タンギセは『奇皇后』の登場人物。悪役ヨンチョル一族の武将です。ヤンの母の仇として登場し残忍さと家族への執着で印象に残るキャラです。
史実ではタンキシュ(唐其勢)といわれ1335年の政変で滅亡した人物です。
この記事ではドラマ「奇皇后」での描かれ方、彼の最後。史実と違いを分かりやすく紹介します。
この記事で分かること
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タンギセの立場
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史実モデル・タンキシュの生涯
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1335年の事件と、妹ダナシリ処刑とのつながり
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ドラマ版の最期(ネタバレあり)
タンギセはどんな人物?
タンギセ(タンキシュ)は元の武人。重臣ヨンチョルの長男、皇后タナシルリの兄です。
宮廷の中でもヨンチョル一派の先頭に立って行動する男として描かれ、強い印章を残しました。
性格は粗暴で短気。皇帝タファンを「自分たちが動かせる相手」と見ており高圧的。気に入らない重臣や部下にも平気で暴力をふるうタイプです。
でも父ヨンチョルを崇拝。家族(特に妹)への執着も強いです。そんな過剰気味な「家族愛」が彼の行動の原動力です。
タンギセの相関関係
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ヨンチョル:父。権力の源。タンギセが崇拝する人物。
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タナシルリ:妹(皇后)。一門の地位を象徴する存在
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タファン:皇帝。軽視し、時に挑発して対立を深める相手
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ヤン(スンニャン):執念深く追う相手。
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ワン・ユ:ヤン側の重要人物。タンギセの“邪魔者”としてぶつかりやすい
「家(ヨンチョル一門)を守るためなら何でもする」というタイプのためタンギセは単純な悪役ともいいきれない部分があります。ただし守り方が乱暴すぎるので、見ている側の印象は真っ二つに割れます。
「奇皇后」ドラマ内でのタンギセの行動
タンギセはドラマの中でヨンチョル派の実行部隊隊長的な立場です。
初期:残酷さで敵役確定
登場直後からタンギセは弱い立場の人間には強く出ます。貢女への弾圧。逃亡を許さない強硬さが強調され「この人は危ない」と分からせるのに十分なほど暴れます。
中盤:スンニャンをしつこく追い求める
タンギセはスンニャン(ヤン)の男装を見抜き、そこから関心が一気に強まります。その後は「見つけ出して手中に収めたい」という執着が前に出てスンニャンにとっても危険な男になります。
宮中:タファンを見下して対立する
タンギセは皇帝タファンの権威を軽んじる言動が多く、宮廷内の火種を大きくします。
「皇帝を立てる」のではなく、「皇帝を操る」発想で動くため、タファンの反発を強めていきます。
終盤:秘密を握るが破滅へ真っしぐら
ヨンチョルが失脚。その後もタンギセは諦めずメバク商団の後ろ盾を得て復権の機会をうかがいました。
しかし追い詰められるとタンギセは秘密を切り札にして揺さぶりをかけます。マハの出生に関する話はタファンとヤンの関係そのものを壊しかねない爆弾です。
タンギセはそれを利用しさらに他に広めようとすることで、タファンとの最後を迎えます。
タンギセの最後はどうなる?
※ネタバレあり・詳しめ
タンギセの最後は最終回直前の50話で訪れます。
前提:タンギセはもう戻れない立場にいる
第50話の時点でヨンチョル一門は崩壊。タンギセはもう権力を失っています。それでも彼が強気なのは「握っている情報」で勝てると思っているからです。
マハの出生の秘密を武器にする
タンギセがタファンにぶつけるのは、マハの出生に関する最大級の爆弾です。
ここで大事なのはタンギセが負けを認めた白状ではなく、勝ち誇った形で暴露するところ。
目的は真実の公開ではなくタファンの心を折って主導権を奪うことです。
さらに追い打ち「ヤンにも言いふらす」と口にする
タンギセが本当に危険なのはこの次です。
秘密をタファンに突きつけただけなら、まだ脅しで止まるかもしれません。でもでもタンギセはそこで止まりません。
ヤン本人に知らせるたり周囲に広めようとするのです。相手が最も守りたい場所を壊しにいきます。
タンギセはタファン最大の邪魔者として消される
この一言でタファンの中でタファンが政敵ではなく今すぐ始末しなければいけない邪魔者に変わります。
そして
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皇帝としての面目丸つぶれ
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自分の弱点を握られた恐怖
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何よりヤンの立場が危ない
この3つが重なってタンギセはタファンにとって一番危険で邪魔な存在となり。自分の手で始末したのです。
タンギセは実在する?
タンギセのモデルはタンキシュ(唐其勢)
タンギセのモデルとなったのは元の重臣エルテムルの長男タンキシュ(唐其勢)です。
家系図
()内はドラマ『奇皇后』の役名

元朝/エルテムル家の家系図
妹を皇后にする
父エルテムルが亡くなると。タンキシュは父の勢力を受け継ぎました。
しかし皇太后とバヤンにより恵宗トゴンテムルが即位。
タンキシュは即位を阻止できませんでしたが、家の力を保つために動きます。その切り札が妹ダナシリを第一皇后にすることでした。
そうして「これからもエルテムル家が宮廷の中心だ」と示そうとしたわけです。
風向きが変わり追い詰められていく
ところが時間がたつにつれて宮廷ではバヤンの力が強まり、タンキシュの家は少しずつ影が薄くなっていきました。
立場が下がっていくのを、タンキシュは黙って受け入れられませんでした。
ここで彼は「もう一度主導権を取り戻そう」と考えます。
1335年 クーデター計画の失敗
1335年。タンキシュは弟のタラカイや仲間と組んでクーデターを計画します。ですがこの計画は事前に告発され、実行に移る前にタンキシュ一族は捕らえられてしまいます。タンキシュはは弟タラカイとともに処刑されました。
妹ダナシリも巻き込まれ家は断絶する
タンキシュの計画が失敗したことで皇后だった妹ダナシリにも影響が及びます。
皇帝トゴンテムルは「兄弟が反逆を企てたのに、皇后だけ無関係なはずがない」そう判断しダナシリも捕らえられます。
ダナシリは皇后の地位を奪われ、幽閉されたあと毒酒を飲まされて殺されました。
ドラマとの違い
ドラマのタンギセは執着と感情で突っ走る体育会系の人物として描かれます。
一方、史実のタンキシュは政治家としての活動を行い。妹を皇后にすることに成功しました。
結果的に反乱計画は失敗したが。ただ暴力で戦うだけの人物ではなかったようです。
タンギセはかっこいい?
タンギセは好き嫌いの分かれるキャラですが「かっこいい」という意見も聞きます。よく聞いてみると理由は大きく分けて4つあるようです。
強引でも迷わない「覚悟のある動き」
タンギセの行動は極端です。
ですが、決断が早く、ためらわない。逃げ道を探すより先に前に出る。その姿は「何かを背負って動いている人間」に見えます。
正しいかどうかより覚悟を決めている。そこに男らしさを感じるのかもしれません。
権力の側に立つ人間の圧
タンギセは皇帝相手でも引きません。
権力を背景にしているからこそ言葉に言い訳がなく態度も大きい。ただ偉そうなだけでなく迷いがなくブレない。
時として恐怖感をあたえることもありますが、存在感を生み「目が離せないキャラ」になります。
歪んでいても分かりやすい家族愛
タンギセの行動原理は単純です。
父ヨンチョルへの崇拝、妹タナシルリを守りたいという執着。やり方は強引すぎますが「何のために動いているか」は一貫しています。
悪役なのに家族思い。この矛盾が人間味として受け取られます。
優しさとは別系統の男らしさ
タンギセには思いやりや包容力のあるタイプではありません。
でも何かを背負って、決めて、前に出る。結果がどうなろうと逃げない。危険で時代遅れにも見える価値観ですが、物語の中では強烈に映ります。
許されないけど印象には残る
タンギセは決して「いい男」ではありません。それでも覚悟・圧・家族への執着がはっきりしているからただ嫌われるだけの男では終わらない。
「好きじゃないのに忘れられない」
そういうタイプのかっこよさを持ったキャラだと言えるでしょう。
タンギセ役は誰?(キャスト紹介)
タンギセを演じたのは韓国の俳優 キム・ジョンヒョンです。
時代劇で「強い圧」を出すのがうまく、視線・間の取り方・声の張りで相手を黙らせるタイプの役がはまります。
タンギセでのキム・ジョンヒョンの演じ方には次のような特徴があります。
- 感情が先に出る短気さ(爆発が早い)
- 相手を見下す口調と距離感(皇帝相手でも引かない)
- 一門への執着がにじむ表情(父・妹が絡むと熱量が上がる)
※同じ名前の俳優が複数います。ここで紹介するのは『善徳女王』『大祚栄』にも出ているキム・ジョンヒョンのほうです。
いくつかの時代劇にも登場。代表的なものを紹介します。
代表的な出演作①『善徳女王』ハジョン
『善徳女王』のハジョンはタンギセとは真逆の面白さがあります。
表向きは策を巡らせる策士に見えるのに、どこか詰めが甘くて欲が先に立って自分の首を絞めがちです。
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タンギセ:正面から力で押す(脅し・暴力・威圧)
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ハジョン:裏から回すが、調子に乗って崩れる(小賢しさ+抜け感)
だからハジョンは「憎いのに笑ってしまう敵役」になりやすく、タンギセのような恐怖で場を支配する敵とは印象がかなり違います。
代表的な出演作②『大祚栄』ミモザ
『大祚栄』のミモザは百済の残党。最初はテジョヨンと対立しますが。やがて味方となり彼の軍師として渤海建国に協力します。
最初は主人公に突っかかる場面がありますが、そこから関係がほどけていき最終的には主人公の頭脳として支える側に回ります。
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タンギセ:執着で追い詰める側(主人公の脅威)
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ミモザ:理解して支える側(主人公の武器)
同じ俳優でもタンギセは“熱と暴力の塊”、ミモザは“冷静に道筋を作る頭脳”で見せ方が正反対です。様々な役を演じられる役者さんなのですね。
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