韓国ドラマ「緑豆の花」の紹介記事です。
李氏朝鮮王朝末期。東学党の乱を舞台に違う生き方を選んだ兄弟の葛藤と絆を描くドラマ。
19世紀末。朝鮮の政治は腐敗し民が苦しんでいました。ペク・イヒョンとペク・イガンは汚職役人を父にもつ兄弟。
弟のイヒョンは嫡子で父の期待をうけて日本に留学。近代化を目指そうとしていました。
兄のイガンは使用人との間に生まれた庶子。長男ですが父の汚職を手助けする汚れ役を引き受けていました。
全州で民衆の反乱が起こりました。兄イガンは平等な世の中を求めるため反乱軍に入隊。弟イヒョンは討伐軍に徴兵され、官軍の軍人になります。兄弟が再開した時、イヒョンとイガンは敵対する立場になっていました。
そのとき兄弟のとった行動とは?そして二人の運命は?
「緑豆の花」に登場する主な人物を紹介します。
番組情報
緑豆(みどりまめ)の花
2019年、韓国 SBS
韓国版 一話30分、全42話
日本放送版 1時間枠(CM含む)にあわせ全30話に編集
時代背景と用語解説
東学
1860年ごろ崔済愚(チェ・ジェウ)が始めた宗教。西学(キリスト教)に対抗して民間信仰・仏教・儒教のいいとこ取りをした内容。人間の尊厳と平等を主張。教えが単純でわかりやすいので庶民に広まりました。
教団は朝廷から弾圧を受けました。初代教祖の崔済愚は処刑されましたが、その後も幹部たちが布教活動を続けました。信者の集団は組織的な動きができるので朝廷からは厳しい取り締まりを受けました。
東学教徒の集団を東学党といいます。
東学の乱
26代 高宗の時代に起きた大規模な民乱(民衆の反乱)。
「東学」が中心になったので東学(党)の乱と言います。韓国では「東学農民革命、東学農民運動」。北朝鮮では「甲午農民戦争」といいます。
東学教徒の他に多数の農民や賤民も参加。大規模な民乱(民衆の反乱)に発展しました。
1894年。全羅道で起きた民衆の役人への抗議行動がきっかけになり、東学教徒が挙兵。東学の乱が他の民乱と違うのは東学が各地に作ったネットワークを利用して各地の組織をまとめ大規模な動員ができたこと。
東学軍は各地で官軍を破り全羅道を占領。農民たちを自国の民とも思わない閔氏政権は清に鎮圧を要請。清軍が派遣されると天津条約に基づき日本軍も朝鮮に派兵しました。
やがて東学軍リーダー・全琫準は朝廷に和平を求めました。外国の参戦を驚異に思ったこと、農繁期だったこともあり離反者が多かったので全琫準はこれ以上の戦闘は無理と判断したためといわれます。
ドラマではその後、全羅道で東学による改革が動き出しますが。実際には朝鮮の朝廷は東学の要求を無視したので実行していません。
ところが清軍と日本軍は撤退せず。朝廷では日本軍と手を組んだ高宗と開化派が閔氏派を追放。清は宗主権をもつ朝鮮に日本が介入したので反発。日清戦争が始まります。朝廷では金弘集たちが改革(甲午改革)を進めますが。改革で地位がなくなってしまう両班は反対。興宣大院君は全琫準に挙兵を呼びかけます。全琫準は組織の意見をまとめるのに時間がかかり東学軍が参戦したころには日清戦争は終わりかけていました。東学軍は日本軍と戦い壊滅するのでした。
成り上がり両班
勢道政治(純祖~高宗)の時代。朝廷の権力を得た一族は官位や身分を売りました。豪商・地主たちが「両班」の身分を買って成り上がり両班になりました。ペク・マンドゥクもそんな成り上がり両班のひとり。
科挙に合格して官職を得ている伝統的な両班とは違うので。伝統的な両班からは見下されています。イヒョンの婚約相手ミョンシムの兄キム・ムンヒョンがイヒョンを軽蔑しているのはそのため。ムンヒョンが特別意地悪なのではなく伝統的な両班なら普通の反応です。
両班は税負担はほぼありません。成り上がりでも両班が増えると納税者が減り国家財政は更に悪化。税負担をしない階級が国民の半数を超え。納税者の負担はますます増えました。想像を絶する搾取に苦しむ民衆は各地で反乱を起こします。
主要人物
ペク・イガン(白利康)
演:チョ・ジョンソク
(賢い医師生活:イ・イクジュン、トゥー・カップス:チャ・ドンタク)
イヒョンの異母兄。ペク・カの長男ですが、使用人の子なので庶子。
父の仕事を手伝い借金取りをしています。
反乱が起こると、今までの生き方を変えて平等な世の中を作りたいと、東学軍に入ります。
ペク・イヒョン(白利賢)
演:ユン・シユン
(製パン王 キム・タック:キム・タック、不滅の恋人:イ・フィ、魔女宝鑑:ホ・ジュン)
両班ペク・カの嫡子。
日本に留学に行っていました。朝鮮を日本のような近代化した国にしたいと考えています。ミョンシムとの婚約。
ところが東学の反乱がおきて鎮圧軍に徴兵されてしまいます。裏切り者への復讐と戦場の過酷さの中でイヒョンは人が変わったようになり。東学軍から「鬼」と恐れられる凄腕の狙撃兵に。
ミョンシムの兄からは成り上がりものと侮辱されているので立派な人物になりたいと這い上がろうとしています。
ソン・ジャイン(宋慈璘)
演:ハン・イェリ
(六龍が飛ぶ:チョク・サグァン)
日易商人。全州旅閣の主人。
イガンと惹かれ合います。
白家の人々
ペク・マンドゥク(白晩得)
演:パク・ヒョックォン
両班。イガンとイヒョンの父。税の徴収を行う役人。民を苦しめ私服を肥やしています。金でのし上がった成り上がり両班。儒教社会では「金銭」を扱うのは「卑しい行い」とされていため、伝統的な両班からは見下されています。イヒョンが科挙に合格して出世するのを願っています。
チェ氏(蔡氏)
演:ファン・ヨンヒ
イヒョン、イファアの母。ペク・カの正妻。
ユウォル(柳月)
演:ソ・ヨンヒ
イガンの母。白家の使用人。
ペク・イファ(白利華)
演:ペク・ウネ
イヒョンの同母妹
東学党
チョン・ボンジュン(全琫準)
演:チェ・ムソン
東学党の幹部。あだ名は「緑豆将軍」。横暴な役人への怒りから農民たちを集めて役所を襲撃。反乱を起こしました。東学軍を率いて全州の各地で戦いました。
あだ名の「緑豆将軍」は緑豆のように小さかったから。実在した全琫準は小柄な体だったようです。
チェ・ギョンソン(崔景善)
演:ミン・ソンウク
イガンの所属する部隊の指揮官。
ヘスン(海氶)
演:アン・ギルガン
イガンの仲間。僧侶出身。
身分差別の廃止を訴えていた東学軍には賤民(僧侶も賤民)が多く参加していました。
ボドゥリ
演:ノ・ヘンハ
イガンの仲間。狙撃手。
ボンゲ
演:ピョンホン
全琫準部隊の偵察要因。
古阜の人々
ファン・ミョンシム(黄明心)
演:パク・ギュヨン
イヒョンの許嫁。イヒョンの恋人。婚約しましたが、兄ソクジュは快く思っていません。
ファン・ソクジュ(黄錫柱)
演:チェ・ウォニョン
伝統的な両班。
ミョンシムの兄。
全州の人々
チェ・ドッキ(崔徳気)
演:キム・サンホ
崔行首。
ソン・ジャインの護衛。軍人出身。
全州旅閣の番頭。
キム・ムンヒョン(金文顕)
演:イ・スンウォン
全羅監察。
キム・ハクジン(金鶴鎮)
演:ナム・ムンチョル
全羅道監察使
朝鮮朝廷
高宗
演:イ・チャンヨン
朝鮮王朝の第26代国王。
明成王后
演:キム・ジヒョン
高宗の正室。
興宣大院君
演:ファン・ジョングク
本名:イ・ハウン(李昰應)
高宗の父。明成王后とは対立。
ホン・ギフン(洪啓薫)
演:ユン・ソヒョン
明成王后の腹心。鎮圧軍の指揮官。
キム・ホンジュン(金弘集)
演:ファン・マンイク
朝廷内の改革派。
その他
大鳥圭佑(おおとり けいすけ)
演:キム・インウ
日本の外交官
武田陽介(たけだ ようすけ)
演:イ・ギチャン
日本公使館の武官
袁 世凱(えん せいがい)
演:ムン・ジョンウォン
清朝の軍人・政治家。
公使としてやってきて朝鮮の政治を監督しています。
丁汝昌(てい じょしょう)
演:キム・ソンカン
清朝の提督。
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