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紅拂女|中国文学史上初?の戦うヒロイン

4.4 隋・唐

中国ドラマ「大唐見聞録・皇国への使者」に登場する紅拂(こうふつ)は架空の人物。

でもドラマオリジナルではありません。「虯髯客傳」という歴史的な物語に登場する伝説上の人物です。

中国で初めて「戦うヒロイン」として描かれた架空の人物といっていいかもしれません。中国文学では有名な人物です。

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紅拂伝説の始まり「虯髯客傳」

紅拂が一番最初に登場するのは唐時代の小説「虯髯客傳」です。

「虯髯客傳は杜光庭という人物が書いた小説です。

虯髯客傳の作者・杜光庭とは

「虯髯客傳」の作者・杜光庭(と こうてい、850-933年)は唐末期から五代十国時代の人物。

唐の時代、役人を目指しましたが何度も科挙に落第。

役人を諦めた杜光庭は天台山に行って道士になりました。道士とは道教の僧侶。

唐滅亡後は「前蜀」という国に招かれて前蜀の皇帝・王建に仕えました。儒教と道教に詳しく様々な書物を書いています。歴史や道教関係の本が多いです。

その杜光庭が書いた小説が「虯髯客傳」です。

虯髯客傳の主な内容

「虯髯客傳(きゅうぜんきゃくでん)」に登場する紅拂女を紹介します。

紅拂の由来は、赤い拂塵(ぶっさ:蝿を追い払う道具、僧侶が持っているハタキのような物)を持っていたので紅拂女と呼ばれました。

本名は張出塵(張初塵と書かれることもあります)。

紅拂女は隋の大臣・楊素(実在の人物)の家奴でした。頭がよく非常に美しい女性でした。

隋の軍人・李靖(実在の人物、李世民の臣下になった軍人)と駆け落ちしました。

李靖は後に、唐の皇帝になる李世民の盟友。唐でも将軍になりました。李靖は実在した人物ですが正室の名前はわかっていません。そこをうまく利用して小説にしたのでしょう。

小説の中では、女性では数少ない武闘家の設定。李靖、虯髯客とともに風塵三俠(三人の英雄)の一人として活躍します。

小説の中では紅拂と李靖、虯髯客は隋を打倒するために戦います。

紅拂と李靖は李世民に出会い「皇帝になる人物だ」と思ったので李世民に協力。ともに隋を打倒して唐の建国しました。そして紅拂と李靖の夫婦は死ぬまでともに暮らしました。

一方、自ら王になるのを諦めきれない虯髯客は2人と分かれ、妻子や使用人を連れて旅立ちます。十数年後、虯髯客は扶餘国の国王を殺して自ら王になりました。

というのが「虯髯客傳」のあらすじ。

「虯髯客傳」は後の中国文学に大きな影響を与えました。英雄が活躍する小説の元になった作品です。「西遊記」「三国志演義」「水滸伝」ができたのは明の時代。「虯髯客傳」よりもかなり後の時代です。

この作品に登場する「紅拂女」は頭がよく美しく、武術もできる理想的なヒロイン。美形で仕事の出来る男と結ばれます。現代の中国時代劇にも出てきそうな女傑です。

「紅拂」のインパクトが大きかったせいか。後の王朝になっても「紅拂」が文学作品の中にも出てきます。

「虯髯客傳」や「風塵三俠」は現代の中国や台湾でもドラマや小説の題材になっています。

中国の英雄物語、戦うヒロインの元祖といえる作品が「虯髯客傳」や「紅拂」です。

大唐見聞録の紅拂

「大唐見聞録・皇国への使者」に登場する紅拂も「虯髯客傳」から生まれた人物です。

でも「虯髯客傳」に登場する紅拂はかなり違います。

紅拂が生きた時代はオリジナルの「虯髯客傳」と同じ隋末期から唐の時代。

「大唐見聞録」では紅拂(こう・ふつ)は、

ヒロイン・李安瀾(り・あんらん)の母・田若蘭(でん・じゃくらん)の義姉。

「虯髯客傳」と同じ李靖(り・せい)の妻という設定です。

紅拂と李靖の間は李得譽(り・とくよ)という息子がいます。

李靖は実在の人物で李世民の有能な臣下でした。李靖の妻の記録は残っていません。そこで「虯髯客傳」の設定を利用して紅拂が李靖の妻にしたのでしょう。

「虯髯客傳」では「紅拂」はあだ名。本名は「張出塵」でした。でも「大唐見聞録」では 姓が「紅」で名が「拂」になっています。

たぶん「紅拂」の名前のほうが本名よりも遥かに有名なので「紅拂」の名前を使ったのでしょう。

「虯髯客傳」では武術も出来る女傑として活躍していますが、「大唐見聞録」ではそこまでは活躍しません。

李安瀾(り・あんらん)の義理の伯母、
母・田若蘭(でん・じゃくらん)の義姉。
李靖の妻。としての登場です。

「虯髯客傳」のように「紅拂」が活躍してしまっては李安瀾はもちろん、主人公もめだたなくなってしまいそうです。「虯髯客傳」の設定だけ借りたのかもしれません。

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