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ヘチ 王座への道 7・8・9話:老論が揺らぐ中でヨニン君が世弟へ

『ヘチ 王座への道』第7話・第8話・第9話のあらすじを振り返ります。

科挙不正の暴露をきっかけに老論が分裂し、ヨニン君は刺客に狙われながらも次第に世論を味方につけていきます。やがて景宗の前で真意を示してついに世弟へ。しかし重臣たちの反発は収まりません。

この記事では第7〜9話にかけて描かれる権力闘争の転機・老論内部の対立・世弟冊封までの道のりを整理。史実と比較しながら紹介します。

 

この記事で分かること

  • 科挙不正の実態と、それが老論内部の対立を生んだ理由
  • ヨニン君が世弟に指名されるまでの経緯
  • ヨジやタルムンら周囲の活躍が情勢に与えた影響
  • 世弟冊封後も続く重臣たちの反発

ネタバレになる要素を含んでいます。ストーリーを知りたくない方はご注意ください。

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ヘチ 王座への道 第7話 あらすじとネタバレ

科挙の不正に気づくヨニン君

ヨニン君はパク・ムンスを助けるつもりで科挙の不正について調べていました。ところがその実情を知って驚きます。代理受験や席取りはもちろん、老論の子弟が成績に関係なく合格するのが当たり前になっていたのです。試験問題を老論の子弟に横流ししてそれで利益を得ているものもいました。科挙を不正の温床にしたのは老論でした。

ミン・ジノンはタルムンからの報告で、ヨニン君が科挙の不正を調べていることを知ります。

ミン・ジノンはヨニン君をミルプン君よりも危険だと判断しました。

ヨニン君は景宗に会い、本当の罪人を探して世を正そうと協力をもちかけます。景宗も自分に力がないことをわかっていたのでヨニン君を世弟にしようと考え始めます。

タルムンは街で噂を広めるのが得意でした。そこでミン・ジノンはタルムンを利用して、国王が何をしても民が自分たちの特になることだけすれば良いという考えを広めたのです。

それに気づいたヨニン君は噂の出どころがタルムンだと気付きます。ヨニン君はタルムンに自分の味方にならなくてもいいが、せめて民の味方になってくれといいます。その言葉にタルムンの心が動きます。

ヨニン君は儒生たちをけしかけて国に訴えさせようと思い付きます。パク・ムンスや男装したヨジまでもが儒生に紛れこんで不正を訴えようと声をあげます。儒生たちもそれにつられて不満を言い始めました。

儒生の父たちも黙っていません。不正のせいで自分の息子が落第したかもしれないとおもったからです。彼らは不正の調査を依頼する嘆願書を出しました。

分裂する老論派

老論派の内部でもミン・ジノンに対する不満が高まっていました。特に大司憲イ・イギョムと領議政キム・チャンジュンはミン・ジノンを快く思っていません。そこで彼と敵対するヨニン君を擁護しようとします。イヌォン大妃もヨニン君を世弟として後押しする事になりました。

老論はヨニン君をめぐって二つに分裂しました。

 

注目点:儒生たちの訴えはなぜ老論を揺るがした?

ヨニン君が儒生たちに不正を訴えさせるという発想は一見無茶に見えますが、当時の儒生は“未来の官僚候補=国家の道徳的良心”とみなされる存在でした。

彼らが声を上げれば世論が大きく動くことをヨニン君は理解していたのです。パク・ムンスやヨジまでが声をあげたことで火がつき、儒生の父たちまでが嘆願書を出す事態に発展しました。

朝鮮王朝では“上疏(サンソ)”と呼ばれる集団の訴えが政治を揺るがすことがあり、特に士林・儒生の訴えは権力者にとって最も厄介な圧力でした。

民心と道義を同時に突きつけられるため、老論派内部の不協和音が一気に表面化したのです。

 

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ヘチ 王座への道 第8話 あらすじとネタバレ

ヨニン君を狙う刺客が現れる

ヨニン君が世弟になろうとしているのを知った妻のソ氏は、ヨニン君に本当かどうか聞きに来ました。

ヨニン君は景宗にしっかり説明しなければ誤解されると思い。夜に馬を走らせます。しかし黒装束の集団に襲われ、命を狙われます。それを助けたのがタルムンでした。

タルムンはヨニン君を自分の質屋につれていきます。そこでヨニン君は老論の重臣キム・チャンチュンとイ・イギョムが自分を世弟にしようとしていると知ります。あとからやってきたパク・ムンスも驚きます。

しかし重臣たちや王もヨニン君が逆心を持っていると思うに違いありません。ヨニン君は急いで王に会う必要がありました。

そのころヨジは変装して儒生のたちと酒を飲んでいると、怪力の男に襲われます。ミン・ジノンが送った刺客でした。その男はヨジの反撃をものともしません。ヨジは跳ね飛ばされ気を失います。男はそこでヨジが女だと知ります。男が狙っていたのは王子だったからです。

ミン・ジノンはヨニン君の後ろ盾になるのをやめるようイヌォン大妃の元に向かいました。しかしイヌォン大妃はヨニン君をかばう姿勢をやめません。外に出たミン・ジノンはヨニン君と出会い驚きます。刺客を放ったのに生きていたからです。

世弟になったヨニン君

景宗はヨニン君に王座を奪われるのではないかと恐れていました。ヨニン君は景宗に会い自分の気持を正直に訴えます。景宗はヨニン君の言葉を聞き決断を迫られました。

ヨジが大怪我をしたことを知り、ヨニン君がヨジのもとを訪れました。自分のせいでヨジが怪我をしたのを心苦しく思います。しかしヨジはヨニン君を守ることが出来たと喜んでいました。そこに兵士たちが王命をもって現れます。ヨニン君を世弟にするというのです。

ヨニン君は世弟になりました。
そしてパク・ムンスも科挙に合格して司憲府の役人になりました。

 

歴史解説:史実と違うヨニングンの世弟冊封の経緯

史実ではヨニン君(英祖)の世弟冊封という大事な決定は“老論内部の対立”が原因ではありませんでした。仁元大妃の了承のもと、老論のトップたちが結束して進めたものだったのです。領議政・金昌集、左議政・李健命、判中枢府事・趙泰采らが景宗に働きかけ、その場には少論が一人もいませんでした。ここが最大の問題点です。

問題だったのは老論だけで密室的に後継を決めてしまったこと。これが後になって少論の激しい反発を生み、老論と英祖を大きな危機へ追い込む火種になってしまいました。

ドラマではミン・ジノン派とキム・チャンチュン/イ・イギョムらによる“老論内の分裂”として描かれています。視聴者が理解しやすい対立構図に再構成しているわけですね。

そのおかげで、老論が単なる悪役ではなく「内部にも改革派がいる」という複雑な集団に見えヨニン君が権臣の暴走と戦う改革の象徴としてより際立つ効果が生まれています。

史実では「少論不在の決定」が持っていた不公正さが、ドラマでは老論内部の対立へと置き換えられています。ただし、その変更が結果的に後に大きな反動を呼ぶのを予感させるのは共通しているように思えます。

 

 

ヘチ 王座への道 第9話 あらすじとネタバレ

世弟になったヨニン君を重臣たちは認めようとしない

ヨニン君は正式に世弟になり、王宮に入りました。

ヨニン君と対立していたミン・ジノンは漢城府に移動になり、王宮からは外されました。

キム・チャンジュンとイ・イギョムはヨニン君が世弟になり思い通りでした。ところが他の老論はあいかわらずヨニン君を認めようとしません。

少論派も認めようとしません。少論派のイ・グァンジャは景宗から弟を支えるように言われていましたが反対しました。王の素質があるかどうかわからないからです。そこでイ・グァンジャはヨニン君に課題を出しました。「国の政治に関わることなく王の素質を示せ」というのです。

人身売買の捜査を始める司憲府

そのころ。朝鮮国内では貧しい家の少女が清国に売られる事件が起きていました。司憲府では組織的な犯罪として操作を行うことになりました。清国の言葉ができるヨジが潜入捜査をすることになりました。清国や倭国の者が多く出入りする妓楼に潜入して情報を集める任務が与えられました。ヨニン君はそれを知り動揺しますが、パク・ムンスも同行することになり張り切っていました。

同じ頃。タルムンは清国に売られそうになった少女を救い出しました。タルムンは清国の情報を得るために新しく出来たという妓楼に手下を潜入させました。

両班が殺される事件が相次いでいました。司憲府にその調査依頼がきます。ウィ・ビョンジュはそのことを知らせにミン・ジノンのもとに生きました。ミン・ジノンは組織的な犯罪だと考え朝廷に戻るきっかけにしようと考えました。

両班殺人現場に出くわすヨニン君

ヨジは和服を来て「アサコ」と名乗り妓楼に潜入しました。妓楼の主ト・ジグァンに見破られそうになりますが交わします。しかしタルムンの手下達は身元がバレて袋叩きにあいます。ト・ジグァンはタルムンの根城に殴り込みをかけました。そこにヨニン君がやってきてト・ジグァンたちを追い払います。しかしヨニン君はヨジたちが専有したのがト・ジグァンの妓楼だと知ります。ヨニン君はヨジたちが危険だと考えて妓楼に向かいました。

妓楼を走り回るヨニン君でしたが両班殺害現場を見てしまいます。底にいたのは幼い少女でした。彼女には「殺主」という入れ墨がありました。彼女は逃げましたが、そこに捜査をしていたウィ・ビョンジュがやってきます。ヨニン君は犯行現場に突っ立っているところを見られてしまいます。

 

歴史解説:史実でも反対を受けたヨニン君の世弟

ドラマでは世弟になったあとも老論・少論の重臣たちはヨニン君をなかなか「正統な後継」として認めず、あれこれ理由をつけて反発しています。第9話では、イ・グァンジャが「政治に関わらず王の素質を示せ」と無茶な課題を出しヨニン君はまだ“試される側”にとどめられているのがポイントです。

史実ではこの時点でヨニングンの世弟冊封はすでに既成事実化していました。少論不在の場で老論と景宗が決めたため少論は強く反発しました。でも当時はまだ老論の力が勝っており、その反発は押さえ込まれます。

さらに清の正式な冊封を受け、康熙帝の署名入り国書まで届いたことで世弟ヨニングンは国際的にも“確定路線”となり、老論はむしろ勢いづいていきます。

ところが、ここから少論の巻き返しが始まり、後にヨニングンと老論は大きな危機に陥ることになります。

ドラマではこの危機を別の事件と絡めて描き、ヨニングンが常に危ない状態に置かれているのを表現しているのが違いといえます。

 

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執筆者:フミヤ(歴史ブロガー)
京都在住。2017年から韓国・中国時代劇と史実をテーマにブログを運営。これまでに1500本以上の記事を執筆。90本以上の韓国・中国歴史ドラマを視聴し、史実とドラマの違いを史料(『朝鮮王朝実録』『三国史記』『三国遺事』『二十四史』など)に基づき初心者にもわかりやすく解説しています。類似サイトが増えた今も、朝鮮半島を含めたアジアとドラマを紹介するブログの一つとして更新を続けています。

詳しい経歴や執筆方針は プロフィールページをご覧ください。
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