王家の愛・侍女と王子たち(原題:蘇茉兒伝奇、英語:The Legend of Jasmine)は後金を舞台にしたドラマ。
歴史上は独裁者として描かれがちなドルゴンと侍女スマラの恋愛を中心に描いた異色の作品です。
主要な登場人物を紹介します。
主要登場人物
スマラ
演:杜若溪(ドゥ・ルオシー)
戦争で親を亡くしたモンゴルの少女。ドルゴンに助けられて生き延びます。モンゴル・ホルチン部のジャイサン家で奉公するようになり、ブムブタイの侍女になります。ブムブタイがホンタイジに嫁ぐと後金に行きますがそこでもトラブルに巻き込まれ。ドルゴンと再開したスマラは愛し合うようになります。ドルゴンもスマラを妻にしたいと願うものの実現は難しく二人は破局。さらには後金の王位争いにも巻き込まれ・・・
歴史上のスマラ
モンゴル・ホルチン部の遊牧民一家に生まれました。ホルチン部の首領ジャイサンの家でブムブタイの侍女になります。ブムブタイがホンタイジの側室になったあとは一緒に後金(清)で暮らします。歴史上は一生独身。幼い頃の順治帝や康煕帝の語学教育を担当するほど頭が良く裁縫も上手でした。
ドルゴン
演:嚴屹寬(イェン・イークァン)
ヌルハチの第14王子。「兄弟で争ってはいけない」という父の遺言を守り、王になったホンタイジに忠誠を誓います。ところがドルゴンを疑うホンタイジから命を狙われることに。父ヌルハチからは次の王にふさわしいと思われていました。その遺言が発見されたこともあって、兄ホンタイジと王位を争います。侍女のスマラと恋におちスマラを大福晋(正妻)にしたいと考えていますが、実現は難しく・・。
歴史上のドルゴン
ヌルハチの第14王子。ホンタイジ亡き後、ホンタイジの息子・ホーゲと皇帝位を争いました。ホンタイジの8男フリンを皇帝にして自分は摂政になります。摂政王とよばれ、幼いフリンのかわりに政治を行い軍を率いました。事実上の皇帝です。万里の長城を越え北京を占領。遷都します。歴史研究者や様々な作品でも独裁者としてあつかわれることが多いですが、清朝を辺境の王朝から中華王朝にさせた功績は大きいです。
後金
ホンタイジ
演:富大龍(フー・ダーロン)
ヌルハチの第8王子。父の死後、後金の大ハンになりました。ヌルハチの遺言を巡ってドルゴンとの争いになります。モンゴル・チャハル部の首領リンダン・ハン亡き後、妃のハルジョルを手に入れ寵愛しますが、正室のジェルジェルとの関係は悪化。公私ともに揉め事を抱えます。
歴史上のホンタイジ
後金の第2代ハン(君主)。民族名を女真(ジュシェン)から満洲(マンジュ)に変え、ヌルハチが行った国作りを更に進めました。モンゴルと、万里の長城の外で暮らす漢族を支配下におき、朝鮮を従属国にしました。モンゴル皇帝の玉璽を手に入れて、満洲族、モンゴル族、漢族を統治する皇帝に即位。国名を 大清(ダイチン)にしました。明との戦いが続く中で病死します。
ジェルジェル
演:岳麗娜(ユェ・リーナー)
ホンタイジの正室。モンゴル・ホルチン部出身。ホンタイジがハンになると王妃になり後宮を仕切ります。ブムブタイたち銘をホンタイジに嫁がせホルチンの血を絶やさないようにしますが。ホンタイジとの仲はうまくいかず自殺を考えるほどに悩み・・
ブムブタイ
演:劉芊含(リウ・チエンハン)
ホンタイジの側室。モンゴルホルチン部族長の娘。ジェルジェルの姪。
叔母と同じホンタイジに嫁ぎます。もともと気の強い性格。本当はドルゴンが好きなのに嫌なホンタイジと結婚させられたことに腹を立てています。しかしそのせいで侍女のスマラに苦労をかけますが、やがて改心します。
・ブムブタイ(孝荘文皇后・昭聖太皇太后)の詳しい説明はこちら
アジゲ
演:宗峰岩
ヌルハチの第12王子
ホンタイジから謀反の疑いをかけられます。弟たちドルゴン、ドドを助けるため罪をかぶり処刑されます。
ドド
演:張天陽
ヌルハチの第15息子
兄ドルゴンに味方してホンタイジに譲位を迫ります。
ヌルハチ
演:徐少強
女真族(ジュシェン)ハン(君主)。それまでバラバラだった部族をまとめて後金(アイシン)を建国。
「ドルゴンにハンの座を譲る」という遺言書を書いてホンタイジが自分を殺す野心家かどうかを試します。その後、ホンタイジを認めたヌルハチは死の間際にホンタイジを次のハンに指名しました。ところがその遺言書が後々争いの種に。
歴史上はヌルハチは大ハン(皇帝)を名乗ったことはありません。ハンまでです。
モンゴル
ジャイサン
ホルチン部の首領
ブムブタイの父。ジェルジェルの兄弟。
モンゴル統一を目指すチャハルのリンダン・ハンに対抗するため、女真のヌルハチと同盟します。その結果、娘を差し出すことに。
リンダン・ハン
演:黒子(ヘイズ)
チャハル部の大ハン(皇帝)。後金とは戦闘状態に。最後は何者かに毒をもられて死亡。チャハル部は当時のモンゴルではかなり強い部族ですが、ドラマでは省略されがち。
歴史上のリンダン・ハーン
モンゴルの部族を再統一して大ハンになります。ところが強行なリンダン・ハーンのやり方に各部族が反発。ホルチン部が後金と同盟して抵抗していました。モンゴルをほぼ統一した後、チベット遠征に出ます。ところが途中で病死。モンゴルに残った息子のエジェイ(ドラマには登場しません)があとを継いだものの後金に攻められて降伏。モンゴル皇帝の玉璽をホンタイジに差し出します。
ちなみに騎馬民族の国では小国の王がハン(漢字:汗)。小国を束ねる大国の皇帝がハーン(漢字:可汗、日本では大ハンと書くことも)と使い分けします。でもドラマではてきとうに使ってることもあります。
ハルジョル
演:馬丹旎(マー・ダンニー)
ジャイサンの娘。ブムブタイの姉。リンダンハンに嫁いでいましたが、リンダンハンの死後。ハルジョルの美貌を気に入ったホンタイジの側室になり寵愛をうけます。
歴史上はハルジョルがリンダン・ハーンの妻になった記録はありません。20代後半でホンタイジの側室になりました。当時としては遅い輿入れでした。ハルジョルの前半生は謎です。そこでドラマではホンタイジの前にリンダン・ハーンと結婚していたことにしたようです。
ノミン
演:黃小戈(ファン・ユージェン)
スマラの親友。チャハル部の大福晋(正妻)ハルジョルの侍女。偉そうにしています。ところがトラブルに巻き込まれたのに助けてくれなかったハルジョルを恨むように。
イス・ハン
演:白梓軒(バイ・ズーシュエン)
タタールの王子。後金と対立する騎馬民族。後金に捕まりますが、スマラに助けられ逃亡。後にハン(君主)になります。
この時代、後金の近くにタタールと名乗る部族はいません。タタールは騎馬民族の代名詞みたいに使われるので、どこかの騎馬民族くらいに思えばいいです。
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