鉄の王キムスロに登場する、キム・スロの母チョンギョンは実在の人物。といっても、人ではなく伝説に登場する女神です。
民間信仰の正見母主という山神がチョンギョンのモデルなのです。
伝説上は金官加羅国の王・金首露と大伽耶国の王・伊珍阿豉(イジンアシ)の母として伝えられています。
チョンギョン(正見母主)とはどのような人(神)だったのか紹介します。
チョンギョン(正見母主)の史実
いつの時代の人?
生年月日:不明
没年月日:不明
名前:正見(チョンギョン)
称号:正見母主
子供
惱窒朱日(伊珍阿豉、イジンアシ)
惱窒靑裔(金首露、キムスロ)
おいたち
李氏朝鮮時代に作られた書物「新増東国輿地勝覧」では高霊郡の歴史が書かれています。
それによると正見母主は伽耶山の山神でした。朝鮮の民間信仰には山神といわれる神様がいました。現在伝わっている山神は男性であることが多いのですが、女性の山神もいました。
正見という名前は仏教の影響が強いといわれます。仏教には八正道という考え方があります。そのうちのひとつ正見は修行で得られる仏の知恵を意味します。
昔からあった山神伝説と仏教の教えが混ざって産まれたのが正見母主の伝説かもしれません。朝鮮半島に仏教が伝わったのは5世紀以降。
金首露が生きたとされるのは西暦42~199年。157年も生きているという突っ込みはおいといて。金官国ができた2世紀ごろには正見母主とは呼ばれていなかったようです。伝説なのであまり深く考えないようにしましょう。
正見母主は天の神・夷毗訶(イビガ)と結婚して二人の子供を生みました。
それが惱窒朱日と惱窒靑裔です。
兄の惱窒朱日は伊珍阿豉(イジンアシ)とも呼ばれ、大伽耶の王になりました。
弟の惱窒靑裔は金官国の王になりました。こちらが金首露(キムスロ)です。
ドラマ「鉄の王キムスロ」では、キムスロが兄で、イジンアシが弟でした。伝説では逆だったことになります。
ドラマではチョンギョンは狗邪に来てイビガと再婚します。伝説の天神・夷毗訶(イビガ)がもとになってます。天の神といっても朝鮮全土で信じられていたわけではなく、駕洛国で信じられていた神のようです。駕洛国は古代の高霊郡にあったとされる国。大伽耶とよばれることもあります。
ドラマの登場人物は神や伝説をうまく利用してつくられたものなんですね。
テレビドラマ
キム・スロ MBC 2010年 演:ペ・ジョンオク
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