鬼谷子とは?王禅は存在したの?

春秋戦国6 春秋戦国

鬼谷子は古代中国の春秋戦国時代の伝説的な策士。

本名は 王禅(おう・ぜん)、王詡(おう・く)ともいわれます。

鬼谷先生とよばれることもあります。鬼谷先生は蘇秦(そ・しん)や張儀(ちょう・ぎ)など春秋戦国時代に活躍した縦横家の師匠です。

道教では古代の仙人とされます。

鬼谷子(きこくし)は古代中国の書物の名前。
言葉を操る様々な謀略を書いた本です。

鬼谷が書いたと言われますが実はこの本の作者はよく分かっていません。

鬼谷子とはいった何だったのでしょうか?

 

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王禅の史実?

鬼谷子の本名は 王禅(おう・ぜん)、王詡(おう・く)とも言われます。

これは道教で「王禅老祖」という神として祀られているから。

王利、王通ともいいます。

歴史書には鬼谷子や王禅本人の記録はありません。

前漢時代に司馬遷が書いた歴史書「史記」に春秋戦国時代の縦横家(しょうおうか)・蘇秦(そ・しん)や張儀(ちょう・ぎ)が「鬼谷先生に習った」と書かれています。

史記に「鬼谷先生」と書かれている人が道教で崇拝する「王禅」だと考えられています。

国を動かした縦横家とは?

春秋戦国時代には蘇秦や張儀たち縦横家(しょうおうか)が活躍しました。

縦横家とは簡単にいえば言葉で人を動かす策略家です。

春秋戦国時代は何百年も戦争が続くとても混乱した時代でした。いつも戦争していたらお互いに潰れてしまいます。そこでできるだけ被害を受けずに勝ったり生き残る方法が求められました。

孫子の兵法もその一つです。

鬼谷子が孫子の兵法と違うのは鬼谷子が言葉を武器にするところ。

鬼谷子は戦場ではなく交渉の場で自分が有利になる方法です。

相手をよく観察し、言葉巧みに相手の心を動かし、相手を自分の思うように動かします。弁論や話術です。

そのため鬼谷子は日本では人気がありません。言葉を操るのが人を騙すことになり、よいイメージをもたれなかったからです。

でも中国では大変重要なテクニックとされました。

縦横家たちは国と国を同盟させたり。逆に同盟を破棄させたり。自国に有利な内容で交渉をまとめたりしました。国と国だけではありません。人と人の関係も言葉で操ることができます。

縦横家たちはそうして自分の出世のため言葉を武器に世の中を渡り歩きました。

理想の国の姿があって理想の国を実現するための方法ではありません。雇用主や依頼人が喜ぶ作戦を考えて政治や外交の場で生かして、自分の利益(出世や生活の向上)につなげたのです。

外交官・交渉人みたいなものです。

いつごろの人?

縦横家の開祖とされる鬼谷子。

ところが鬼谷子が実在したかどうかはわかりません。

というより鬼谷子という人はいなかったとさえ言われます。

確かに史記には蘇秦や張儀の師匠として「鬼谷先生」が登場します。

この鬼谷先生が鬼谷子です。鬼谷先生が書いたとされる本も「鬼谷子」と呼ばれます。

でも鬼谷先生個人の伝記はありません。どこに住んで何をしていた人なのか全くわかりません。

でも蘇秦や張儀よりも古い時代に縦横家がいたことは史記や戦国策を見るとわかります。蘇秦や張儀は先人の書いた本を読んで勉強したことも書かれています。

名前はわからなくても確かに縦横家はいました。

蘇秦は紀元前284年に死亡しました。
張儀は紀元前310年に死亡しました。

それ以前の縦横家をまとめて一人のキャラクターにしたのが鬼谷先生なのでしょう。

ということは鬼谷先生は紀元前4世紀やもっと前の人物といえそうですね。

孫子の兵法を書いた「孫武」は紀元前6世紀ごろの人物。

もうひとりの孫子・孫臏は紀元前4世紀頃の人物。普通、孫子というと孫武のことですが。孫臏は孫武の子孫といわれます。孫臏も兵法書を描きました。こちらは孫臏兵法といいます。

なので鬼谷先生は孫武より後の時代。孫臏とほぼ同じ頃の人物かもしれません。

 

言葉で相手を動かす秘伝書 鬼谷子

古代中国の縦横家の知恵を集めた本も「鬼谷子」といいます。

書物の「鬼谷子」は蘇秦や張儀が書いたのではないかという説があります。

でも、もっと後の時代に書かれたものかも知れません。漢よりも後の時代の人物が「鬼谷先生」の著作と偽って書いた。とも言われます。

というのも書物の「鬼谷子」は唐の時代になって存在が知られるようになるからです。

「鬼谷子」の内容は荘子の影響があるとも言われます。物事を一方面だけでなく相対的にみること。言葉をあやつること。などは共通点があります。荘子は老子とならぶ道家思想の中心人物。後に老子は民間宗教に取り入れられて道教として発展します。

誰が書いたのかわからない本だったとしても「鬼谷子」は凄い本なのは間違いありません。

言葉で人を彩操る技が書かれているのですから。現代人にも応用できる。というより現代人なら読んで損はない本です。でも鬼谷子の内容は抽象的すぎて分かりづらい。

こまかいノウハウではなく、考え方が中心。読みこなすのも一苦労。誰にでも身に着けられるものではありません。でもそれを極めれば大きな力になります。

その一方で危険な書、邪な考え方。とも言われました。鬼谷子のテクニックは使い方次第で詐欺になるからです。事実、「戦国策」など春秋戦国時代の出来事を書いた書物にも「縦横家は人を惑わしている」「口先ばかり」と悪口を言われる場面もあります。たしかに口先だけの人もいたのでしょう。

外交は国と国の化かしあい。そんな中で磨かれた技ですから。人を騙す技にもなります。使い方次第で善にも悪にもなるのが鬼谷子の技なのです。

 

道教の神になった鬼谷子

唐の時代は道教が発展しました。

鬼谷子も道教の英雄になりました。いえ、今では道教の神として祀られています。

王禅という名前も道教で伝えられるもの。道教で信仰されている伝説上の仙人と考えられています。

鬼谷という場所に住んでいたから「鬼谷子」という伝説もうまれました。

道教の中で神格化した鬼谷子は、鬼谷という秘境に暮らし困っている人々を助ける英雄的な人物になりました。

現代の中国で広まっているのはこちらの道教の英雄としての鬼谷子。ドラマや小説にも「鬼谷」「鬼谷派」のキーワードがでてくることがあります。鬼谷子の教えを受け継いだ人々が鬼谷という場所に住んでいて、人々を助けるために悪い奴らと戦っている。

そんな存在として描かれることがよくあります。

化かしあいの世界で生きたリアリストな縦横家。
庶民を救う英雄としての鬼谷子。

極端なイメージを併せ持っているのが鬼谷子なのです。

ドラマ

 

鬼谷子・聖なる謀 2014年、中国 演:段奕宏

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