金炳淵（キム・ビョンヨン）は19世紀の李氏朝鮮で活動した放浪の詩人。
両班の家に生まれながら、家出。笠を被って各地を放浪。
いつも笠を被っていたので「金笠」とも言われます。
両班や世の中への批判、不満。不条理さを詩にしました。
史実の金炳淵（キム・ビョンヨン）どんな人物だったのか紹介します。
金炳淵（キム・ビョンヨン）の史実
いつの時代の人？
生年月日：1807年
没年月日：1863年
享年：57歳
名前：金炳淵（キム・ビョンヨン）
愛称：金笠（キムサッカ、キムニプ）
字：性深
雅号：蘭皋（ナンゴ）、而鳴
本貫：安東金氏（アンドンキムシ）
父：金安根
母：咸平李氏
妻：長水黄氏
祖父：金益淳（キム・イクスン）
子供
金学均（キム・ハクギュン）
金翼均（キム・イクギュン）
3男キム・ヨンギュ
彼は朝鮮王朝（李氏朝鮮）の純祖から哲宗の時代に生きました。
日本では江戸時代の終わり頃になります。
安東金氏の家に生まれる
純祖の時代。
1807年。京畿道で金炳淵（キム・ビョンヨン）が誕生。
父は両班で安東金氏の金安根（キム·アングン）
母は長水黄氏
四人兄弟の次男でした。
祖父が洪景来の乱で処刑
1811年。洪景来の乱が起こりました。
当時、祖父の金益淳（キム・イクスン）は宣川府使でした。
金益淳が夜更けに酒に酔っていると、洪景来（ホン・ギョンレ）たちが攻め込んで縛られました。金益淳は洪景来に降伏。洪景来の仲間に加わりました。
その後、洪景来の乱は鎮圧され。洪景来は戦死。金益淳は処刑になりましたが、家族の命は助けられ。金炳淵も生き延びました。
祖父を知らずに育つ
その後家族は黄海道谷山に引っ越しました。
父は死亡。母が四人の子供を育てました。
金炳淵は兄弟の中でも頭がよく神童と呼ばれました。
金炳淵は祖父が金益淳だとは知らされずに育ちました。世間にも金益淳の家族なのは隠して暮らしていました。金益淳の家族だと知られると官職にもつけないし、差別を受けると親が心配して隠したからです。
１０代後半で長水黄氏と結婚。３人の子供が生まれました。
1827年。20歳の時。江原道寧越で行われた作文大会で優秀な成績を収めたこともあります。
家出
科挙に合格。そのとき金益淳について書けという問題が出て、金益淳を逆賊として激しく批判する文章を書いて合格しました。
22歳のとき。後に母から金益淳が祖父だと知らされショックを受けました。
金益淳は自分が祖父を貶めたと激しい後悔に襲われ。恥ずかしさのあまり家出してしまいます。2度と官職に就かないと誓いました。
親や祖先を崇拝する儒教社会で育った金炳淵にとって、祖父を貶めた自分がことが許せなかったのでしょう。
金笠を名乗る
家出した金炳淵（キム・ビョンヨン）は常に編笠を被って放浪。編笠（サッカ）と名乗りました。
恥ずかくて顔を出せないので編笠を被っていたといわれます。
そのため世間では彼のことを金笠（キムサッカ、キムニプ）と呼びます。「サッカ」は朝鮮語で「編笠」のこと。「キムニプ」は「金笠」の漢字を朝鮮式に発音したものです。
金炳淵（金笠）は一度、実家に戻ったと言われますが。それ以外は家族と会いませんでした。
放浪の詩人
その後、金笠こと金炳淵は物乞いをしながら各地を放浪。
金笠は友人から衣類や財産を贈られても貧しい人々や乞食に分け与えることがよくありました。
その後の金笠のあしどりはよく分かりませんが。各地で詩を残しています。
朝鮮の民間伝承には、金笠が人々を助けたり、上流階級をからかったりする伝説がいくつかあります。
1863年(哲宗14年)。放浪先の全羅道で死亡。享年57歳。
父の行方を探していた金翼均（キム・イクギュン）に発見され。遺骨は実家の近くの墓に戻されました。
詩人として
金笠の詩は社会や両班階級への不満。世の中の不条理さを詠んだものが多いです。庶民の生活や自然を描写した詩もあります。
金笠は各地を放浪しながら詩を作っていました。まとまって発表されることもなく、詩集になって発売されることもありません。金笠の死後。金笠の作品は散り散りになって忘れ去れられようとしていました。
日本統治時代の1939年に李応洙が金笠の詩を集め詩集「金笠詩集」を作りました。金笠にとっては初めての詩集です。それによってお金笠の名は全国的に知られるようになりました。
現在では各地に金笠ゆかりの地や様々な伝説がありますが、どこまでが本当なのは分かりません。
テレビドラマ
商道（サンド）
2001年、MBC。 演：チョン・ギソン
雲が描いた月明かり
2016年、KBS 演：チョン・ヘギュン
演：クァク・ドンヨン
少年時代：ノ・ガンヨン
詩人ではなく武官。洪景来一味の残党という設定。
名前は同じですが、ほとんど別人。
別監（ピョルガム）。世子イ・ヨンの護衛でヨンが最も信頼する人物。
洪景来の娘・ラオンを探して守ります。
笠をかぶっている姿が印象的なので「笠のビョンヨン」のあだ名があります。
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