中国ドラマにはファンタジードラマが数多くあります。
その中でも特に人気なのが架空の九州世界を舞台にした作品です。
日本でも「海上牧雲記」「九州縹緲録」「斛珠夫人」が公開されました。
新作の「星河長明」の放送も控えています。
中国では人気の九州シリーズですが、日本では知られていません。そこで九州シリーズの舞台になる九州世界に登場する王朝や種族、地図を紹介します。
ドラマ鑑賞のお供にしてください。
九州世界とは
中国では九州は天下の別名。天子の支配が及ぶ土地を意味する言葉でした。
ちなみに日本の九州とは関係ありません。
ドラマになってる九州は現実世界の九州は別に中華ファンタジーとして創作された世界です。
九州世界は遙控、潘海天(大角)、今何在、水泡、江南、斬鞍、多事の7人の作家が共同で作ったファンタジー世界。最初は雑誌「奇幻世界」で連載されていました。その後独立して雑誌「九州幻想」で連載。様々な作家が共通した世界観の作品を提供しています。中心メンバーは「潘海天」こちらの作品群を「南九州」といいます。
「九州幻想」から一部の作家が分裂して北京で活動。「幻想縱横」を発行しました。一度廃刊になりましたが「九州志」が再会。こちらの作品を「北九州」といいます。中心メンバーは「江南」。
もともとは九州世界の企画の前に西洋風ファンタジーの構想がありました。巨人族(夸父)、工芸が得意な小人(河洛)、有翼人種(羽人、中国では羽がなくても人は空を飛べるのであえて羽根付きの人の設定は中国らしくない)の設定があるのはその名残り。
英語ではnovoland(ノボランド)といいます。
九州世界の八大王朝
九州世界に登場する代表的な8つの王朝を紹介します。
燹(せん)朝
九州世界で最初の王朝。約900年続きました。
詳しい設定はありません。複数の部族の連合体とされています。
晁(ちょう)朝
九州世界で2番目に古い王朝。
約800年続きました。
建国者は晁高帝 彧修明。
晁高帝が燹朝を滅ぼした後、国号を「晁」とし、全土を9つの州に分割。都護府を設置しました。これが「九州」という名称の由来です。
晁朝末期には雲望運河の開削が海水の逆流を引き起こし九州大陸が内海によって分断され、東陸、西陸、北陸に分かれました。
主な作品
「星河長明」は晁朝の初期。
賁(ほん)朝
約400年栄えました。
かなり栄えた王朝でしたが、賁朝後期には支配グループ内の争いが激化。土地争いや権力争いが激しくなり、賁朝は衰退しました。
胤(いん)朝
約700年栄えました。
建国者は胤始帝 白胤。
この時期は民族の交流が活発になり、東陸が特に栄えました。
主な作品
「九州縹緲錄」は胤朝の末期が舞台。
このドラマの登場人物 姫野(き・や)が次の燮朝の建国者。
燮(しょう)朝
約120年間続きました。
建国者は姫野。しかし姫野は生前は皇帝を名乗ることはなく。死後、胤共帝から姫野の弟の姫昌夜に皇帝の座が受け継がれ、姫昌夜の一族が皇帝になりました。
晟(せい)朝(後燮)
約300年間続きました。
建国者は 晟太祖 姫雲烈。
燮朝の末期。東陸各地で反乱が多発。姫野の末裔・姫雲烈が挙兵。燮朝を倒して晟朝を建国しました。そのため晟朝は「後燮」とも呼ばれます。
端(たん)朝
約300年間続きました。
建国者は 端太祖の牧雲雄疆。
晟朝の末期。瀚州の蛮族・牧雲部と穆如部が同盟。両部族が協力して晟朝と戦い。最終的に牧雲部が帝都・天啓城に入城。牧雲雄疆が皇帝になりました。
端朝の末期。世の中が混乱。牧雲族と穆如族の300年の同盟は完全に破綻しました。
10年後。穆如寒江は宛州を占領。これを「西端」と呼びます。
牧雲笙は牧雲渙に位を譲り天啓を離れました。彼の統治下の中州は「東端」と呼ばれました。
主な作品
「海上牧雲記」は端朝の末期が舞台。
徵(び)朝
約280年間続きました。
建国者は 徵太祖 褚荊。
端朝の分裂後。約200年にわたる混乱の時代を経て徴朝が再び東陸を統一しました。
ドラマ作品の中では今のところ最も新しい王朝。
主な作品
「斛珠夫人」
九州の地理
九州世界には3つの大陸があり、9つの州に分かれています。九州世界の名の由来にもなっています。
北陸
遊牧民が多く住む大陸。
殤州、瀚州、寧州。3つの州があります。
殤州(しょうしゅう)
北陸の西部にある州。西南は海に面し、北には雪山と氷原が広がります。東部は火雷原で翰州と接しています。
寒冷地帯と火山地帯があり自然環境は過酷。
瀚州(かんしゅう)
瀚州は北陸の中部にあります。
東に寧州、西に殤州と接しています。
西部に殤州高原。中部は平坦な草原。雨が少なく森林があまり育ちません。草原が多いです。
寧州(ねいしゅう)
寧州は北陸の東部にあります。三面が海に面しています。
南東部は丘陵地帯、森林や森林草原が広がっています。北に烏鬼山、南に向かう広い河川が流れています。
西部は荒れ地や砂漠があり。西端は勾弋山によって瀚州と隔てられています。勾弋山は「月の山脈」とも呼ばれています。
北部は厚い氷河が広がっています。
東陸
中華王朝をモデルにした国が存在する大陸。
瀾州(らんしゅう)
瀾州は東陸の東部にあります。西は中州、南は越州に接しています。東陸では2番目に広い州。
賁朝以前は羽人が住んでいて、賁朝末期に人族が占領しました。
北部に夜北高原があり、東陸で最も標高の高く5ヶ月も冬が続きます。西南部は降水量が多く広大な沼地と森林が広がっています。
中州(ちゅうしゅう)
中州は東陸の北部にあり、南は宛州、東は瀾州に接しています。東陸最大の州。中州の地形は山脈と平原が中心。森林や草原があります。華人が多く住む地域で、皇帝が住む都・天啓があります。現実世界では長安や洛陽のある中原に相当。
宛州(えんしゅう)
宛州は東陸の西部に位置し、北は中州と接し、東は越州に隣接しています。
大部分が丘陵地形であり、中州と接する平原部分のみが平坦です。気候は温暖で冬はあまり寒くありません。
越州(えつしゅう)
越州は東陸の南部に位置します。東陸四州の中で3番目に広いです。丘陵や山が多く。斜面が急で、険しい山も多い。山々の間には小さな谷や盆地があり水源が豊富です。森林が多く東陸では人口が最も少ない地域です。東南の海にはサンゴ礁の海岸もあります。
現実の中国ではかつて南蛮とよばれた呉越地方(江南)のイメージ。
西陸
人類発祥の地ですが疫病のため文明が衰退。劇中では未開の地のようになってます。
雲州(うんしゅう)
西には高い赤華山脈があり、東部には丘陵、中部には広大な砂漠が広がっています。
雷州(らいしゅう)
雲州とは異なり、気候が穏やかで植物が豊富です。気候は多雨で湿潤であり、森林が茂っています。
九州の種族
西洋ファンタジーのように九州世界にも人間以外の様々な種族が暮らしています。
人族
我々の世界の人間と同じ。九州世界で最も多い種族。他の種族のような特化した能力は持ってませんが最も人口が多く組織化された社会をもっています。
北陸、東陸、西陸で違う文明があります。
北陸:遊牧文明。遊牧民王朝がモデル。北陸の人は蛮族とよばれます。
東陸:農業文明。中華王朝がモデル。東陸の人は華人と呼ばれます。
西陸:人類発祥の地。もともとあった都市文明が疫病によって滅亡。未開の地のようになりました。
夸父(こほ)
中国神話の巨人に由来する名前です。平均身長は人間の倍ほど。伝説では無限に高くなることができるともいいます。人口は非常に少なく、殤州にいます。
河洛(からく)
小柄な種族。工芸作品の製造に優れています。他の種族との結婚はできません。西洋ファンタジーのドワーフのような存在。
羽人(うじん)
見た目には人間そっくり。骨が軽く、霊的な力で羽を作り空を飛ぶことができます。
鮫人(こうじん)
水中で生活。尾ひれを持っています。
魅(み)
普通は精神だけの存在で物質的な肉体は持っていません。まれに実体化することがあります。
九州世界が舞台のドラマ
九州世界を舞台にした様々なテレビドラマ・ネット配信ドラマが作られています。ここでは日本で見られるものを中心に主なドラマを紹介します。
「」内は邦題。()内は原題。
「九州天空城〜星流花の姫と2人の王〜」(九州·天空城) 2016年
「鳳星の姫〜天空の女神と宿命の愛〜」(九州·天空城II) 2020年
九州天空城の続編。
「海上牧雲記 〜3つの予言と王朝の謎」(九州·海上牧雲記)2017年
「九州縹緲録〜宿命を継ぐ者〜」(九州縹緲錄) 2019年
「斛珠夫人〜真珠の涙〜」(斛珠夫人) 2021年
「星河長明 運命の妃と不滅の帝」(星河長明)2022年
国内未放送のもの
(華胥引之絕愛之城) 2015年
(九州天空城之時光迴轉) 2020年
(鮫珠傳)2017年
(九州羽亂·相思劫) 2021年
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