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テガム・ヨンガム・ナウリなど 韓国ドラマ用語 重臣・両班編

時代劇を見ていると、「大監」「令監」「ナウリ」など似た呼び方が次々に登場し、違いが気になったことはありませんか?

朝鮮時代の敬称は、官位や家格、年齢、さらには場面によっても使い分けられていました。

この記事では、高官や両班・若い男性・妻・娘の呼び方をまとめて、ニュアンスや使われ方を分かりやすく紹介します。

 

この記事で分かること

  • 「テガム」「ヨンガム」「ナウリ」の官位・年齢による使い分け
  • 高官の妻や家格を重んじた呼び方の違い
  • 若い両班や令嬢の呼び方。

 

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偉い男性の呼び方:テガムなど

大監(テガム/대감)

最高クラスの敬称です。主に中央政府の重臣(議政など)に対して使われます。

目安: 正一品から正二品までの高官に多く使われます。正三品の中でも「堂上官(タンサンガン)」であれば大監と呼ばれることがあります。

あくまで慣例的な敬称であり、法律で決められた呼び方ではありません。

 

王族がテガム?

大監は本来高官の呼び方です。王族の呼び方としては一般的ではありません。

でも極稀に王の子ではない王族に大監の呼称を使うことはあります。特に朝鮮後期には王の子でない王族にも格付けが適用され、大監と呼ばれる王族もいたようです。

歴史上は興宣大院君(高宗の父)が大監と呼ばれたことが知られています。

そのためかドラマでは政治的な活動をしている年配の王族男性に対して地位の高さを表現する演出として使うことがあります。

 

令監(ヨンガム/영감)

大監に次ぐ敬称。 従二品から正三品までの高官に使われます。

その一方で、現代の「ご隠居」に近いニュアンスも含まれるので。年配の両班や地方の有力者に対して使われます。また庶民が中堅どころの役人を敬って呼ぶ際にも使うことがあります。

 

ナウリ/나으리、ナリ/나리

目上の男性に対してよく使われる呼びかけです。ナリよりナウリが古い言い方なので時代劇ではナウリを使うことも多いです。

目安: 官職について間もない若い両班や、具体的な階級が不明な役人に対して使われます。

朝鮮由来の言葉で固有の漢字はありません。どうしても漢字で書く時は当て字で進賜、進賜主とも書きます。

重要点: 時代劇の劇中では、複雑な官位情報を省略して「偉い人」と表現したい場面で重宝される言葉です。

字幕:旦那、旦那様

 

役人は堂上官/堂下官で扱いが変わる

呼び方の変化には堂上官(タンサンガン)かどうかが大きく関わっています。

堂上官とは国王に拝謁し朝廷の会議に出席して議論できる上級官僚のことです。
堂下官は会議には出席せず、実務を担当する中堅以下の役人です。

「大監」「令監」は堂上官。それ以下は堂下官なので「ナウリ」が基本になります。

 

大人(テイン/대인)

非常に改まった、あるいは少し距離を置いた丁寧な呼び方です。漢語由来。

目安: 外交の場や他国からの使者を迎える際、あるいは大きな商談の場などで使われます。

字幕: 相手への最大限のリスペクトを込めて「閣下」と訳されることもあります。

 

若い堂上官は呼び方が曖昧

ドラマで設定では堂上官なのに若いキャラクターの場合、街の人たちからは「ナリ」と呼ばれることもあります。大監や令監はどうしても年配のイメージがあるためです。「ナリ」は官位に関係なく使えるので間違いではありません。

 

地方官は呼び方にブレがある

都ではなく地方を舞台にした場面では官位よりもその土地での支配力が優先されます。

地方の役人は実際の官位がそれほど高くなくても、地方の庶民からすれば絶対的な権力者です。そのため「令監」と呼ぶのが適切な場合でも、敬意を込めて「大監」と呼ぶ演出が見られます。

制度の正確さよりも誰が誰をどう敬っているかという表現が優先されるのです。

 

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高官の妻に対する呼び方:プインなど

高官の妻を社会の中で呼ぶ言い方は、相手を「個人として呼ぶ」のか「その家の奥方として呼ぶ」のかで分かれます。

夫人(プイン/부인)

高官や両班の妻に対して使われる標準的な敬称。ドラマでもよく出てきます。家の外でも中でも使えます。会話の中で第三者を指して「~夫人」と言う場面でも多用されます。これも漢語由来。

字幕訳: 夫人、奥様。

 

大監宅(テガムテク/대감댁)

本来は「大監の家」そのものを指す言葉ですが、会話の中では「その家の奥方」を意味することもあります。

特徴: 「〇〇大監宅がいらした」というように、本人の名前よりも「どの家の奥方か」という家を中心にした呼び方です。

字幕訳: 奥方様、~様(家名)。

 

宅(テク/댁)

相手の妻を立てて呼ぶ際に付ける敬称です。

特徴: 姓や家名のあとに付けて「〇〇宅」という形で使われます。直接の呼びかけとしても、第三者を指す言葉としても登場します。

字幕訳: 奥様、奥方。

 

麻任(マニム/마님)

屋敷の中で使用人が女主人を呼ぶ際の定番ですが、外でも使われます。

特徴: 相手が明らかに「両班家の奥方」であると分かる場面で敬意を込めて呼ばれます。

字幕訳: 奥様。

 

師母様(サモニム/사모님)

現代韓国語でも「奥様」としてよく使われる言葉ですが、時代劇でも高官の妻への敬称として登場することがあります。ただし時代考証の厳しさによっては使わないこともあります。

字幕訳: 奥様。

 

高官夫婦セットでの呼ばれ方 典型パターン

夫の地位と妻の呼び方にもいくつかのパターンがあります。

パターン 夫の呼ばれ方 妻の呼ばれ方 ニュアンス
 公的な敬称 大監(テガム) 夫人(プイン) 最も一般的で分かりやすい。
 家格を重視 大監(テガム) 宅(テク)/ 大監宅 個人よりも家柄を優先。
年配の権威 令監(ヨンガム) 宅(テク)/ 麻任(マニム) 官位の高さより、年齢や町の有力者としての権威を表現。

 

 

若い両班の男性:ナリなど

ドラマでは若い両班がよく出てきます。彼らを呼ぶ言葉に注目すると、その人物が家や社会の中でどう扱われているか、どの段階にいるかがわかります。

ナウリ/나으리、ナリ/나리

庶民が目上の男性に向ける一般的な呼びかけです。高位の男性のところでも紹介しましたが、年齢に関係なく使えるので若い両班にも使われます。

官職についてなくても、家柄が良かったり身分が高そうに見えれば使われます。

字幕訳: 旦那様、若旦那、若様。

 

道令様(トリョンニム/도련님)

屋敷の中で使用人や年下の者が「主人の息子」を呼ぶときに使います。

官職の有無ではなく家庭内の立場を示す言葉です。
若い両班男性を「若旦那」として扱うときの呼び方になります。現代語では男性親族の呼び方としても使われます。

字幕:若様、坊ちゃん。

 

公子様(コンジャニム/공자님)

両班家の若い男性を外部の人が丁寧に呼ぶ際に使う言葉です。 屋敷の外で相手の家柄を尊重して呼ぶ時に使われやすいです。

字幕訳: 若様、若旦那、坊ちゃん。

 

士(ソンビ/선비)

 身分というより、儒学を学び、儒教の教えや学問を重んじる「知的な男性」を指す呼び名です。年齢は関係ありません。官職についてなくても使われます。

科挙受験者だけを指す語ではありませんが、科挙を目指している人物がソンビと呼ばれる場面はあります。町の人が学者風の両班を指すときや、学問に励む人物として評価する場面でも使われます。

ドラマでは「知的でかっこいい男」というイメージで演出されることがあります。朝鮮語由来。漢字を当てはめる時は士を使うこともあります。

 

儒生(ユセン/유생)

意味: 学問を学ぶ「学生」としての呼び方です。

使い方: 成均館(ソンギュングァン)や郷校(ヒャンギョ)といった教育機関に在籍する学生。

ドラマでは集団で登場して抗議活動していることが多いです。

 

書生(ソセン/서생)

意味: 本を読んで勉強している青年の意味。 成均館など学校に通わず家で勉強している若者や、家は貧しいが学問に励んでいる青年を指します。科挙を目指している設定が多いです。

また、自分をへりくだって「書生」と名乗る場面もあります。

使い方: 日本語字幕でもそのまま「書生」と訳されることが多く、知的な若者の代名詞として登場します。

 

お嬢様の呼び方:ヨンエなど

両班や高官の家の未婚女性を外の人がどう呼ぶかは立場や場面によって違います。代表的なものを紹介します。

令愛(ヨンエ/영애)

両班や高官の娘を外部の人が敬意をもって呼ぶ言葉です。相手の家格を尊重したい場面で使われます。

会話で直接呼びかける場合にも使われますが、やや改まった響きがあります。

字幕:令嬢、お嬢様

 

 閨秀(ギュス/규수)

未婚の良家の娘を指す言葉です。上品な娘という評価を含む言い方。相手に面と向かって呼びかけるよりも、会話や文章の中で出てきたり、人物紹介や評判の中で使われる傾向があります。

字幕:令嬢、お嬢様、良家の娘など。

 

娘子(ナンジャ/낭자 娘子)

未婚の女性、若い女性を意味する古風な言い方です。

両班家に限定されず、身分を問わず若い女性を意味します。時代劇では男性が若い女性を呼ぶ場面で使われることがあります。

やや文語的・古風な響きがあり、作品の時代設定によっては使わないこともあります。

字幕:お嬢様、娘さん、〇〇殿

 

阿哥氏(アガシ/아가씨)

身分は関係なく未婚の若い女性に広く使われます。両班や庶民も関係ありません。

家の使用人が主人の娘に対して使うこともあります。

字幕:お嬢さん、お嬢様、娘さん。立場や場面に変わります。

 

小姐(ソジョ/소저 小姐)

漢語由来の若い女性への敬称です。

時代劇では両班家の娘に使われることがありますが。現代の韓国ドラマではほとんど使われません。

字幕:お嬢様、娘さん。

 

娘(タニム/따님)

朝鮮語由来。딸(タル/딸 娘)に敬称の 님(ニム/님)を付けた言葉です。

外部の人が相手の娘を丁寧に言うときに使います。家格を強調するというより、相手を尊重する丁寧な言葉として使います。

字幕:娘さん、お嬢様。

 

まとめ

時代劇に登場する呼び方は、その人物の立場や年齢、家格、相手との距離感も影響します。

「テガム」と呼ばれるのか、「ナウリ」と呼ばれるのか。それだけでその人の地位や人間関係が伝わってきます。朝鮮社会が儒教を中心にした秩序社会というのが言葉にも影響しているのでしょう。

その一方で、ドラマでは制度の正確さよりも演出やわかりやすさが優先されることもあります。

だからこそ「なぜこの場面でこの呼び方なの?」と少し意識してみるだけで、ドラマがさらに理解できると思ますよ。

 

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執筆者:フミヤ(歴史ブロガー)
京都在住。2017年から韓国・中国時代劇と史実をテーマにブログを運営。これまでに1500本以上の記事を執筆。90本以上の韓国・中国歴史ドラマを視聴し、史実とドラマの違いを史料(『朝鮮王朝実録』『三国史記』『三国遺事』『二十四史』など)に基づき初心者にもわかりやすく解説しています。類似サイトが増えた今も、朝鮮半島を含めたアジアとドラマを紹介するブログの一つとして更新を続けています。

詳しい経歴や執筆方針は プロフィールページをご覧ください。
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