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朝鮮王朝の尚宮とは?位と仕事の内容

歴史知識 6 李氏朝鮮の人々

李氏朝鮮王朝には王族や側室以外にも大勢の女性が働いています。

内人(宮女)たち後宮で働いている大勢の女性を管理する女官が尚宮(サングン)です。

後宮がいつもどおり運営できるのも尚宮たちがいるから。

王族や後宮の日常生活を維持するためには欠かせない人たちです。

この記事では後宮で働く尚宮の階級と仕事内容について紹介します。

 

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内命婦(ネミョンブ)の階級

朝鮮王朝の後宮は中華王朝の内命婦(ないめいふ)の制度をモデルにしています。基本になっているのは唐の制度。尚宮(しょうぐう)などの用語も唐時代に作られたもの。でも同じ用語を使っていても朝鮮王朝では内容が変わっている場合もあります。

尚宮・内人はその内命婦の一員です。そのため尚宮・内人は一生、王以外との結婚はできません。

尚宮・内人をまとめて女官とよばれることもありますが。厳密に女官といえるのは尚宮。内人は侍女・労働者のことです。

位はこのようになっています。

大妃・王妃・世子嬪:別格(位なし)

側室:正一位~従四位
 側室の階級はこちらを御覧ください
 朝鮮王朝の側室の順番は?内命婦のしくみ

尚宮:五位
後宮の業務の管理、内人達労働者の監督、指導など。女官。

内人:六~従九位。
日常的な作業を行う女性労働者。宮女ともいいます。ドラマの字幕では「女官」になっていることもあります。

ビザ、ムスリ、カクシムイ、バンジャ、ウィニョなど肉体労働の奴婢:位なし

 

尚宮(サングン)の種類

 

内人より上の位の女官はまとめて尚宮とよばれます。

尚宮とは大勢いる内人、官婢を指揮する立場の人。他国の王宮の女官のイメージに近い。
尚宮には様々な役職があります。

上級の尚宮

尚宮の中にも地位の上下もありますが。位は正五品です。

提調尚宮

女官たちの最高位。宮中の尚宮、内人を統括。
ドラマ「チャングムの誓い」で「女官長」と呼ばれている人。

副提調尚宮

提調尚宮の次に偉い尚宮。倉庫の管理を担当。貴金属、銀器、磁器、絹織物などの金品を管理します。

待令尚宮、至密尚宮(チミルサングン)

国王大殿、大妃殿、東宮殿など王族の寝殿に常駐して寝起きしている尚宮。王室の寝殿の生活管理を担当する尚宮です。秘書のようなもの。一般には4~5歳から訓練を受けた宮女がなる事が多いです。

光海君に仕えた金尚宮のように王の寵愛を受けても子ができなかった承恩尚宮の中で、とくに王の信頼の厚い人が大殿の至密尚宮になることもあります。

提調尚宮・副提調尚宮の次に地位が高い。

侍女尚宮

国王、王妃、王大妃、王世子に付き従っている尚宮。王様付きの尚宮、王妃付きの尚宮と呼ばれる人たち。

 

細かい仕事が決まっている尚宮

保姆尚宮:王子、公主、翁主の養育をしている尚宮。養育係。子供からは「阿只(アジ)」とよばれます。

退膳尚宮:王が食事をするときのお膳の上げ下げ運搬を担当。
気味尚宮:食べ物の品質や香りのチェックを担当。
出納尚宮:厨房内の様々な食材の量を管理します。
監察尚宮:王命により行動。内人の監督をします。
訓育尚宮:小宮女(見習いの子供)を訓練する尚宮。

 

部署の責任者になっている尚宮

針房尚宮、繡房尚宮、御膳房尚宮など各部署の責任者になる尚宮がいます。この中では針房尚宮が格式が一番上で御膳房尚宮が一番下です。

ドラマ「チャングムの誓い」で最高尚宮と呼ばれていた人。その部署の中で一番偉いという意味で尚宮の中で最高という意味ではありません。現実には「最高尚宮」という肩書はありません。ドラマの設定。

 

尚儀(サンイ)

尚宮の次の地位の女官。それぞれの部署にいて尚宮を補佐。内人たちを管理して実際の作業を指揮したりします。

尚宮が管理職なら、尚儀が現場の内人たちのリーダー・まとめ役。

労働者ですが王や王妃と接する機会があるので尚儀という高い地位が与えられています。

ドラマ「チャングムの誓い」でチャングム達と一緒に料理して「尚宮様」と呼ばれている人たちは本当はこの地位。

尚儀:正五品 後宮の儀礼や手続き担当。 
尚服:従五品 衣服担当。
尚食:従五品 料理担当。
尚寝:正六品 王の衣食住に関係する作業の進行を管理。
尚功:正六品 織物製造の監督。
尚正:従六品 宮人の監督・しつけ。
尚記:従六品 文書・帳簿の記録。

 

承恩尚宮(スンウンサングン)

王の寵愛を得た女官以上、側室以下の人たち。

承恩尚宮とは「恩を承(うけたまわ)った尚宮」の意味。

王の寵愛を受けた(お手つきに)なった女官。王の子を出産した場合は側室に任命される事が多いです。

ドラマ「チャングムの誓い」では「特別尚宮」とよばれます。

たいていはもと内人。最初は「承恩内人(スンウンナイン)」になった後。承恩尚宮になります。尚宮の中でも若く(尚宮になるには15年以上かかるから)。身分は「尚宮」ですが衣装は後宮の服装を着ています。

承恩尚宮になると他の尚宮はむやみに接することはできません。女官としての仕事はすべてしなくていいです。後宮として暮らします。でも承恩尚宮になっても、二度と王が来ないこともあり。寂しく過ごしている尚宮もいました。

承恩尚宮に子供ができると内命婦従四品淑媛の側室になることができました。

代表的な承恩尚宮には19代 粛宗の息子・景宗の母・禧嬪張氏。20代 英祖の母・淑嬪 崔氏などがいます。

また子供ができなくても特に国王から信頼されていれば王のすぐそばに仕える至密尚宮などの仕事を与えられることもあります。代表的な人物には光海君に仕えた金尚宮がいます。

 

 

まとめ

 

尚宮たちは管理職みたいなもの。後宮を維持するためには欠かせません。

王族たちの世話、王子や公主たちの教育や宮廷行事の監督などを担当していました。また宮廷内の女官たちを管理まとめる役割も担当していました。

 

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