中国ドラマ「皇帝の恋・寂寞の庭に春暮れて」は清朝の康煕帝時代が舞台のドラマ。
読み方は「せきばく の にわに はるくれて」
原題は「寂寞空庭春欲晚」日本語版のサブタイトルとほぼ同じ内容。
寂寞(せきばく)とは「ひっそりとして寂しい様子」「心が満たされず寂しい様子」
なんとも思わせぶりなタイトルですね。
皇帝の恋の登場人物を紹介します。
時代背景
1661年。清朝の第4代皇帝・愛新覚羅·玄燁(げんよう=康煕帝)が即位しました。
ところが康煕帝(こうきてい)はまだ8歳。重臣たちが幼い皇帝を支えていました。
ところが重臣の一人、オーバイは他の重臣を排除して独裁的な力を持ち横暴になっていきました。
いつかオーバイを排除しようと思いながら力を蓄える康煕帝。
1669年(康熙8年)。15歳になった康煕帝は仲間と協力してオーバイとその一味を捕らえ処刑しました。
ところがモンゴル・チャハル部の親王アブダイはオーバイの一味とされて粛清されてしまいます。
アブダイの家族が殺害されるなか、アブダイの娘・良児(りょうじ)はなんとか逃げ出します。そこに葉三(ようさん)と名乗る少年が現れ一緒に逃げました。実は葉三は康熙帝の仮の名前。康煕帝はお忍びで視察中だったのです。
やがて二人は再会を誓って別れます。
その後、良児は親戚の納蘭家にたどりつきました。でも良児は刺客に命を狙われ記憶を失ってしまいます。
幼馴染の納蘭 容若(ならん・ようじゃく)は父・明珠に従妹の保護を訴えます。良児は衛琳琅(えい・りんろう)と名前を変えて使用人として匿われることになりました。
1673年(康熙12年)。呉三桂(ご・さんけい)たち漢人の藩王(小国に匹敵する領土を持つ領主)が反乱を起こしました。3人の藩王が反乱を起こしたので「三藩の乱」といいます。明の残党も加わって一時は国土の南半分が反乱軍に占領されるほど危険な状態でした。康煕帝の生涯で最大のピンチだった時期です。
その後、清の八旗がなんとかもりかえして藩王たちを撃破。
1676年(康熙15年)には残るは呉三桂だけになっていました。
ドラマの2話で成人した康熙帝が登場するのがこのあたりの時期です。
主要人物
康煕帝(こうきてい)
演:劉愷威(ハウィック・ラウ)
少年時代。葉三(ようさん)と名乗り幼い頃の衛琳琅と出会いました。二人はお互いの正体を知らないまま再会を誓って分かれました。
やがて宮女として宮殿にやってきた衛琳琅を見てあのときの少女だと気づきます。ところが衛琳琅はかつての記憶を失っていました。
康煕帝はかつて自分が下した命令のせいで衛琳琅の家族が粛清されたことを知りません。衛琳琅に記憶を取り戻させようとあらゆることをしますが・・・
歴史上は有能な皇帝とされる康煕帝。ドラマでは恋に盲目で脳天気な男として描かれます。その盲目ぶりに祖母の孝荘 太皇太后は心配しますが。
康煕帝はまだ若く太皇太后には頭が上がりません。
衛琳琅(えい・りんろう)/良妃
演:鄭爽(ジェン・シュアン)
本名は 博爾済吉特·良児(ボルジギト・りょうじ)
モンゴルの親王だった父・アブダイは粛清に巻き込まれ。一家は離散。
逃げる途中で若き日の康煕帝と出会います。再会を誓って別れますが、アクシデントで記憶喪失に。その後、従兄弟の納蘭容若に匿われ衛琳琅と名前を変えます。
でもトラブルに巻き込まれるのを恐れた明珠によって宮女にされてしまいます。
宮中では康煕帝に出会いますが、衛琳琅は覚えていません。長馴染みの納蘭容若と自分を知ってるらしい康煕帝との間で揺れ動く衛琳琅。やがて自分の過去を思い出し。生き別れたはずの兄・長慶も現れ、復讐をとるか愛をとるかの選択を迫られ・・・
衛琳琅のモデルになったのは実在した康熙帝の側室 良妃 衛氏。
史実では良妃 衛氏は漢姓を名乗る満洲人です。
モンゴル人ではないので 博爾済吉特 は名乗ったことはありません。
良妃 衛氏とモンゴルの親王アブダイは親子ではありません。
でも史実の良妃 衛氏も宮女として入宮して康煕帝に見初められたのは同じです。
後に後継者争いの重要人物になる 第八皇子・胤禩(いんい)の生母です。
納蘭 容若(ならん・ようじゃく)
演:張彬彬(チャン・ビンビン)
本名は 性徳(せいとく)。
容若(ようじゃく)は本名以外に付ける通称。日常生活で使うのは「容若」の方。
報われない男その1
いとこの良児(衛琳琅)と親しく家族を殺された良児を救いたいと思ってます。父・明珠は良児が謀反人の家族扱いされているので家に置きたくありません。衛琳琅は宮殿の宮女にされてしまいます。
容若は十代のころから康煕帝の侍衛(護衛)として仕えています。その容若の前に宮女となった衛琳琅が現れ。衛琳琅をめぐって康煕帝と三角関係に。でも立場上皇帝には逆らえず琳琅と康煕帝を見守る立場になってしまいます。
琳琅に振り回されても見守り続けますが、最後は琳琅を守って犠牲に。
史実では清朝で最も優れた詩人と言われます。
性徳は「花散る宮廷の女たち」でヒロイン年姝媛(ねん・しゅえん)の恋人だった人物。歴史上の性徳は康煕帝と同世代。年姝媛と恋人は無理があります。衛氏(後の良妃)と性徳ならちょうどいい年齢かもしれません。
皇族・後宮の妃嬪たち
太皇太后 孝荘(こうそう)
演:米雪(ミー・シュエ)
本名ブムブタイ。姓は博爾済吉特(ボルジギト)氏
モンゴル・ホルチン部出身。
2代皇帝 崇徳帝(ホンタイジ)の側室。
3代皇帝 順治帝の生母。
康煕帝が誓いをたてるほど皇室では力を持つ重鎮。オーバイの残党を排除するため納蘭 明珠に命令しました。衛琳琅に夢中になる康煕帝に、かつての順治帝の姿を思い出し心配します。そして康煕帝に皇帝としての自覚を持たせるために強硬手段に・・
孝恵 皇太后
演:楊明娜
順治帝の正室。
仁顕皇太后
姓は博爾済吉特(ボルジギト)氏
祖父は孝荘太皇太后の兄。
生母が他界している康煕帝にとっては母親のような存在。
皇貴妃・董鄂(ドンゴ)氏を寵愛した順治帝によって廃されそうになったことがあります。孝荘皇太后ブムブタイの反対で廃妃にならずにすみました。
そのせいで順治帝の寵愛を集めた董鄂(ドンゴ)氏を憎んでいます。
琳琅(りんろう)を董鄂氏に似ているという理由で嫌います。
恵妃 納蘭(ならん)氏
演:王若心
康熙帝の側室。
最初は琳琅にも寛容でした。康煕帝に寵愛されている衛琳琅に嫉妬しています。
納蘭明珠の娘、納蘭 容若の姉。皇后のいない康熙帝の後宮では妃嬪の最高位。他のドラマでは後宮のボスキャラ的存在として描かれることの多い恵妃ですが。このドラマでは忍耐強く優等生的に描かれます。でも妃というより康熙帝の女友達として扱われることが多く、そのいらだちを琳琅にぶつけることもあります。
歴史上の恵妃の姓は烏拉那拉(ウラナラ)。
でも小説やドラマ等では納蘭になってることもあります。納蘭氏はイェヘナラ氏から別れた一族なのでウラナラ氏ではありません。
史実では納蘭明珠とは親子ではありません。
納蘭容若とも兄弟姉妹ではありません。
端敬 皇后・董鄂(ドンゴ)氏
故人。名前だけの登場。
「先帝の寵愛を集めた側室」とは彼女のこと。
皇太后や太皇太后が何度か彼女のことを話題にします。
康熙帝の父・順治帝の側室。皇后は死後に贈られた称号。生前の最高位は皇貴妃。
順治帝が寵愛した妃。そのため孝恵 皇后(当時)は見向きもされませんでした。
孝恵 皇后は皇太后になった今でも根に持っています。
辛者庫の人たち
画珠(がじゅ)
演:張芷溪
衛琳琅が入宮したときに仲良くなった宮女。側室になりたいと狙っています。後に寧貴人になりますが、康煕帝からは愛されていないことに気づき琳琅に嫉妬します。
翠雋(すいしゅん)
演:程硯萩
納蘭 容若のことが好き。
後に容若の妻になります。琳琅を想う容若は翠雋にそっけないです。
芸初(うんしょ)
演:劉恬汝
衛琳琅が入宮したときに仲良くなった宮女。食いしん坊。長慶のことが好き。長慶と駆け落ちの約束をしますが、兵に刺客と間違われて殺されてしまいます。
玉箸(ぎょくちょ)
演:劉萌萌
辛者庫を監督する女官。呉応熊の恋人。復讐のため入宮しました。
重臣や宮中で仕える人々
納蘭 明珠(ならん・めいじゅ)
演:陳良平
納蘭容若、恵妃の父。
謀反人の娘・良児を家に匿うのを拒否しましたが。息子の容若の懇願と、児が記憶を失ったので驚異ではないと判断。衛琳琅という名前を与えて家におきました。
容若と衛琳琅を一緒にさせたくありません。衛琳琅を侍女として宮中に入れてしまいます。
歴史上も康煕帝に仕えた重臣。
長慶(ちょうけい)
本名は阿思海(あしかい)
姓は博爾済吉特(ボルジギト)氏
琳琅(良児)の兄。阿布鼐(アブダイ)の息子。
報われない男その2
目の前で一族が惨殺され生き延びた後、宦官になります。目的のためには手段を選ばない冷酷な刺客。ですが芸初に妹の姿を思い出し芸初を好きになります。危険な役目に芸初を巻き込みたくないと悩みますが、結局は芸初も殺されてしまいます。
最初は琳琅が妹の良児だとは知りませんでした。琳琅が妹の良児だと知ると復讐を迫りましたが、琳琅は康煕帝を選び長慶の計画を阻止します。
しかし呉子墨たちに利用され地たことを知り、琳琅を守って呉子墨の剣で命を落とします。
架空の人物。
阿布鼐(あぶだい)
阿布奈(アブナイ)ともいいます。
モンゴル・チャハル部の察哈爾(チャハル)親王。
姓は博爾済吉特(ボルジギト)氏
琳琅(良児)と長慶の父。
オーバイの一味として粛清されてしまいます。
阿布柰(アブナイ)ともいいます。
史実のアブダイはモンゴルを支配しようとする清朝に反抗。康煕帝の命令で監禁されました。1673年には三藩の乱に便乗して息子たちが挙兵。反乱は失敗して処刑されました。
蘇茉兒(スマラ)
演:苑子藝
モンゴル・ホルチン部出身。
孝荘太皇太后(ブムブタイ)の侍女。皇子たちの教育を担当するほど頭のいい女性。康煕帝も幼い頃に教育をうけたことがあります。
ドラマのスマラは実際の年齢よりも若く設定されているようです。(史実では太皇太后と同世代)。太皇太后の命令をうけて動いています。
ドラマ「王家の愛・侍女と王子たち」のヒロイン。
鰲拜(オーバイ)
演:徐少強
オボイともいいます。独裁的な力を持つ重臣。康煕帝が幼いのをいいことに、敵を陥れて排除して大きな力を持ちました。成長した康煕帝によって投獄・獄中死します。
ホンタイジ、順治帝に仕えた重臣。戦場でも多くの手柄をたててバトゥル(勇者)の称号を与えられています。
その他
呉子墨(ご・しぼく)
演:沈李彬
アブダイの残党や長男を煽って朝廷に対抗せようとしました。
その後、呉三桂と合流。刺客を送って衛琳琅を暗殺させその罪を皇帝にかぶせようとしました。そして長慶に皇帝を討たせようとしましたが・・
しかし最期は康煕帝に討たれます。
架空の人物。
呉応熊(ご・おうゆう)
演:芮偉航
明の武将で清に降伏した呉三桂の息子。呉応熊は北京で人質として暮らしました。父・呉三桂が康煕帝の時代に反乱を起こすと康熙帝の命令で処刑されました。
平西王 呉三桂(ご・さんけい)
呉応熊の父。
反乱軍のリーダー。ドラマには名前だけ登場します。呉応熊が処刑されたのも呉三桂が反乱を起こしたから。
かつて順治帝に仕え明の残党と戦いました。そのため大変大きな権限を与えられて小国並の領土を持っていました。
康煕帝は力を持ちすぎた呉三桂たちを警戒。平西王の称号、領地や特権は世襲させないと決定。
反発した呉三桂は反乱を起こしました。
ドラマ前半ではまだ呉三桂の反乱が続いています。
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