作について
ドラマの原作は中国の作家 桐華(トン・ホワ)による小説「歩歩驚心(ほほきょうしん)」です。
「歩歩驚心」は清朝を舞台にした作品で、康煕帝時代にあった皇子たちの争いをモデルにしています。
「歩歩驚心」はテレビドラマ化されました。日本では「宮廷女官 若曦(ジャクギ)」のタイトルで見ることもできます。
「麗」のストーリーも基本は「宮廷女官 若曦」と同じ。若曦がヘスに置き換わっているのです。
「歩歩驚心」もまた歴史的な出来事を背景にしたフィクションであり、ヘ・スはもちろん、若曦も歴史上の記録には一切登場しません。
ドラマの原作小説の段階で若曦は架空の存在として描かれているのです。韓国版若曦といえるヘ・スも架空の存在です。
まとめ
韓国ドラマ「麗<レイ>~花萌ゆる8人の皇子たち~」のヒロイン、ヘ・ス(コ・ハジン)について、その背景や史実との違いを詳しく見てきました。
ヘ・スは現代から高麗時代へタイムスリップした魅力的なキャラクターです。でもヘ・スはあくまで架空の存在。実在の人物ではありません。
ドラマの背景になる高麗の歴史は実際の出来事に基づいていますが、物語は作り話です。特に皇子たちの関係やヘ・スの恋愛模様はドラマを盛り上げるために脚色された部分が多いです。
ドラマを楽しむために大切なのは史実と架空を区別すること。歴史的な背景を知ることでドラマをより深く理解できますが、ドラマは作り話なのでエンターテイメントとして楽しむのが良いと思います。
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