夜を歩く士のソンビって何者?

イ・ジュンギ出演の韓国ドラマ「夜を歩く士(ソンビ)」ではソンビが出てきます。身分の高い人みたいだけど吸血鬼にされてしまった人。名前だけ聴くと「ゾンビ」にもきこえますが一体何者なんでしょうか?

朝鮮ではソンビというのは妖怪ではなくて社会的にも認められた存在なんです。

ソンビについて紹介します。

ソンビ(士)とは

ソンビ(선비)とは、学問に励む人を意味する古風な言い方。特に儒教を身につけて実践する人のことです。

学識があって、礼節を守り、義理と儒教の教えを守り、富や権力に執着しない人を意味します。

ソンビは義理(私心をもたないこと。個人的な感情よりも、恩や信頼に応えること)と品格を大切にします。単純に知識を増やすだけでなく、人格的にも優れた人です。

常に身なりを整えて、傲慢にならず、愛国心を持たなければいけません。世の中のためには、激しい批判を行い、時には命をかけます。

よく韓国時代劇では儒学生たちが門の前で座り込みをして王に訴えていることがありますよね。あれは彼らの信じる正義のために行っています。ソンビになるために必要な行動なんですね。(ドラマでは陰謀を企む重臣たちに利用されていることが多いですが)

士農工商の「士」になります。日本では「士」は武士のことですが。朝鮮ではソンビのことなんです。

士農工商という言葉は儒教的な価値観から出来た言葉なので、日本だけでなく中国や朝鮮にもあります。

吸血鬼より怖い?ソンビの負の一面

後の時代には、高い儒教の知識をもつけれど現実に疎い人を揶揄することばとしても使われます。

これは李氏朝鮮時代に士(ソンビ)達が作った派閥・士林派が朝鮮の政治を動かしました。しかし士林派は理屈ばかりを追い求めて現実を見ない政治を行ったため、日本との戦争(文禄・慶長の役)、清との戦争(丙子胡乱)などで対応が後手に回って余計に被害を大きくしたこと。朝鮮国内で様々な政変を引き起こして国内を混乱させたこと。実用的な学問が軽視されて近代化が遅れことなどがあります。そのため士(ソンビ)に対して悪いイメージを持つ人達が出てきました。

悪いソンビのイメージは「逆賊・民の英雄ホンギルドン」でも出てきます。ドラマの中でソンビたちは「守貴単(スグィダン)」という組織を作っていました。守貴単の人たちは単にひどいことをしているように見えますが、彼らは儒教の精神を実行しているつもりなんです。李氏朝鮮の両班にとっては間違ったことはしていないのです。

日本でも武士・侍(さむらい)というと「武士道を身に着けた人」といういいイメージと、町民や農民を苦しめる存在の両方のイメージが存在します。ソンビも似たような感じの言葉です。

もちろん、「夜を歩くソンビ」でイ・ジュンギが演じるのはいい方のソンビです。

ソンビはゾンビ?

もともとゾンビというのは、ブードゥー教の生きてる死体のことでした。ブードゥ教の呪術者が生きてる人間から魂を抜いて、体を思い通りに動くようにしたものです。

その後、ゾンビが様々な作品に登場するとゾンビの性質も変わってきました。吸血鬼の性質を持つものもゾンビと言われることもあります。単に生きてる死体という意味でゾンビと呼ぶこともありました。

現代韓国では、生きてる死体+吸血鬼という性質があれば「ゾンビ」とよぶのです。「夜を歩く士」のソンビもゾンビといっても間違いではないのですね。

ドラマのソンビは、知識人としての士(ソンビ)と生きた死体としてのゾンビをかけ合わせた洒落になってるんですね。


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