中国ドラマ「贅婿(ぜいせい)」を見ていると、登場人物が皮蛋(ピータン)を作って売っている場面がありました。
皮蛋(ピータン)はアヒルの卵を加工して作る中国の伝統的な食べ物です。
独特な色と見た目。
クセのある匂い。
のせいで嫌いな人は嫌いだけど、好きな人はたまらない。というモノ。
納豆やフナ寿司と一緒で発酵してるのか傷んでるのか境が微妙な食品ですね。
でも伝統的な中国の食べ物なので中国や台湾では人気があるようです。
皮蛋(ピータン)とはどういうものか紹介します。
皮蛋(ピータン)とは
皮蛋(ピータン)はアヒルの卵を熟成させて作った食べ物。
「松花蛋」とか「皮蛋」とかいいます。
アヒルの卵に灰や木炭その他の者を混ぜたものを塗って放置。2ヶ月ほどおいておくと白身が固まるといわれます。灰をまぶした後にモミをまぶしてミノムシみたいになってるものもあります。
灰の成分はアルカリ性で、アルカリが染み込んでタンパク質と化学反応して固まってゼリー状になります。黄身は緑色になってます。産地や製造法に酔って堅いものと柔らかいものがあります。大まかに言って台湾製が柔らかく、中国製がやや硬めのようです。
表面に雪の結晶のような模様があるものが高級品とされます。
皮蛋(ピータン)は堅い殻ごと処理されていますが。殻は食べられません。食べるときは殻についた泥を落として殻をむいて食べます。
鶏卵やウズラの卵で作ることもあります。
深い緑でどす黒くて独特な色合いです。
これ見たときは一瞬、風水系アイテムの瑪瑙の置物を思い出しました。
確かに瑪瑙や玉髄とか風水系の鉱物にこういう色合いのものがあります。中国人はむしろこういう外観は好きかもしれませんね。
アンモニアや硫化水素(いわゆる腐った卵の匂いというやつ)の匂いがします。匂いが少ないのものもあります。
業者にもよるかもしれませんが、中国製より台湾製の方が匂いが少ないようです。
でも最近は淡黄色だったり見た目がきれいなのもあります。
タイには見た目がピンクのものがあるとか。話に聞いただけで実際には見たことがないので見てみたいです。
歴史
皮蛋(ピータン)の起源は諸説あります。
よく言われるのは明朝の泰昌年間(1620年)。江蘇省呉江県にある小さな茶屋で店の主人はアヒルの卵を灰の中に入れていたのを忘れてしまい。あるとき灰を取り除いていたらアヒルの卵がでてきました。皮をむいてみると、黒光りして白い模様があり、独特の匂いがありました。試しに食べてみると美味しかったので店の商品にしたということです。
その後、製法が改良された今のようになったと言われます。
なぜこのような製法に?
アヒルの卵は殻の内側にも雑菌がいます。そこで殺菌するためにこのような製法になったという説もあります。アルカリで微生物が死ぬから。
卵の殻には小さな穴が空いているので雑菌が入ることがあるのです。ニワトリの卵でも保存状態が悪いと雑菌は入ります。
最初は偶然だったかもしれませんが。食べられないと思っていたアヒルの卵がこの方法なら食べられるということで。普及したのかもしれませんね。
鉛に注意
松花皮蛋は独特の花のような模様がついているものがあります。
伝統的な製法では花のような模様を作るために黄丹粉(一酸化鉛)を使っています。鉛は体内に入ると毒です。
鉛は採りすぎると注意力や記憶力の低下が起こると言われます。とくに発育途中の子どもの場合は知能、神経、免疫力へ障害が残ることもあるといいます。
1970年代に台湾で問題になり。その後、中国でも問題になりました。
「ピータンに鉛」は中国版ウィキペディアといえる「Baidu百科」にも載ってるくらい、知られた内容。
伝統製法は安全で現代の化学合成したものを使った方が危険。だと思ってる人が多いのですが。安全性・危険性は使ってる物質の種類や量によって違います。昔の人は危険性を知らないまま使ってることもあるので伝統製法だから安全とは限りません。ピータンは伝統製法の方が危険というパターンです。
中国当局の規制では鉛含有量は卵1000gあたり0.5mg以下に決められています。この規制をクリアした皮蛋は「無鉛皮蛋」として売られてれています。「無鉛皮蛋」でもゼロではないので、子供はあまり食べないほうがいいようです。
台湾は伝統的な製法はやめたようなので問題ないと言われます。
ちなみに日本の食品衛生法では一酸化鉛などの重金属は食品の製造には使えません。国内で生産したものは問題ないはずです。
とはいえ。「無鉛」と表示されていても基準値を超えていたり、伝統製法でないといいつつも伝統製法で作っていたり。黄丹粉は使わずに別の鉛化合物を使ったりと中国でも食品偽装が問題になったこともありました。
微量の鉛が入ってるからと言ってすぐに害が出るものではありませんが。念のため、皮蛋(ピータン)の食べ過ぎには用心したほうがいいかもしれません。
どの食べ物でも食べ過ぎはよくありませんけどね。
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