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ヘチ 王座への道 10・11・12話:世弟を揺るがす殺主契疑惑

『ヘチ』10話・11話・12話のあらすじをまとめました。 殺主契の影が世弟に迫り、無実を信じつつも揺れる王宮と民心。さらに補盗庁の賄賂事件や党派対立が絡み、ドラマは大きく動きます。

この記事では10〜12話の流れを整理して主要人物の思惑や史実との違いがどこにあるのかわかり易く紹介します。

 

 

この記事で分かること

  • ヘチ10~12話のあらすじと主な出来事
  • 世弟を取り巻く殺主契疑惑
  • 民衆の前で語った世弟の思いと、その政治的影響
  • 補盗庁の賄賂事件が党争に与えた動きと背景
  • 史実とドラマの演出意図

ネタバレになる要素を含んでいます。ストーリーを知りたくない方はご注意ください。

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ヘチ 王座への道 第10話 あらすじとネタバレ

10話 あらすじ

殺人容疑で捕らえられる世弟

血まみれの死体の横に茫然となって立ちすくむ世弟。傷口を押さえていたため手には血がついていました。そこを司憲府のウィ・ビョンジュに見られてしまいます。殺されたのは司憲府のオ持平(チピョン)でした。世弟は司憲府に連れて行かれ取り調べを受けます。しかし世弟は少女のことは話しませんでした。

世弟は王の直属機関の義禁府で取り調べを受けることになりました。連行される前、ヨジに「殺主という入れ墨をした貧しい少女だった」と言い残しました。

殺主契の存在

殺主という入れ墨は「殺主契」という組織が行っていたものです。主人に逆らって殺す使用人の集まりでした。先王の時代に組織されましたが、根絶やしになりました。世弟は、その組織が存在しているはずはない再結成されたのだと考えました。

世弟は訪ねてきたヨジに殺主について密かに調べるようにいいました。世弟は景宗にも少女や殺主契のことを言いました。なぜ少女が犯行を行わなければいけなかったのか、罪を問う前にその理由を知りたかった。そういう世弟に景宗は心を動かされます。

司憲府は義禁府に仕事をうばれたのが不満で景宗に抗議しました。すると景宗はすんなりと捜査権を司憲府に戻すと約束しました。しかし3日間の猶予を世弟に与えました。

人身売買と両班殺害がつながる

世弟は少女と会い話を聞きます。清国に売られそうになったが、故郷で暮したい一心で主人を殺すことにしたと打ち明けました。

パク・ムンスとタルムンは子どもたちが暮らす古びた家屋を見つけました。彼らの体には「殺主」という入れ墨がありました。翌日、パク・ムンスとユン・ヒョクはト・ジガンを人身売買の罪で捕らえようと妓楼に乗り込みます。しかしミルプン君がそれを阻みました。

 

注目点:殺主契は本当に存在したの?

ドラマでは、少女の入れ墨「殺主」がきっかけで主人を殺すための秘密結社「殺主契」の存在が描かれました。子どもたちに入れ墨を強制し人身売買組織とつながるかのような描写は非常にドラマチックで強いインパクトがあります。

史実では「殺主契」という名前は朝鮮後期の史料(『朝野会通』などの野史)に登場します。ただしそれは奴婢たちの間で密かに結ばれた反逆的な契(誓約集団)とされる程度で、構成や実態ははっきりしません。正史(実録)にはほとんど現れず、どこまでが事実でどこからが噂話なのか判断が難しい存在です。

なのでドラマが描くような大規模ネットワークや入れ墨、人身売買との結びつきはドラマの脚色と考えた方がいいでしょう。

 

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ヘチ 第11話 

11話 あらすじ

殺主契の子供をかばう世弟

司憲府の高官たちが集まり最終審判が行われていました。そこにミン・ジノンがやってきます。ミン・ジノンは少女を連れていました。彼女には「殺主」という入れ墨がありました。

ウィ・ビョンジュは入れ墨を見せ、世弟にこの少女が殺人を行う現場を見たか問いただします。世弟は自分の服を少女にかけて「少女を見た」といいました。

世弟は両班殺人犯をかばったとして罪に問われそうになりました。景宗は黙ってみていることが出来ず、世弟を王宮に連れ戻すよう王命を下しますが、重臣や王妃が反対します。

ミン・ジノンは世弟の取り調べを漢城府と司憲府が合同で行うことにし、世弟に縄をかけ歩かせて漢城府に連行しました。

漢城府に着いた世弟は景宗に自分を廃位してほしいと言います。しかし景宗は断り、街でおこなわれる敬老の祭りに参加して自分が世弟であることを証明しろと言います。

司憲府は殺主契の拠点に踏み込むことになりました。殺人犯である子どもたちを捕らえるためです。パク・ムンスは子どもたちをかばいますが、司憲府のものたちに殴られます。

民衆に訴える世弟

世弟が祭りの場に現れるとその場は騒然となりました。世弟が殺人犯をかばっていると噂が流れていたので、民衆たちは眉をひそめます。世弟は子どもたちが清国に売られている現状を伝え、そうなっているのは両班の搾取のせいだと言います。そこで自分が王になったら「土地の税は土地の持ち主に課す」と言います。民衆たちは自分たちの苦しさを分かってくれていると感じて目に涙を浮かべました。

翌日、王宮の前の壁に多くの張り紙が貼られていました。殆どは両班が世弟を批判するものでしたが、その中に世弟をかばう民衆のものもありました。その後、その張り紙に同情する人々が現れます。それを見たイ・グァンジャは世弟に王の資質を感じるようになりました。

 

注目点:延礽君が直接民衆に訴えるのは史実でもあったのか?

ドラマでは祭りの場に姿を現した世弟(延礽君) が民衆に向かって税制の不公平や両班の搾取を真正面から語りかけます。

さらに「土地税は土地所有者に課す」と宣言することで民衆は涙ぐみ、世弟を“自分たちの苦しさを理解する人物”として受け入れ始めます。

史実の英祖も税制改革(均役法)や冤罪救済に非常に熱心で「民の声を聞く王」と評価されてきました。申聞鼓制度の整備など、民意を吸い上げる仕組みを改善したことは確かな史実です。ただし王位継承者の段階で広場で民衆に政治理念を直接演説したという記録はありません。王族が大衆の前で自由に政治的発言をするのは制度的に難しく、当時の慣行からも考えにくいです。

この場面は英祖の民を大切にする姿勢を視覚的に伝えるための演出と割り切ったほうがよさそうです。後の英祖の理想をわかりやすく表現したと考えればいいでしょう。

 

ヘチ 第12話

あらすじ 12話

賄賂を運ぶ現場を目撃した巡視官が殺害される

ある日。二人の補盗庁の巡視官が見回りをしていると両班が何かを運んでいるのを見つけました。不審に思った巡視官が箱の中を確認すると大量の銀子が見つかりました。吏曹正郎が受け取った賄賂を運んでいるところだったのです。

新米巡視官は不正な賄賂だと騒ぎます。先輩巡視官は自分の身を守るため吏曹正郎にいわれるがまま新米准士官を殺害します。

パク・ムンスの捜査が派閥争いに

その後、パク・ムンスがある事件を担当します。転落死した夫の埋葬を拒んでいるというのです。パク・ムンスは妻に事情を聞くと、夫は補盗庁に入ったばかりで誰かに殺されたに違いないというのです。パク・ムンスが死体を調べてみると転落時にできる傷ではなく三叉による傷にそっくりだとわかりました。三叉は補盗庁の兵が使う武器です。パク・ムンスはその真相を調べることにしました。

吏曹正郎はパク・ムンスの捜査を止めようとウィ・ビョンジュに依頼します。しかし既にパク・ムンスは巡視官を殺害した犯人と、吏曹正郎の執事を捕まえていました。

世弟を支える少論派のイ・グァンジャはこの機会に吏曹正郎の座を老論から少論にとりかえそうと考えます。景宗にとっても大きな力になります。しかし老論はそうかんたんに譲るはずがありません。

世弟は吏曹正郎にユン・ヒョクを推薦します。ユン・ヒョクは党派に属さない人物でした。彼なら老論も納得すると考えたのです。

しかし世弟を支持する少論と老論の一部、それとミン・ジノンの老論の対立はますます激しくなりました。

ユニョンと再開するタルムン

世弟はタルムンにミルプン君の動きを見張るように依頼します。ミルプン君を見張っているタルムンのもとにユニョンがやってきました。ユニョンはタルムンの幼馴染でした。ユニョンはタルムンにミルプン君に味方するように泣いて頼みます。ユニョンが忘れられないタルムンにとっては複雑な思いでした。

 

注目点

補盗庁の賄賂事件は史実でもあった?

ドラマでは補盗庁の巡視官が両班の賄賂運搬を偶然発見し、隠蔽のために新人巡視官が殺害されるという衝撃的な展開が描かれています。

史実の朝鮮王朝では補盗庁(都市治安・盗賊取り締まりを担当)は汚職や不正の噂が絶えなかった組織の一つでした。官僚や両班による賄賂のやり取りは決して珍しいことではありません。ただし「賄賂現場を見た巡視官が殺害される」という具体的事件が記録として残っているわけではありません。ドラマは創作ですが、そういう雰囲気はあったかもしれないと考えるとよいでしょう。

 

英祖は世弟段階で非党派人事をめざしていた?

世弟が党派に属さないユン・ヒョクを吏曹正郎に推薦しました。党争に明け暮れる政治の中で「公正さ」を実現しようとする姿は世弟の人柄をよく表現しています。

史実の英祖も即位後に“蕩平策(とうへいさく)”と呼ばれる党派調整政策を実子。特定派閥に偏らない政治を目指しました。ドラマの演出はその蕩平策をイメージさせるものです。

ただし、世弟段階でこのような構想があって実際に党派を超えて推薦したという記録は残っていません。なので、このシーンは英祖の改革イメージを前倒しで表現したドラマの演出と考えた方がいいですね。

 

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第1〜3話の流れや人物関係が整理できたら、あわせて次のページもチェックしておくと『ヘチ 王座への道』の世界がより分かりやすくなります。

 

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執筆者:フミヤ(歴史ブロガー)
京都在住。2017年から韓国・中国時代劇と史実をテーマにブログを運営。これまでに1500本以上の記事を執筆。90本以上の韓国・中国歴史ドラマを視聴し、史実とドラマの違いを史料(『朝鮮王朝実録』『三国史記』『三国遺事』『二十四史』など)に基づき初心者にもわかりやすく解説しています。類似サイトが増えた今も、朝鮮半島を含めたアジアとドラマを紹介するブログの一つとして更新を続けています。

詳しい経歴や執筆方針は プロフィールページをご覧ください。
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