中国ドラマ「如懿伝(にょいでん)紫禁城に散る宿命の王妃」は清王朝の宮廷が舞台。
大ヒットドラマ「瓔珞<エイラク>紫禁城に燃ゆる逆襲の王妃」と舞台設定も登場人物もほとんど同じ。ということでよく比べられるドラマ。
でも「如懿伝」の主人公・嫻妃は「瓔珞」では策略家でヒロインのライバルでした。「如懿伝」と「瓔珞」では立場が正反対なのです。
「瓔珞」の主人公だった令妃魏氏が「如懿伝」では冷酷な敵・炩妃衛氏になったり。「瓔珞」で優しかった皇后が「如懿伝」では主人公を陥れようとしたりします。
「瓔珞」とはまったく違う立場で楽しめるのがこのドラマの魅力です。
「如懿伝(にょいでん)」の主な登場人物を簡単に紹介します。
時代背景
ドラマの舞台は18世紀の清王朝の時代。
日本では江戸時代の後半にさしかかったころ。10代将軍・徳川家治とほぼ同じ時代。
清王朝は第6代皇帝・乾隆帝のもと最盛期を迎えていました。
そんな華やかな時代に宮廷で繰り広げられる争いを描いたのが「如懿伝(にょいでん)紫禁城に散る宿命の王妃」
同じような時代をあつかった中国ドラマはいくつかあります。時代順に並べるとこうなります。
4代康煕帝(こうきてい)
・宮廷女官 若曦
・花散る宮廷の女たち
・宮廷の茗薇
5代雍正帝(ようせいてい)
・花散る宮廷の女たち
・宮廷の諍い女
・如懿伝 〜紫禁城に散る宿命の王妃
6代乾隆帝(けんりゅうてい)
・如懿伝 〜紫禁城に散る宿命の王妃
・瓔珞<エイラク> 〜紫禁城に燃ゆる逆襲の王妃
主な 登場人物
嫻妃(かんひ)烏拉那拉(ウラナラ)如懿(にょい)
演:周迅(ジョウ・シュン )
ドラマでは乾隆帝の幼馴染。
雍正帝の正室・烏拉那拉氏は叔母。叔母から烏拉那拉氏の名誉を復活させるため頼まれ、皇后になることを誓います。
歴史上は廃位が決定している人物をドラマでは「よい人」として表現しないといけないので。後半はライバルたちのしかけた陰謀にはめられたり、結核になったりと暗い展開になりがち。ただしそういった悲壮感が逆に現代の若い女性の共感を集めるという意見も。
歴史上の継皇后 輝発那拉氏(烏拉那拉氏)
嫻妃の姓は烏拉那拉(ウラナラ)氏と輝発那拉(ホイファナラ)氏の2つの説があります。那拉(ナラ)氏とだけ書いてある文献もあります。「如懿伝」と「瓔珞」は違う説を採用したので姓が違います。
歴史上は輝発那拉(ホイファナラ)が正しいようです。歴史上は雍正帝の正室・烏拉那拉氏とは血縁関係ではありません。
皇后富察氏の死後、皇太后の命令で輝発那拉氏が皇后になりました。皇后としての勤めは滞りなく勤めていました。ところが行幸から戻った後、廃されてしまいます。廃された理由は諸説あります。
一般には「髪を切ったから」といわれます。満洲族の女性が髪を切るのは身内に不幸があったときだけ。「皇太后や皇帝を呪った」という理由で廃されたともいわれます。でもなぜそうなったのかはわかりません。
ドラマ「瓔珞」では後半のライバル「皇后(嫻妃)・輝発那拉氏」です。
乾隆帝(けんりゅうてい)
本名は 愛新覚羅(アイシンギョロ)弘暦(こうれき)
番組公式サイトの読みがなは姓は満洲語(カタカナ)、名は日本語(ひらがな)の発音になってます。この記事でも公式サイトの表現にあわせて書いています。
演:霍建華(ウォレス・フォ)
大清国の第6代皇帝 乾隆帝
本名:愛新覚羅 弘暦
日本語発音:あいしんかくら こうれき
満洲語発音:アイシンギョロ・フンリ
父は雍正帝・胤禛(いんしん)
母は孝聖憲皇后・鈕祜祿(ニオフル)氏。「宮廷の諍い女」ではヒロイン甄嬛(しんけい)として登場。
清の最盛期を築いた皇帝です。
ドラマでは史実と違って皇太后・鈕祜祿氏は養母。宮女の李氏が生母という設定です。
後宮の主要な登場人物
如懿の味方とその手強いライバルたち。
愉妃 珂里葉特(ケリュテ)·海蘭(ハイラン)
演:張鈞甯(チャン・チュンニン)
後宮では数少ない如懿の味方。
優しい性格。でも打たれ強く芯はしっかりしています。頭がよく判断力も確か。乾隆帝が一番可愛がっている第五皇子の母です。
「瓔珞」でも令妃・魏瓔珞の友人になりました。両方のドラマでいい人。
皇后 富察(フチャ)琅嬅(ろうか)
演:董洁(ドン・ジエ)
見た目は優しい皇后。実際は小心者で地位を脅かされるのではないかと不安に思っています。人の意見に惑わされ密かに如懿を陥れようとします。その結果、乾隆帝との仲が悪くなり命を落とすことに。
歴史上の孝賢純皇后 富察氏
歴史上の皇后富察氏は質素倹約を好む皇后でした。乾隆帝から非常に愛された皇后です。
嘉貴妃 金玉妍(きん・ぎょくけん)
玉氏から清王室に贈られた貢女。見た目は善良な人を装っていますが、実は野心家。密かに玉氏の世子を愛しており、玉氏のために尽くそうとします。計算高く、裏で人を操り自分の目的のために利用しようとします。最後はそれまでの悪事がバラされることに。
「瓔珞」「如懿伝」の両方でヒロインのライバルになる人。「如懿伝」のほうが狡猾で冷酷な人物として描かれます。
歴史上の淑嘉皇貴妃
歴史上は嘉妃金氏の祖先は朝鮮出身。でも本人は朝鮮とのつながりはありません。ドラマと違い歴史上の嘉妃金氏は問題をおこす人ではなかったようです。
炩貴妃 衛嬿婉(えい・えんえん)
演:李純(リー・チュン)
女官から炩妃へと出世。
如懿の最も手強い敵。皇后になるために数々の陰謀を企てる冷酷な人物として描かれます。後宮でおこる様々な人物の死に関わっています。最終的には罪が暴かれ毒を飲みゆっくりと死を迎えることに。
原作小説では残虐ぶりに批判がでました。そのためTVドラマ化では炩妃 衛氏と名前を変えたといういわく付き。
令貴妃魏佳氏がモデル。
歴史上の令皇貴妃 魏佳氏
歴史上は孝儀純皇后(こうぎじゅん こうごう)。生前の最高位は 令皇貴妃。
「瓔珞」ではヒロインの魏瓔珞のモデルになりました。ドラマ「如懿伝」の衛嬿婉とはほとんど別人。
孝賢純皇后富察氏の教育をうけ乾隆帝の側室の貴人になります。皇后富察氏の死後は輝発那拉氏が皇后になりました。魏氏は側室で最高位の貴妃になります。皇后輝発那拉氏が廃されたあと、乾隆帝は皇后を決めませんでした。そのため貴妃魏氏が後宮で最高位になり、後宮を仕切りました。
貴妃魏氏は皇子・永琰(えいえん)を出産。
貴妃魏氏の死後、永琰は後に7代皇帝嘉慶帝(かけいてい)になりました。嘉慶帝は母に皇后の位を贈り孝儀純皇后と呼ばれます。
慧貴妃 高晞月(こう・きげつ)
演:童瑶(トン・ヤオ)
父親が高い地位のため、後宮でも威張っています。如懿が気に入らないので富察皇后と協力して陥れようとします。最後は富察皇后に裏切られますが死の間際、富察皇后の悪事をばらして息絶えます。
貴妃 高氏は「瓔珞」「如懿伝」の両方でヒロインのライバルになる人。どちらにしても悪役です。
歴史上の 慧賢皇貴妃 高佳氏
皇后富察氏や皇太后ともうまく付き合い気に入られていました。自分の評価を上げるために後宮の人を買収したり、乾隆帝に地位をあげてほしいとお願いしたこともあったようです。
その他の側室たち
如懿やライバル以外にもたくさんの妃嬪が登場。それぞれにドラマがあります。
純妃 蘇綠筠(そ・りょくいん)
演:胡可(フー・カー)
誰にでも愛想がいいのですが、扇動されやすいところがあります。子供のためなら何でもする人。
純妃 蘇氏についてさらに知りたい方はこちら
・純恵皇貴妃 蘇氏の詳しい説明はこちら
舒妃 葉赫那拉(エホナラ)意歡(いかん)
演:陳昊宇(チェン・ハオユー)
皇太后の策略で乾隆帝のもとに送り込まれます。宮中の人々とあまり親しくしませんが、如懿と海蘭はわりと仲がいい。乾隆帝から密かに子供ができない薬を飲まされています。生まれた子供は幼くして病死。乾隆帝に薬を飲まされていたことを知り、火を付けて自殺します。
歴史上の舒妃 葉赫那拉(イェヘナラ)氏
歴史上は葉赫那拉(イェヘナラ)氏ともいいます。満州族の名家・葉赫那拉氏の出身。皇太后に認められ10代で妃になりました。
満洲式発音では「イェヘナラ」。中国式発音では「エホナラ」
玫(まい)嬪 白蕊姫(はく・ずいき)
演:何泓姍(ハー・ホンシャン)
琵琶の演奏者出身。後宮に入り皇太后の手先になって如懿を陥れようとします。子供を亡くした劣等感を持っています。金玉妍から皇后富察氏が子供を殺したと聞かされ、皇后富察氏の生んだ七皇子と皇后の殺害に手を貸します。その後、皇帝から毒を賜り死亡。
モデルになったのは怡嬪柏氏。
歴史上の怡(ひ)嬪柏氏
妃嬪以上には名家出身の側室が多いのですが。平民出身ながら短期間で嬪になりました。歴史上は乾隆帝に気に入られていたようです。ドラマ同様に子供はいません。
慎嬪 索綽倫(ソチョロ)·阿箬(あじゃく)
演:陳昊宇(ツォン・イーシュエン)
もとは如懿の侍女でした。傲慢で野心があるので裏切りました。その後、乾隆帝の側室になります。でも全く寵愛を受けませんでした。最期は猫刑という拷問にかけられた後、自害します。
歴史上の慎嬪
ドラマでは満洲族出身になってますが本当はオイラト系遊牧民族出身。清・ジュンガル戦争のとき部族が清に服従。後宮に入りました。継皇后那拉氏に仕えた後。慎嬪になりました。
容妃 寒香見(かん・こうけん)
演:李沁(リー・チン)
天山地方の寒部出身の側室。亡くなった婚約者のことを今でも想っていて乾隆帝には心を開きません。でも乾隆帝は寒香見を大切にするので他の側室からは嫉妬をうけています。如懿や海蘭とは仲が良いです。皇太后は如懿を使って子供ができない薬を寒香見に飲ませました。寒香見はそれを知りながらためらうことなく薬を飲み、以後子供ができませんでした。
歴史上の容妃 和卓(ホージャ)氏
歴史上の容妃はイスラム教徒のウイグル人。大小ホージャの乱のとき清に味方した一族の出身。現在の中国ドラマではウイグルや少数民族はいないことにされているようです。
伝説ではウイグルと清の戦争で許嫁を殺され、後宮に入りましたが乾隆帝に復讐しようとして処刑されます。本物の容妃は皇帝暗殺を計画することもなく平穏に暮らしています。
慶嬪 陸沐萍
演:於子洋
嫉妬深い性格。如懿が皇后の時代に慶嬪に昇進します。ところが衛嬿婉に地位を奪われ貴人に降格。その後、皇帝の配慮で慶嬪に復活します。
慶恭皇貴妃陸氏
乾隆帝の皇子時代からの側室。嘉慶帝の時代まで生きた長寿の妃嬪です。
儀貴人 黃綺瑩
演:韓丹彤
富察瑯嬅の侍女。その後、弘暦に見初められ側室になりました。富察 皇后、金氏、高氏と仲がいい。流産ののち死亡。
豫嬪 博爾濟吉特氏
演:趙珂
モンゴル貴族の娘。30歳近い年齢で入宮。
大清皇族の人たち
乾隆帝の家族。姑や夫の兄弟、子供たち。
雍正(ようせい)帝
大清帝国の第5代皇帝。弘曆の父親。2話で死亡。
先帝の皇后 烏拉那拉(ウラナラ)氏
演:陳沖(ジュアン・チェン)
雍正帝の最初の正室。
如懿の叔母。
歴史上の孝敬憲皇后・烏拉那拉氏
雍正帝の親王時代からの正室。若くして死亡。
歴史上は烏拉那拉氏と継皇后・那拉氏は親戚ではありません。別の一族です。
皇太后 鈕祜祿(ニオフル)氏
演:鄔君梅(ヴィヴィアン・ウー)
前作「宮廷の諍い女」のヒロイン。鈕祜祿·甄嬛。ところが今作ではボスキャラ的存在のため性格が変わってします。今作のヒロイン・如懿とは仲が悪く、乾隆帝とも仲が悪いです。
歴史上の孝聖憲皇后 鈕祜祿氏
歴史上は乾隆帝の生母。ドラマと違い乾隆帝からは大切にされました。清史上最も幸福な皇太后といわれます。
和親王・弘昼
乾隆帝の弟。雍正帝の第五皇子。奇行が目立つ人物として記録されています。でも乾隆帝からは可愛がられました。「瓔珞」では嫻妃と親しく、悪役として目立ってました。
「如懿伝」では如懿とは親しくありません。出番も少ないです。
定安親王 愛新覚羅 永璜(えいこう)
乾隆帝の庶長男。母は哲妃。孝賢純皇后 富察氏の葬儀で乾隆帝を怒らせてしまい後継者争いから脱落。
固倫和敬公主 愛新覚羅 璟瑟(けいしつ)
公三女ともいいます。乾隆帝の三女。母は富察·瑯嬅。
モンゴルの王子に嫁ぎますが清で暮らしました。
その他の人たち
ジュゼッペ・カスティリオーネ
演:スティーブン・トーマス・ボーガディン
イタリア出身。イエズス会の宣教師。清でキリスト教の布教が禁止された後も清にとどまり宮廷画家として活動。数多くの絵画を残しました。
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