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コムゲ(剣契)とは?韓国ドラマ「トンイ」に登場する秘密組織と史実の解説

韓国ドラマ「トンイ」には賤民を守る秘密組織「コムゲ(剣契)」が登場します。

ドラマでは正義の集団として描かれていますが、史実の「コムゲ」は暴力的な武装集団で民衆から恐れられていました。

この記事では「コムゲとは何か」「実在したのか」「トンイのコムゲとの違い」 について詳しく解説します。

 

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コムゲ(剣契)の史実

剣契(コムゲ)の由来

剣契(コムゲ)がいつごろから存在したのか正確な事はわかっていません。粛宗の時代に初めて記録がでてきます。だから少なくとも粛宗の時代には存在していました。

かつて庶民が葬式の費用のためにお金を出し合って積み立てる香徒契というしくみがありました。香徒契がもとになっていると言われてます。香徒契は最初は穏便にお金を集めていました。ところが、いつのころからか騒ぎを起こしたり無理やりお金を集めるようになりました。しだいに隠れて行うようになり、反社会的な犯罪組織化したといわれます。

剣契には”剣で契約をする会”という意味があります。武力でまとまっている人々なんですね。

「殺掠契」や「鬨動契」とよばれることもあったようです。

 

コムゲの活動内容

コムゲは殺人、暴行、略奪などを行っていた反社会的な組織でした。両班に対し暴力を使うことが多く、反両班勢力だったといわれています。朝鮮の裏社会で生きる人々だったようです。武力を使って解決しようと考える人達の集まりですから次第にエスカレートしていきます。

ドラマ「トンイ」に登場するような賤民を助けるための組織とは違うようです。犯罪組織のようなものだったようです。

確かに最初は貧しい人達が両班に抵抗するために作った組織だったかもしれません。彼らにも言い分はあると思います。でも人は徒党をくむと過激なほうに流れてしまいます。

コムゲはあまりにも過激なので両班ではない民衆からも恐れられました。

似たような組織に奴婢が主人を殺すために作った「殺主契」という組織がありました。コムゲと殺主契は別物ですが、同じ時期に活動していたので両者が間違われている可能性もあります。

 

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剣契(コムゲ)の実態

民衆から恐れられる武装集団

1683年には朝鮮国内で他国が朝鮮に攻めてくるという噂が広まりました。噂に漢城(ソウル)が騒然としました。

そんなとき、夜中に山の中にコムゲが集まっていると報告がありました。コムゲ達が訓練をしている様子はまるで軍隊みたいだと報告されています。それを聞いた漢城の人々は不安に感じたと報告されています。

当時の朝鮮にとっては外寇(外国人が攻めてくること)よりも国内の武装集団の被害の方が深刻だったと記されています。

1684年には十数人のコムゲが逮捕されました。そのうちの数人はナイフを使って自分の体を傷つけるなど、暴力を崇拝する傾向がありました。

その後しばらくはコムゲの問題は続きますが一旦はおさまります。

英祖の時代に再び問題になりました。このときは1725~1735年の間に守備隊長だった張鵬翼が鎮圧しました。

韓国では民衆の反政府運動と解釈する研究家もいるようです。でも一般的には反両班組織だったと考えられています。

現代風にいうと反政府テロ組織のようなものかもしれません。一般の人から見ると権力者に抵抗するのは賛成できるかもしれないけど、やりすぎじゃないの?という感じでしょうか。

人として扱われない賤民の最後の手段

しかし当時の賤民の立場では仕方のないことかもしれません。

主のいない賤民は奴婢よりも地位が低く、獣と同じ扱いをされていました。

奴婢の方がマシです。奴婢は主人から虐待を受けたり差別を受けることもあります。でも法律上は「主人の財産」として扱われるので、主人以外の人が奴婢に危害を加えることは許されません。

賤民には彼らを守る法律がありません。賤民は被害をうけても役人は相手にしてくれません。一般民衆ですら賤民を差別して危害を加えます。

物扱いされる奴婢の待遇はヒドいですが、価値のない家畜以下の存在として扱われる賤民はもっとヒドい立場です。

だから賤民は自分たちで身を守るしかありません。

賤民の中には苦しさから略奪を働くものもいました。倭寇に合流した賤民もいます。李氏朝鮮後半の倭寇(後期倭寇)は日本人は1~3割。残りは朝鮮か大陸の人でした。李氏朝鮮や清の記録にそう書かれています。

朝鮮では犯罪組織化する賤民がかなりいたようです。それほどひどい扱いを受けていたのでしょう。

 

「トンイ」のコムゲ

歴史上のコムゲはトンイのお父さんが頭をしていたコムゲとは全く違います。

どちらかと言えば、ケドラが頭をしていたコムゲに近いかもしれません。

ちなみに、トンイのお父さんを演じてるのは「六龍が飛ぶ」の「イ・ソンゲ」。トンイのお兄さんトンジュは「華たちの戦い・宮廷残酷物語」の「昭顕世子」。ケドラのお父さんは典獄署にいる「オクニョ」のおじさん「チ・チョンドク」と同じ人でした。チョンス兄さんも「風の絵師」では「正祖」を演じてるし(ヨンタバル商団のほうが印象が強いですが)。コムゲの主要人物を演じてる人は意外と豪華メンバーです。

 

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歴史の知識
この記事を書いた人

執筆者:フミヤ(歴史ブロガー)
京都在住。2017年から韓国・中国時代劇と史実をテーマにブログを運営。これまでに1500本以上の記事を執筆。90本以上の韓国・中国歴史ドラマを視聴し、史実とドラマの違いを史料(『朝鮮王朝実録』『三国史記』『三国遺事』『二十四史』など)に基づき初心者にもわかりやすく解説しています。類似サイトが増えた今も、朝鮮半島を含めたアジアとドラマを紹介するブログの一つとして更新を続けています。

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