韓国ドラマ「王になった男」に登場する晋平君(チンピョングン)はハソンたちに敵対する印象深い悪役です。
晋平君は国王イ・ホンへの復讐心から王位を奪おうとする野心家です。大妃や重臣と手を組み反乱を起こしますが、最後は失敗に終わります。
晋平君のモデルになったのは、李氏朝鮮の第16代国王・仁祖(綾陽君)です。
この記事では晋平君と仁祖の共通点や違いについて詳しく解説します。
- 晋平君とはどんな人物?大妃、シン・チスとの関係
- 晋平君の反乱とその結末
- 晋平君のモデルとなった仁祖について
- 晋平君と仁祖の共通点と相違点
晋平君(チンピョングン)とは
晋平君は王族
晋平君は王族のひとり。
現在の王イ・ホンとどのような血縁関係なのかは劇中では明らかにされていません。イ・ホンや異母弟の暻仁大君とは兄弟関係でないのは確かです。
国王イ・ホンに恨みをもっている
晋平君は国王イ・ホンよって父と兄が謀反の罪で処刑されてしまいました。この出来事が彼の人生を大きく変え、激しい復讐心を持ち。王位への野心を燃やすことになります。
大妃と共謀
晋平君は王になるため大妃に接近。大妃は国王イホンに息子の暻仁大君を殺害され激しい恨みをもっています。
大妃は今の王の実母ではありませんが、それでも前の王の正室なのである程度の影響力をもっています。その地位を利用して晋平君の野心を叶えることができると考えました。
シン・チス(申至洙)との同盟
でも大妃を味方にしただけでは不十分です。重臣たちを味方にしなければ王を廃することはできません。
そこで晋平君は朝廷の実力者 左議政シン・チス(申至洙)とも手を組みました。シン・チスは野心家で国王を凌ぐ力をもっていました。ところがハソンたちによって過去の不正が明らかになり朝廷から退くことに。
晋平君、大妃、シン・チスの思惑が一致。国王に反乱を起こすことになりました。
反乱:王位奪取への決断
準備を整えた晋平君たちはついに反乱を決行。
王を孤立させるための策を練り実行に移しました。でも国王ハソンたちは晋平君の企みを知って信頼できる将軍たちに指示を出し反乱軍を迎え撃ちます。
ハソンに従う将兵たちは晋平君の反乱軍を鎮圧するため、激しい戦いを繰り広げました。
晋平君の最後
晋平君たちの反乱はハソンの予想外の抵抗にあい失敗に終わります。深手を負った晋平君は逃げますが、大妃に裏切られ虚しい最期を迎えてしまうのでした。
晋平君の野望は叶わなかったのです。
晋平君のモデル綾陽君
晋平君のモデルは綾陽君(ヌンヤングン)。李氏朝鮮の第16代国王・仁祖(インジョ)です。
生い立ちと光海君への恨み
綾陽君は宣祖(ソンジョ)の孫。父は宣祖の庶子・定遠君(チョンウォングン)。
すでに光海君が跡継ぎになり王として即位したので綾陽君は王位継承の候補ではありませんでした。
しかし光海君と大北派は反対勢力を粛清。その過程で綾陽君の弟は謀反人の罪を着せられ処刑され、ショックを受けた父も寝込んで死亡してしまいました。
綾陽君は弟と父の仇を討つため、光海君への復讐を誓います。
反乱を起こして王になる
一方。光海君と大北派は明と後金(後の清)の間でバランスを取ろうとしましたが、西人派は親明政策を主張。
大北派が大妃を幽閉し、前の王の息子・永昌大君を処刑したことから批判が高まります。
綾陽君と西人派たち反光海君勢力は手を組み、反乱を起こします。
西人派たち光海君を廃位して綾陽君を擁立。綾陽君は仁祖として即位しました。
仁祖の治世
不安定な政権
仁祖の治世は反乱に参加した臣下たちの権力争いから始まり、政治は不安定な状態が続きました。
外交と二度の胡乱
仁祖の治世の最大の出来事は2度におよぶ後金(清)との戦いです。
親明政策を掲げた仁祖は後金との関係を悪化させ。後金との戦争になりました。一度は和睦したものの。後金から清に名前を変え皇帝を名乗るホンタイジに反発。再び清との戦争になってしまいます。
特に二度目の戦争では仁祖自身が南漢山城に籠城しましたが、最終的には清に降伏。仁祖と国は清への屈辱的な服従を強いられます。
二度にわたる侵攻を受け、国土は荒廃し多くの人々が犠牲となりました。
長男の昭顕世子(ソヒョンセジャ)は清の人質になっていましたが、帰国後に謎の急死。その後も、昭顕世子一家や外戚への粛清が続きます。
次男の鳳林大君が世子になり。仁祖の死後、孝宗となりました。
仁祖はクーデターによって王位に就いたこと、二度の戦争を招いたこと。不透明な後継者決定の経緯などから、後世の評価は高くありません。
共通点と違い
「王になった男」の晋平君は第16代国王 仁祖(インジョ)がモデルになってます。
歴史上の仁祖とドラマの晋平君の共通点と違いを比較してみましょう。
共通点
- 国王に恨みを持っている:綾陽君は光海君イ・ホンの命令で弟が処刑されショックを受けた父は死亡してしまいました。そのため仁祖は光海君に恨みを持っています。ドラマの晋平君も父と弟を国王イ・ホンに殺害され恨みを持っています。
- 王座を目指しクーデターを起こす: 綾陽君は西人派によるクーデター(仁祖反正)によって王位に就きました。晋平君も重臣たちと手を組んで反乱を起こし王位を狙っています。
- 権力闘争の中心:光海君から仁祖の時代は朝廷内の権力闘争が激しく、反光海君勢力は綾陽君を次の王にたてることで意見が一致、クーデターが起こりました。ドラマでも国王イ・ホン/ハソンは重臣や大妃と対立。大妃やシン・チスは晋平君を次の王にしようとしています。
違うところ
反乱の成功/失敗: 綾陽君はクーデターを成功させ王位に就きました。でも晋平君はドラマ内で反乱に失敗します。
この点が最も大きな違いです。
王としての在位期間: 仁祖は26年間王位にありましたが、晋平君は即位すること自体が叶いませんでした。
具体的な歴史的事件との関連: 仁祖(綾陽君)は清との2度の戦争を経験しましたが。晋平君は外国との戦争には関わらずに死亡しています。
ドラマは史実をベースにしつつも大胆な脚色が行われ、架空の話として描かれています。
まとめ:史実とはかなり違う
歴史上の仁祖は光海君への恨みがある一方で王としては優柔不断な面もあったといわれます。晋平君はより野心家で策略家として描かれ、悪役として強調されている部分もあります。
映画版「光海・王になった男」はある程度史実に基づいた部分もありました。でもテレビドラマ版「王になった男」は設定や展開が大幅に変更されています。
ドラマの晋平君は仁祖のクーデターや権力闘争をモチーフにしていますが、仁祖(綾陽君)とは違う人物として描かれています。
史実とフィクションを区別して楽しむことが大切ですね。
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