楊妃は唐の2代皇帝 太宗 李世民の妃です。
彼女は隋の皇帝・煬帝の娘でした。
ドラマ「武則天」では「楊淑妃」として登場します。
隋の皇帝の娘で唐の皇帝の妃という高い地位にある人ですが、意外と楊妃の人生は謎に包まれています。
史実の楊妃はどんな人物だったのか紹介します。
楊妃 の史実
いつの時代の人?
生年月日:不明
没年月日:不明
姓:楊
名:不明
称号:楊妃
国:隋→唐
父:隋煬帝・楊広(隋2代皇帝)
母:不明
夫:唐太宗・李世民(唐2代皇帝)
子供:
呉王 李恪
蜀王 李愔
彼女は隋末期から唐の時代に生きました。
唐太宗・李世民の側室です。
日本では飛鳥時代になります。
隋の時代
生年は不明。
619年に長男を出産しているので隋の仁寿年間(601~604年)かそれ以前に生まれていたようです。
父は隋の第2代皇帝 煬帝・楊広。
父の楊広が皇帝に即位したのは604年。楊広が皇帝になる前に生まれていた可能性が高いです。
母は不明。
◯◯公主という称号があったのかなかったのかは不明です。
この記事では隋時代の楊氏を 皇女楊氏 と呼ぶことにします。
616年。煬帝は都を離れ江都に移動。
このとき皇女楊氏も父と一緒に移動したのかかどうかはわかりません。
617年。李淵が挙兵。隋の都・大興城(長安)を占領して煬帝の孫・楊侑を皇帝(恭帝)に担ぎ上げます。
618年3月。都の大興城(長安)に戻ろうとしない煬帝に対して重臣たちが反乱を起こしました。父・煬帝が宇文化及に殺害されます。宇文化及は煬帝の弟の子・楊浩を皇帝に担ぎました。
煬帝の正室・粛皇后は宇文化及に囚われました。
宇文化及が竇建徳に敗れると粛皇后は竇建徳に囚われ。その後、突厥のチョーラーカガンの使者が迎えに来て粛皇后をひきとりました。チョーラーカガンの妻は隋皇室出身の義成公主だったので突厥が保護することになったのです。
皇女楊氏が煬帝と一緒に江都に移動していれば粛皇后と同じ扱いになったかもしれません。
煬帝が江都に行ったあとは、都の大興城(長安)の留守番は煬帝の孫・楊侑とその側近や護衛が行っていました。皇女楊氏は煬帝と一緒に江都には行かずに、大興城にいたのかも知れません。
618年5月。煬帝の死後、李淵は恭帝・楊侑を譲位させ、自ら皇帝を名乗りました(唐の建国)。
9月。宇文化及は楊浩に譲位させ、自ら皇帝を名乗りました。
唐の時代
楊氏がいつ李世民のもとに来たのかはわかりません。
でも619年に息子の李恪が生まれているので、どんなに遅くても618年ごろに秦王・李世民の屋敷に来ていたことになります。
李世民には既に正室の長孫氏がいました。
高祖・李淵は前の王朝の皇帝の娘を息子の側室にしたのかもしれません。
619年 李恪を出産。李世民の三男、楊氏にとっては長男です。
620年 息子の李恪が長沙王になりました。
621年 李愔を出産。李世民の六男、楊氏にとっては次男です。
626年。李世民がクーデターに成功して皇帝になりました。
楊氏は四妃の一人になりました。唐では妃の種類は「貴妃」「淑妃」「徳妃」「賢妃」の4種類がありました。
でも、楊氏がどの妃だったのかは分かっていません。
「貴妃」には韋氏がなっていました。「徳妃」と「賢妃」も誰がなったかわかっています。
太宗時代の「淑妃」は誰なのかわかっていません。
ということは。楊氏は淑妃だと考えるのが無難です。
楊氏がいつごろ亡くなったのかは分かっていません。
どの墓に埋葬されたのかも分かっていません。
分かっているのは昭陵には埋葬されていないということだけです。昭陵には太宗、長孫皇后、韋貴妃など皇帝と他の主な妃が埋葬されています。
楊妃は昭陵からは省かれているので何か理由がありそうです。
3代皇帝・高宗の時代
649年。太宗・李世民が死去。高宗・李治が即位しました。
653年。房遺愛や高陽公主の謀反事件がおこりました。
このとき息子の呉王・李恪と李愔が連座で処刑されてしまいます。
李恪 と 李愔 は 房遺愛たちの謀反には関わっていないようです。
でも 房遺愛は李恪も関わっていると嘘の「自白」をさせられてしまいます。
高宗の地位を安泰にするために大臣の長孫無忌が高宗の兄弟を排除しようとしたようです。
楊妃が生きていれば50歳前後。健康なら生きていても不思議ではありません。
楊妃まで死罪になることはないと思いますが。宮殿を追い出されて出家させられた可能性はあります。
楊妃は記録がほとんど無かったり太宗と一緒に埋葬されませんでした。息子が罪人にされてしまったことと関係があるのかも知れません。
ドラマの楊妃
隋唐英雄1、2 2012中国、演:孫耀琦 役名:如意公主
隋唐英雄3、4 2014中国、演:蔣林靜 役名:楊妃
武則天 2014年中国、演: 周海媚 役名:楊淑妃
劇中の楊淑妃は 楊妃と巣王妃楊氏を足した人物になってます。楊氏が李世民の妃になる前は巣王妃楊氏の経歴、李世民の妃になった後は楊妃の経歴。二人分の経歴をつなぎ合わせて「楊淑妃」という人物の設定を作っています。
驪歌行 2021年中国、演:劉敏 役名:楊顏妃
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