韓国ドラマ「ヘチ・王座への道」は李氏朝鮮を舞台にした時代劇。
トンイでおなじみ19代国王・粛宗の時代が舞台です。
主人公はイ・グム。
トンイのモデルになった淑嬪崔氏の息子・延礽君(ヨニングン)です。
その延礽君(ヨニングン)には密豊君(ミルプングン)という王族がライバルとしていました。
延礽君が王になると、密豊君が反乱をおこします。
韓国ドラマ「ヘチ」の主な登場人物とモデルになった実在の人物を紹介します。
一部ネタバレ要素があるのでご注意ください。
ドラマの背景
李氏朝鮮王朝の19代粛宗の時代。禧嬪張氏も淑嬪崔氏も既にこの世になく、粛宗の時代も晩年になろうとしていました。
粛宗には3人の息子がいました。世子、延礽君(ヨニングン)、延齢君(ヨルリョングン)です。ドラマに登場する王族の系図はこうなります。
跡継ぎの世子は体が弱く子供がいません。延礽君は母の身分が低かったので重臣からは跡継ぎとは思われていませんでした。
重臣たちは自分たちに都合のいい王子をあとつぎにしようとしていました。老論の重臣たちが目をつけたのが密豊君(ミルプングン)という王族です。
密豊君は王になれなかった悲運の王子・昭顕世子の子孫です。血筋としては正当な密豊君イ・タンですが、彼は普段から素行がよくありませんでした。
あるとき、密豊君の悪行を調査していた役人が殺されてしまいます。王になろうと欲をみせる密豊君と彼を利用しようとする重臣たち。
イ・グムは重臣たちが私利私欲のために正義をないがしろにする世の中はおかしいと考え。仲間とともに世の中を変えようと動き出します。
老論と少論が激しく対立する中で粛宗が死亡。世子イ・ユンが国王(景宗)になります。
しかしその景宗も病で病死。悲しみにくれるイ・グムは国王(英祖)に即位。しかし英祖に兄殺害の疑いがかかります。英祖は粛宗の子ではないという噂まで広がり。さらに李麟佐(イ・インジャ)が密豊君と会って反乱を起こしました。李麟佐の反乱を鎮圧した英祖は司憲府の改革を宣言。そんな英祖に密豊君が襲いかりますが、ヨジが英祖をかばおうとして・・・
ヘチはドラマになることも多い粛宗~英祖~正祖の時代を舞台にしています。同じような時代のドラマを時系列で並べるとこうなります。
トンイ → ヘチ → テバク → 秘密の扉 → イ・サン
とくにテバクとはほぼ時代が重なります。
ヘチとは
ヘチは古代中国の伝説上の生き物。善と悪を裁くといわれます。漢字で 獬豸(かいち)と書きます。朝鮮では獬豸をヘチ、ヘテと発音します。
ドラマの中では司憲府の役人がヘチとよばれます。司憲府は政治の派閥争いに左右されることなく法を守る人々と考えられているからです。
ヘチの主要人物
イ・グム/延礽君(ヨニングン)/英祖
演:チョン・イル
声:金本涼輔
粛宗の次男(生存している中では)。後の21代国王・英祖。母・淑嬪崔氏はすでにこの世にはいません。母の身分が低いせいで重臣からは跡継ぎ候補とは思われていません。遊び暮らす日々を送っていました。父・粛宗が延礽君の素質を見抜いて後継者にふさわしいと考えている事を知り世の中を正そうと決意します。
パク・ムンス(朴文秀)
演:クォン・ユル
声:森山智寛
名家の息子。正義感あふれる熱血漢。司憲府(サホンブ)の監察をめざし試験を受けましたが不合格。諦めずに挑戦し続けています。
歴史上実在した役人。正義感のある人物として主役のドラマも作られました。正祖(イ・サン)、英祖の時代のドラマにはよく登場します。実際に役人として活躍するのは英祖が即位した後から正祖の時代です。
チョン・ヨジ(千汝智)
演:コ・アラ
声:平井祥恵
司憲府で働く茶女(タモ)。ハン・ジョンソクの部下。司憲府で使用人として働いていますが女性でしかできない任務を行います。捜査にも加わります。後に仁元王妃に使える宮女になります。架空の人物。延礽君時代に側室にした靖嬪李氏をのぞけば、英祖の側室は全員宮女出身でした。他の王族に仕えた宮女を側室にしたという噂話まであります。英祖の宮女好きにヒントを得た人物かもしれません。
ダルムン(達文)
演:パク・フン
声:浜田賢二
町のごろつきの頭。義理人情に厚く、貧しい人々を守ります。妓楼を持つ商人ケドルのもとで働いていましたが、やがてその座を手に入れます。
王族
粛宗
演:キム・ガプス
声:佐々木勝彦
19代国王。寵愛した禧嬪張氏や淑嬪崔氏は既に他界。過去に重臣を粛清してきたことで重臣からは疎まれています。跡継ぎのことで頭を悩ませています。
仁元王妃(イヌォン王妃)
演:ナム・ギエ
声:横田砂選
粛宗の3人めの妃。トンイでは仁顕王妃(イニョン)のあとに登場した王妃。世子、イ・グム、イ・フォンの継母。素行の悪いイ・タンのことは快く思っていません。粛宗亡き後も宮廷で大きな力をもちます。重臣たちに軽んじられる延礽君を自分の養子にします。
ソ氏(徐氏)/貞聖王后
演:チェ・スイム
声:池田朋子
イ・グムの正室。遊び暮らして王座に欲がない夫が不満。
後の貞聖王后。朝鮮史上、在位期間が最も長い王妃です。
イ・ユン/世子/景宗
演:ハン・スンヒョン
声:蓮岳大
後の20代国王・景宗。母:禧嬪張氏は仁顕王妃を呪った罪で処刑されました。体が弱く跡継ぎが生まれないことから重臣たちに世子の地位を脅かされています。
世子嬪/宣懿(ソニ)王妃
演:ソン・ジイン
声:麻鈴
跡継ぎがいないため世子が地位を追われないか心配しています。ヨニングンを軽んじています。後の宣懿王后。
イ・フォン/延齢君(ヨンリョングン)
演:ノ・ヨンハク
声:大町知広
粛宗の三男。心優しい性格。少論派が支持しています。ヨニングンを兄として尊敬しています。
歴史上は粛宗が最もかわいがった王子と言われています。若くして病死。
イ・タン/密豊君(ミルプングン)
演:チョン・ムンソン
声:内田岳志
16代仁祖昭顕世子の子孫。王族の地位を利用して陰で殺人を行なう冷血漢。本来なら自分が後を継げたはずだという被害妄想がひどく、王になりたいと思っています。
英祖の時代にイ・インジャの乱が起こります。そのとき密豊君は正当な王として担がれました。反乱に失敗して自害します。
反乱に参加したのは事実です。でも密豊君が日頃から人殺しをしていたという記録はありません。でも朝鮮王朝では些細なことで町民を殺す王族はいました。
重臣たち
老論派
ミン・ジノン(閔鎭遠)
演:イ・ギョンヨン
声:菅生隆之
老論派の実質的なリーダー。粛宗の前の王妃・仁顕王妃の兄。熾烈な派閥争いを生き抜いて力のあるものが権力を持つことを知り、意のままになる者を次の王にしようとしています。
歴史上は粛宗の時代に権力をもっていたのは兄の閔鎭厚。閔鎭遠が老論の実質的リーダーになるのは景宗の時代。老論の先頭に立って少論と対立するのは英祖時代です。
キム・チャンジュン
演:イ・ウォンジェ
声:浅見小四郎
領議政(ヨンイジョン)。形のうえでは老論派の長ですが、実権をミン・ジノンににぎられています。
領議政をつとめた実在の金昌集(キム・チャンジプ)がモデル。金昌集は景宗時代に力のあった老論四大臣の一人。
ミン・ジノン(閔鎭遠)を引き立たせるため、ドラマのキム・チャンジュンは実在の金昌集(キム・チャンジプ)より頼りない人物に描かれています。
イ・イギョム(李頤命)
演:キム・ジョンス
声:志賀圭二郎
司憲府の長。老論ですが自分をないがしろにするミン・ジノンを快く思っていません。景宗時代に力のあった老論四大臣の一人。
少論派
チョ・テグ(趙泰耉)
演:ソン・ビョンホ
少論の長。西人派時代はミン・ジノンとも親しかった仲。力を持ち始めたヨニン君を警戒します。
歴史上は景宗時代に死亡します。でもドラマでは英祖即位後も存命。趙泰耉のあとに領議政になった少論の穏健派・崔奎瑞を合せたような人物として描かれます。
イ・グァンジャ(李光左)
演:イム・ホ
声:野島裕史
少論派の実力者。司憲府大司憲や領議政を歴任します。英祖時代には少論穏健派のリーダーとして活躍しました。
チョ・ヒョンミョン
演:イ・ドヨプ
声:小野健一
派閥争いにはあまり加わらない愚直な役人。やがてヨニン君を理解するようになります。
南人派
李麟佐(イ・インジャ)
演:コ・ジュウォン
没落両班。密豊君を担いで反乱を起こします。歴史上は少論ですがドラマでは南人として登場します。
司憲府
ウィ・ビョンジュ
演:ハン・サンジン
声:てらそままさき
ハン・ジョンソクの友。南人派です。南人派が朝廷での力を失ったので出世のためミン・ジノンに協力しますが切り捨てられ、最後はイ・インジャの反乱に参加します。
ハン・ジョンソク
演:イ・ピルモ
声:内田夕夜
監察の長。もと老論派。現在は一族とは縁を切っています。ヨジの上司。老論派が隠すイ・タンによる殺人事件を調べていますが、志半ばで命を落とします。
その他
ユニョン
演:ペ・ジョンファ
声:北西順子
ミルプン君の愛人。王妃になることを夢見ています。その一方でミン・チャンジュンの側室になりミルプン君を王にしようとします。
チョホン
演:パク・ジョン
声:行成とあ
貧しい生活をしていましたがヨニン君と出会い世話になることに。表向きはヨニン君の側室になっています。ヨニン君が世弟になるとヨニン君付きの尚宮になります。
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