苗心禾のモデル、昭節貴妃 苗氏(宋仁宗側室)は娘婿を毒殺しようとした？

昭節貴妃 苗氏は北宋 第4代皇帝 仁宗の側室。

母は仁宗の乳母でした。

美しかった 苗氏は仁宗の寵愛をうけて側室になりました。

仁宗との間には一男一女が生まれます。息子の趙昕は幼くして亡くなりましたが。

娘の福康公主は仁宗から非常に愛されました。福康公主が問題を起こします。このとき 苗氏は娘に味方しました。

中国ドラマ「孤城閉」では苗心禾（びょう・しんか）の名前で登場します。

史実の昭節貴妃 苗氏はどんな人物だったのか紹介します。

昭節貴妃 苗氏の史実

いつの時代の人？

生年月日：1023年
没年月日：1091年

姓　：苗（びょう）氏
名称：不明

国：宋（北宋）
地位：仁壽郡君→才人→昭容→徳妃→貴妃（尊封）
称号：昭節

父：苗継宗
母：許氏（肅成賢穆呉越国夫人）
姉：永安縣君 苗氏

夫：宋仁宗
息子：趙昕
娘：福康公主

彼は宋の仁宗の側室です

日本では平安時代になります。

仁宗の時代

1023年誕生。開封出身。

父は苗継宗。

苗氏の母親 許氏は仁宗の乳母でした。

ところが母の許氏は宮人たちから誹謗中傷されて宮殿を出ました。

仁宗が即位すると母の許氏は「當陽郡夫人」となり宮廷に戻ってきました。後に加封されて「齊國夫人」になります。

父の苗継宗は右班殿直（正九品）になりました。殿直とは宮殿を守る下級武官です。
苗氏の姉は「永安縣君」、苗氏は「仁壽郡君」の称号が与えられました。

英宗は幼いころ後宮で育てられました。苗氏も英宗の養育に関わっていたました。

美しかった苗氏は仁宗の寵愛を受けて側室になりました。景祐5年（1038年）5月、才人になりました。
8月　長女の福康公主が誕生。
9月　美人に昇進。

寶元2年（1039年）。8月15日　仁宗の次男 唐王 趙昕が誕生。
9月。昭容に昇進しました。

慶曆元年（1041年）。息子の趙昕が死去。３歳でした。

皇祐3年（1051年）。淑儀に昇進。

福康公主が李宸妃の甥と結婚

仁宗は生母が李宸妃だったのを母の死後に知りました。そのことを大変に悔やんでいて。李宸妃の唯一の肉親の李用和の次男・李瑋と福康公主を結婚させることにしました。

嘉祐2年（1057年）6月。福康公主が李瑋と結婚。
苗氏は賢妃になりました。

ところが駙馬都尉（皇帝の娘婿）の李瑋は農民出身。飾り気のない素朴な性格で、容姿も美しくありません。福康公主は李瑋が嫌いで下僕扱いしていました。主の乳母・昌黎郡君 韓氏たちも李瑋を見下していました。

また。苗賢妃や福康公主は親戚を官職につけようと推薦したこともあります。この時代、妃嬪の親族が官職に就くのは珍しくはありませんが。仁宗に平然と要求したことが記録されています。

駙馬都尉・李瑋 毒殺未遂事件

「続資治通鑑」によると。

やがて福康公主は公主宅を管理する宦官・梁懷吉と親密になり、酒を飲み交わす中になりました。その光景を李瑋の生母 楊氏が見たので公主が怒って楊氏を殴りました。そして夜にも関わらず公主は宮廷に入って仁宗に報告。しかし司馬光たち臣下は公主側に問題があると主張。梁懷吉や公主の乳母・昌黎郡君 韓氏たちが追放になりました。

その後、激怒した福康公主は宮殿を放火して自殺すると脅し。仁宗は梁懷吉たちを戻します。

それを聞いた賢妃 苗氏は娘が気の毒になり、駙馬都尉・李瑋を嫌っているなら離婚させようと考え。親しい兪充儀（後の徳妃）と協力。内官たちに李煒の過ちを探させるように命令しました。でも李煒は質素な生活をしていたので問題は見つかりません。

そこで苗賢妃は駙馬都尉・李瑋を亡き者にしようと考え、兪充儀と一緒に宋仁宗に李煒に毒を賜るように願い出ました。でも仁宗は返事しませんでした。

そこに皇后が現れ「陛下は章懿太后（李宸妃）を思いやって瑋を公主と結婚させたのです。今更何をしようというのですか？」と言い。李煒の毒殺を止めさせました。

臣下の任守忠も李煒は無実なので処分すべきではない訴え。李煒殺害計画は中止になりました。

嘉祐7年（1062年）12月。苗氏は徳妃になりました。

嘉祐8年（1063年）。仁宗が死去。英宗が即位しました。

その後の昭節貴妃 苗氏

治平4年（1067年）。英宗が死去。神宗が即位しました。

元豊8年（1085年）。神宗が死去。哲宗が即位。しました。

貴妃になりました。

元祐6年（1091年）10月死去。享年69歲

哲宗によって「昭節」の諡号が贈られました。

テレビドラマ

孤城閉　

役名：苗心禾（びょう・しんか）

2021年、中国　演：許齢月、少女時代：賈笑涵、子役：孫夢晗 　

仁宗の乳母の娘。そのため宮殿で趙禎と一緒に育ちました。子供の頃は劉皇太后から可愛がられました。 苗心禾は幼い頃から趙禎のことが好きでしたが、それを打ち明けていませんでした。

趙禎が仁宗に即位後、側室になりました。一男一女を産みましたが息子は早世してしまいます。 娘の福康公主・趙徽柔は仁宗 趙禎の長女。仁宗が最も寵愛した王女でした。

仁宗を最もよく知る人物で生涯仁宗だけを愛し、曹皇后とも友情で結ばれています。

史実の 苗氏は曹皇后とは仲良くありませんし。娘のために無実の婿（しかも皇帝の母方の甥）を毒殺しようとする人でした。ドラマのような人物ではありません。

ドラマの苗心禾は史実の昭節貴妃 苗氏よりもかなり美化されているようです。