韓国ドラマ「ノクドゥ伝」は17世紀の李氏朝鮮の光海君の時代を舞台にした時代劇です。
キム・ソヒョン演じるトン・ドンジュはドラマのヒロイン
ドラマの主人公「ノクドゥ」は光海君の息子・廃世子 李祬(イ・ジ)や幻の王子がモデルになってます。
それならトン・ドンジュも歴史上実在したのでしょうか?
実在はしなくてもモデルになった人はいたのでしょうか?
そこで歴史上 トン・ドンジュという人はいたのかモデルになった人はいたのか調べてみました。
ドラマ「ノクドゥ伝」の トン・ドンジュとは
とその前に。
ドラマに登場するトン・ドンジュはどういう人物なのか簡単に紹介します。
トンジュは寡婦村で妓生の見習いをしています。音痴でリズム感も悪いのですが、勝ち気な性格で同世代の子たちの世話役みたいになってます。
ノクドゥが身請けして妓楼から開放されました。寡婦村でノクドゥと一緒に暮らすことになります。ノクドゥは寡婦村に潜入していましたが、当然男だとバレてしまいます。
トン・ドンジュは朝鮮の両班出身です。幼い頃に家族を失いました。光海君を親の仇だと思って憎んでいます。
あるときトン・ドンジュは都に行き、男装して物影に隠れ弓矢を持っていました。光海君を暗殺しようとしていたのです。ところが不意に現われたノクドゥに見つかりチャンスを逃していしまいます。
村に戻ったノクドゥは、新しく入ってきた寡婦と一緒に暮らすことになります。ところがその寡婦は女装したノクドゥでした。ノクドゥを追い出そうとしますが、仕方なく一緒に暮らすことになります。
トンジュとノクドゥは何かと衝突するものの次第に惹かれ合います。
さらにトンジュに恋心をいだいていたユルムも現われます。ユルムの正体は王族の綾陽君。
トンジュの正体は領議政 柳永慶の娘・柳恩瑞でした。そして王族のユルムと婚約していたのです。柳永慶は先代の宣祖から昌大君を次の王にするよう密命を受けていました。ところが光海君派に処刑されてしまいます。両班としての地位を失ったトンジュはユルムとの婚約も破棄になって今の生活をおくるようになったのです。
トンジュはユルムからノクドゥの正体を聞かされます。ノクドゥはあの光海君の息子だというのです。
それでもトンジュは親の仇を討つため、光海君が宮殿の外に出る機会を待ちました。しかしいざ光海君をみると殺すことができませんでした。それよりも憎しみや罪悪感を持ち続けず、ノクドゥと一緒に普通の幸せな生活を送りたいと思うようになります。
本性を表したユルム(綾陽君)は王位を奪うため反乱を起こします。トンジュには仇を討ってやるから自分のもとに残れと言われます。ユルムのもとに残りましたが、反乱を阻止しようとするノクドゥと綾陽君が対決したとき、ノクドゥをかばってしまいます。
トンジュの愛を得られず愕然とする綾陽君
トンジュは王妃の助けを借りてノクドゥとともに宮殿を脱出。小島に逃げました。
トンジュとノクドゥは小島で結婚。その後は島で暮らしました。
父は実在した領議政・柳永慶
ドラマの中でトンジュは偽名。
本名は柳恩瑞だと明かされます。
柳恩瑞の父は宣祖の時代に領議政をしていた柳永慶(ル・ヨンギョン)です。
柳永慶という領議政は実在したのでしょうか?
結論からいうと実在します。
確かに宣祖の時代に柳永慶(ル・ヨンギョン)という領議政がいました。
柳永慶は56年という長い宣祖の時代の最後に領議政になった人です。
具体的には1604年~1608年の間です。
当時は宣祖の後継者を誰にするかでもめていた時代。
有力な後継者は光海君でした。でも光海君は庶子なうえに同母兄弟の中でも次男です。儒教的価値観では正当とは認められない立場です。
なにしろ明が光海君を世子として認めてくれません。とうぜん朝鮮国内にも「正当な血統の人じゃないとだめだ」って考える人たちが出てきます。
永昌大君(ヨンチャンテグン)を次の王にしようと画策
そこで、柳永慶たち小北派の重臣が指示していたのが仁穆(インモク)王后 金氏の息子・永昌大君(ヨンチャンテグン)です。まだ幼いですが「王妃の息子」ですから、これなら明も認めてくれます。
宣祖も若い仁穆王后を寵愛していましたし、永昌大君をかわいがっていました。
自分の党派を作って人気を集めている光海君より、永昌大君の方がよっぽど可愛いでしょう。
そんな宣祖の気持ちを察して永昌大君を世子にしようとしていたのが柳永慶なのです。
でも実現できないまま、1608年に宣祖が死亡してしまいました。なし崩し的に光海君が王になってしまいます。
宣祖の死後、処刑。一家は離散
幼い永昌大君には政治力はありません。柳永慶たち小北派は光海君支持の大北派を圧倒するほど強くありません。
後ろ盾を失った柳永慶たち小北派は、李爾瞻(イ・イチョム)たち大北派によって罪人にされてしまいます。
柳永慶は流刑になって現地で毒を飲み死亡しました。
領議政を務めた人物でも政争に負ければ罪人です。家族も両班の地位を奪われます。一家離散、たいていは奴婢にされます。
柳永慶の娘・柳恩瑞は実在しない?!
ドラマでは柳永慶には娘・柳恩瑞がいた。
柳恩瑞がトンジュの本名。
となっています。
歴史上の柳永慶には息子はいましたが、娘がいたという記録はありません。
つまり柳恩瑞は実在しません。
でも。もし娘がいても記録から消されていたかもしれない。
その行き先はたいていは奴婢です。生きていても記録には残りません。
というわけで「ノクドゥ伝」では柳永慶には娘がいた。家が没落した後、光海君への復讐を狙っていた。ということになってます。
でも親を実在する人物にしたのでドラマにリアリティが出てきました。ドラマはラブコメですが、歴史上の事件や人物と絡めた設定にしたので物語に奥深さが出ました。
しかもノクドゥの父・光海君とトンジュの父・柳永慶は敵同士です。
親は敵同士でも子どもたちは愛し合う。
どこかのドラマみたいですね。
歴史上は名前が残らなかったのを逆手にとって、ささやかでも平和な暮らしができればいい。という結末に結びつけています。今どきの視聴者に受ける内容かもしれません。
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